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対ビルマODA(軍政関連組織への援助)に関する国会質疑

質問者:近藤正道議員(社会民主党)
答弁者:高村正彦外務大臣

第168回国会 政府開発援助等に関する特別委員会(参議院) 第3号
2007年11月14日(水曜日)
参議院の議事録より転載

○近藤正道君  社民党・護憲連合の近藤正道でございます。私は、ミャンマーとそのODAのことについて質問をさせていただきます。
 八八年の軍の弾圧以降、日本はミャンマーへの円借款を中止したということでありますけれども、配付の資料にも明らかなように、実際は既存の貸付案件を継 続して実質的に援助を続けております。また、〇三年の軍のスー・チーさんとその周辺に対する弾圧のときもいったんODAを縮小いたしましたけれども、〇五 年以降、理由なくこれを元に戻しまして、七九年から〇四年の間、日本はミャンマーにとって最大の援助供与国であり続けました。日本のODAは、結果として このミャンマーの民主化の促進に役立たなかっただけではなくて、結果として軍政を支えたんではないかと私は思っております。
   〔委員長退席、理事谷川秀善君着席〕
 今回の軍の大弾圧を考えるときに、政府はこの厳然たる事実をどういうふうに総括をしておられますか、お聞かせください。

国務大臣(高村正彦君)  我が国のミャンマーに対する経済協力でありますが、昭和六十三年のミャンマーにおける政情の混乱を踏まえ原則と して停止をいたしましたが、平成七年七月にスー・チー女史の軟禁が解除されたことを受けてそれまでの方針を一部見直し、民主化、人権状況の改善を見守りつ つ、既往継続案件や民衆に直接利益をもたらす基礎生活分野の案件を中心にケース・バイ・ケースで実施することといたしました。
 その後、平成十五年五月にスー・チー女史が再び拘束されたことを契機に、新規の経済協力案件については基本的に見合わせることとし、ミャンマー国民に直 接利益をもたらす人道案件や人材育成等に限定して実施しているところでありますが、今回のミャンマー情勢を踏まえ、一層絞り込むこととしたところでありま す。
 我が国のこれまでの対ミャンマー経済協力がミャンマー軍政を支援してきたとは考えておりません。

近藤正道君  政府は〇五年と〇六年、アメリカとEUで軍政の翼賛団体としてリストアップされております連邦連帯開発協会、それとミャンマーの母子福祉協会に無償資金協力を行っております。
 供与に当たって実施主体をよく調べられたのか、そしてこれはODA大綱に反するんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(高村正彦君)  我が国は、ミャンマーに対して、ODA大綱の援助実施の原則にのっとり、民主化の促進並びに基本的人権及び自由の保障状況に十分注意を払いつつ、ミャンマーの経済社会状況、二国間関係など総合的に判断の上、ODAを実施しているわけであります。
   〔理事谷川秀善君退席、委員長着席〕
 これを踏まえ、平成十五年五月のスー・チー女史の拘束事件以降は、緊急性が高く真に人道的な案件等について案件内容を個別に慎重に吟味した上で実施することとしております。
 このような方針にのっとり、我が国は平成十七年度及び十八年度に連邦連帯開発協会やミャンマー母子福祉協会に対して、それぞれ貧困児童の小学校教育の環 境改善や貧困層女性の婦人病に係る医療サービス改善に直接寄与する人道支援として草の根・人間の安全保障無償を供与しており、ODA大綱に反するものとは 毛頭考えておりません。

近藤正道君  実施主体をしっかり調べたんでしょうかと、私はそういうふうな質問をいたしました。
 ODA大綱は、国際協調と連携、この原則を定めております。連邦連帯開発協会は、〇三年のスー・チーさん襲撃事件への関与が指摘されております。これ は、アメリカの国務省が報告書の中で言っております。しかも、本年九月の例の大弾圧、ここでは協会のメンバーがデモ隊に対して暴力を振るっている。これは アムネスティ・インターナショナルが文書の中で指摘をしているところであります。
 アメリカやEUは、ミャンマーに対して経済制裁を今行っておりますけれども、軍政や連邦連帯開発協会の幹部を対象にしてビザの発禁あるいは資産凍結など の措置をとっております。また、母子福祉協会の会長はミャンマーの首相の奥さん、妻であって、首相とこの奥さんは、ともにEUの資産凍結そしてビザ発禁対 象者に指定をされている人であります。
 このような人たちが言わばトップに立っている、欧米が制裁対象にしている団体に援助を行うということは、確かに学校等のそういう中身であるということは よく分かりますが、こういう人たちがやっている団体、かつこの団体はいずれも軍政の翼賛団体としてリストアップされるところなんでありますが、こういうと ころに支援、無償援助をするということは、やっぱり国際が共同して支援をするとODA大綱にうたわれている国際協調の原則に私は反するんではないかという ふうに思えてならないんです。
 ですから、是非今後は実施主体についてもしっかりとやっぱり慎重に調べていただきたいというふうに思いますが、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。

国務大臣(高村正彦君)  本件の実施に当たりましては、案件自体の内容を個別に慎重に吟味した上で実施を決定いたしました。案件内容は、ミャンマー国民に直接利益をもたらす人道案件であり、軍政を利するものでないため、私たちは支援をしたわけであります。
 連邦連帯開発協会については、民主化運動の弾圧を積極的に行う団体であるとは認識しておりません。

