ミャンマー民主化議連 ニュースレター
不定期刊 第8号 2002年5月日発行
ミャンマーの民主化を支援する議員連盟
問い合わせ先:牧野聖修事務所 03-3508-7212
国連ラザリ特使と議連が会談
議連、スーチーの解放を歓迎。訪緬の意欲を表明
来日したラザリ氏との会談
スーチーさんが自宅軟禁から解放されたニュースが世界中を駆けめぐったのは、5月6日。今回のスーチーさんの解放に大きな役割を果たしたのが、国連事務総長からミャンマー特使として任命されたマレーシアの法律家ラザリ・イズマイル氏だ。
外務省の招きによるラザリ・イズマイル氏の日本訪問はスーチーさんの解放の直後であり、議連との会談は5月10日に行われた。
議連側からの出席者は、林義郎(会長)、土井たか子(副会長)、鈴木恒雄(副会長)、鳩山由紀夫(副会長)、牧野聖修(事務局長)、福島瑞穂(幹事)、武山百合子(幹事)。
外務省からは高橋妙子南東アジア一課長が出席した。
林会長が次のように挨拶した。
「私自身、国連議連の会長もしている関係上、国連事務総長ミャンマー特使であるラザリ氏をお迎えすることは二重の喜びである。ミャンマーに対する日本の援助を人々の役に立つよう生かすためにも、同国の民主化は大事なことであり、そのために8回も訪緬して軍事政権とNLDとの対話を促し、さらにスーチーさんの解放を実現された努力に、深い敬意を表したい」
国連はあくまでも支え役
ラザリ氏は、今回の対話の仲介は自分が強引に行ったのではなく、軍事政権とNLDの努力によるものだと評価しながらも、背景事情について解説をした。
- アウンサンスーチーが軍事政権と協力して、民主化が早期実現するための共同作業を行うことは確実である。スーチーの側は、特に軍事政権との協力による経済開発を行うことを強調している。また、軍政の側はNLDと協力して、民主政府を作る準備を開始している。
- 国連が行っているのは、どちらかに肩入れをすると言うことではなく、両者の民主化へ向けた努力を鼓舞する作業である。これは憲法に基づいたしっかりしたものである必要がある。またスーチーの側に必要なのは、軍事政権および少数民族各派との信頼関係を維持しつづける努力であろう。もちろん、国際社会との協調も重要である。
- 今後、条件が許すようになれば、スーチーの外遊が可能になるだろう。私としては出来るだけ早くマレーシアと日本を訪れていただきたいと考える。というのは、今回の対話実現にマレーシアと日本が果たした役割が大きかったと思うからだ。
- 日本に対しては、人道的援助の拡大を期待する。特にお願いしたいのが、BHN(ベーシック・ヒューマン・ニーズ)の助成である。またアウンサンスーチーは電力問題の重要性を強調しており、この点での協力を期待したい。
- これから川口大臣にお会いして、今後の人道援助に関して、日本とEUとで協調路線が取れるかどうかを話し合う予定である。もちろん、私たちが注意しなければならないのは、今後数ヶ月のミャンマーの政治的進展である。特に今でも数多く収監されている政治囚の釈放が、どれだけ行われるかに注目しなくてはならない。また、スーチーの釈放に続いて、政治活動が自由に行われるようになるのか、また、経済改革が進むのかについても細心の注意を払う必要がある。
主な質問とラザリ氏の回答
ラザリ氏の解説に引き続いて、議連役員との間で質疑が行われた。
土井 ラザリ氏が7回もビルマに行かれたことで、こうした進展がもたらされたことは嬉しい。しかし問題はこれからだ。民主主義にとっては議会が必要である。アウンサンスーチーなら、国民全体が民主主義に参加できるリーダーシップをとれると思うが、今後の国会設立に向けてどう考えられるか?