近藤正道君  今日は時間がありませんけれども、いずれにいたしましても、アメリカの国務省だとかアムネスティ・インターナショナルは、 ホームページ等も使って公然とこれを事実として知らしめていると。あるいは、そこの幹部の皆さんは、EUがあるいはアメリカが具体的な制裁措置の発動対象 にしている。こういう人たちがトップに座るところに簡単に出していいものかどうか。私は、是非今後は慎重に検討していただきたい、こういうふうに思ってお ります。
 今回の軍の弾圧について総理は、今ほども大臣おっしゃいましたように経済協力を更に絞り込むことも検討するとこういうふうに答弁されておりますが、結局 のところ、人材開発センターを取りやめただけで、その他は基本的にお構いなしと、大きな私は変化はなかったんではないかと。この人材開発センターも、言わ ば契約として成立したものではなくて、それ以前の段階でありますんで、本当に大きな変化はあったんだろうか。しかも、外務省は十月の中旬に、今の時点では ミャンマーに対して制裁と呼べるような措置をとるということは考えていないと、こういうふうに明言をしております。
 こういう日本の軍政に対する大変甘いといいましょうか消極的な対応は、ミャンマー軍政だとかあるいはもう経済制裁までしている欧米に、あるいは国際社会に対して誤ったメッセージ、これを伝えることになるんではないかと私は思えてなりませんが、いかがでしょうか。

国務大臣(高村正彦君)  人材開発センターは、閣議決定までしたものを取りやめたということでありますから、これは一つの大きなメッセージで、ブッシュ大統領もそのことを演説の中で日本に対して評価していると、こういうふうに承知をしております。
 国際社会といってもいろいろあるわけでありまして、例えばASEANとか、あるいはもっと言えば国連事務総長からの特使、ガンバリさん、私はガンバリさ んとも話しましたし、あるいはASEANの議長国の外務大臣ともよく話しておりまして、日本の立場とほとんど差異はないと、こういうふうに考えておりま す。民衆に対する支援をやめてくれなどとASEANの人も言ったことはないし、あるいはガンバリさんも言ったことはないし、アメリカだけが国際社会ではな いと、私はそう思っています。

近藤正道君  アメリカのみならずEUということも申し上げておりますので、付け加えてもう一度言っておきたいというふうに思っています。
 長井さんが殺害をされました。軍事政権に真相解明、まあ犯人の処分も含めてでありますが、真相解明、すべての遺留品の返還、遺族への謝罪、補償、こうい うことを日本の政府は求めておられるようでありまして、当然のことであります。これに対してどういう軍事政権は対応をしているのか、どんな成果がこの間見 られたのか、お聞きしたいというふうに思っています。
 ミャンマー政府に誠意ある対応がないときには毅然とした態度で臨んでいただきたいというふうに思っておりますが、今後、政府はこのミャンマーの軍政に対してどういう対応をされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

国務大臣(高村正彦君)  長井氏の死亡事案については、政府は、これまでもミャンマー政府に対して極めて遺憾である旨抗議するとともに、 事件の真相究明及びすべての所持品の返還を強く求めてきているところであります。ミャンマー政府からは、本件に関し謝罪の意が表明されておりますが、事件 の真相究明及びすべての所持品の返還については十分な回答が得られていないところでございます。政府としては、引き続きミャンマー政府に申入れを行ってい く考えであり、その結果を見極めつつ適切な対応を検討していく考えであります。
 一番大切なことは、このことももちろん大切ですよ、それと同時にミャンマーが民主化プロセスに入っていくということが一番大切なんで、そのために軍政側とアウン・サン・スー・チーさんの方と対話が、形式的なものではなくて持続的に進むということが大切なんです。
 今国連事務総長特使のガンバリさんが両方にアクセスできる唯一の人なんです、両方にアクセスできる唯一の人なんです。その人の活動を国際社会全体がバッ クアップしていかなきゃいけない。そのために日本政府としても、ASEAN等とあるいはその他国際社会と連携を取りながら、そしてガンバリさんの努力を バックアップし、そして民主化の方向でいい方向に軍政が踏み出せば、それに対してそれなりの措置をとるし、悪い方向に行けば悪い方に対するそれなりの措置 をとるし、そしてそういう中でも、ただでさえ苦しんでいる民衆に更にかわいそうな状況にするようなことは、それはいけないでしょうと。
 例えばポリオのワクチン供与するの、これやめますか。軍政が悪いからといって、ポリオのワクチンを供与するのをやめろと言うんですか。私はそういう考えは取りません。

近藤正道君  今ほどの外務大臣のお話は私も理解できるところはございますけれども、ただ、ミャンマーへのODAは、私はこの間の一つの結 果として民主化の促進に効果を上げなかったと、これはやっぱり否定できない事実なんではないか。そればかりか、民主化の促進あるいは人権及び自由の保障状 況に十分注意を払う、こういうふうに定めたODA大綱、この趣旨がやっぱり生かされていないということはこれは明らかなわけでございます。
 ですから、今ほどの話は話としてそれは分かりますけれども、ミャンマーのODA、これがミャンマーの民主化に真に資する、それを支える、そういうものに なるように、皆さんの努力も分かりますけれども、是非更に見直しを進めていただきたい、そのことをやっぱり強く申し上げまして、時間でありますので私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。





(c) ビルマ情報ネットワーク(BurmaInfo) 1997〜



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