ラザリ 選挙が実現するまでは、あと2年か3年かかると思う。軍事政権とアウンサンスーチーの側がどれだけ協力できるかということにかかっている。もちろん、国際社会のイニシャアティブが必要になる。ミャンマーは残念なことに、アジアの最貧国になってしまった。この状態から早急に脱却するための経済援助が必要となる。貧困からの脱却が最優先事項だ。また、選挙に関してだが、これは誰を大統領に選ぶかと言うたぐいのものではない。ミャンマーの人々をどうやって助力するかということが大事であり、国連が選挙への助力をする必要があると考える。
鳩山 私は、オスロに本部のあるビルマ国際議連のメンバーのひとりとしてNLDや国際社会と連携を取りながら、民主化の支援を行ってきた。今回のラザリ氏が軍政とNLDの対話を促進する上で、どういったプロセスをとられ、今後どうするのかをお聞きしたい。
ラザリ 国連はネゴシエーター(交渉当事者)の立場は採っていない。あくまでも、軍政とスーチーを後ろで支える立場である。軍事政権は私に対して、民政移管を行うという約束を何度もしてきた。したがって、民政移管の約束は履行されるものと信じる。アウンサンスーチーの側も、軍政と同様、今までの態度を改めて、軍政と協調しながら、民政移管に向けた歩みをしっかりと進める必要がある。
牧野 議連では昨年12月8日に、ビルマ国際議連が行ったノーベル平和賞国際キャンペーンに協調し、東京でもイベントを行っている。われわれ議連として、ぜひヤンゴンを訪問してスーチーさんとお会いし、同時に軍事政権とも対話をしたいと思うがいかがか?
ラザリ 民主主義は決して軍事政権の方針に対決するものではない。ぜひ外務省も議連の訪問の実現とスーチーとの会談のアレンジをしていただきたい。またアウンサンスーチー自身の海外訪問も、年末には可能になるのではないかと期待している。私としてはぜひ、マレーシアと日本を訪問して欲しい。
鈴木 われわれとしては、ぜひ超党派でヤンゴンを訪問したいので、ご尽力いただきたい。
ラザリ 高橋課長はビルマのスペシャリストなので、非常にいい形でアレンジしてくださるだろう。
福島 日本の経済協力が民主化にちゃんと役立つのかどうか、しっかりと監視していかなければならないと思うが、その点はどうお考えになるか?
ラザリ 日本の経済構造支援プログラムなどを見ると、とてもいい形になっていると思う。さらなる努力をお願いしたいと思う。
この日、ミャンマー民主化議連では、スーチーさんの釈放を歓迎する声明を発表しており、英訳声明文が事務局長から直接ラザリ氏に手渡された。
アウンサンスーチーさんの釈放に関する声明
ミャンマーの民主化を支援する議員連盟
2002年5月10日
(1)ミャンマー民主化議連は5月6日にミャンマー(ビルマ)軍事政権がスーチーさんを釈放したことを歓迎し、ミャンマー軍事政権が私たち国際社会の声に耳を貸し、前向きの姿勢をとったことを高く評価する。
(2)今回のスーチーさんの釈放に関し、国連特使ラザリ・イスマイル氏が果たした役割を強く評価し、国連の努力に感謝する。
(3)また、ラザリ特使の努力を支え、粘り強い働きかけを続けてきた列国議会同盟、ビルマ民主化議連などの諸団体の努力、および日本をはじめ民主化推進を強く働きかけてきた各国政府の努力に感謝する。
(4)また、釈放にあたっては、軍事政権がスーチーさんおよび、国民民主連盟の政治活動の自由を認めると発表したことを高く評価する。
(5)ミャンマー民主化議連は、これを機会にミャンマー政府が軍事独裁を廃止し、早急に民政移管を実現し、議会制民主主義を確立することを求め、民主主義実現のための協力を継続することを確認する。
アウンサンスーチーの釈放に対する
世界からの反応
ワールドビューライツ−DVB―AFPの5月の記事より
各国政府
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マレーシア
- マレーシアのマハティール首相は「進展である。スーチー側だけでなく、ビルマ政府側からも良識が示された。両者が賞賛されるべきである」と述べた。ビルマ軍事政権と国民民主連盟(NLD)指導者スーチーが自宅軟禁解除の条件について最終的に合意したのは、マレーシア人のラザリ国連特使の仲介が大きく働いた。同特使はスーチーの釈放を「国民和解に向けた非常に画期的な出来事」であり、「民主化に向けた」具体的な進展だとした。
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オーストラリア
- ダウナー豪外相は「ビルマ国内での進展と、穏健さ、歩み寄りを示す兆候があると考える」と述べた。
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シンガポール
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シンガポール外務省は「シンガポール政府はスーチーの自宅軟禁からの釈放を歓迎し、国民和解プロセスに向けた前向きな一歩と考える」とした。
- インドネシア
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インドネシアのウィラユダ外相は「喜んでいる。この一歩が同国の様々なグループの間の和解プロセスを促進することを願っている」とした。
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フィリピン
- フィリピンのアロヨ大統領は報道官を通じ、スーチーの釈放は民主制に向けたビルマ政府の継続的な関与の一部だとし、「スーチーは民主主義と人権の国際的なシンボルでもある。今回の釈放は、アジア域内での選挙に基づいた政治の進展に強い影響を与えていくと考える。また世界中から歓迎されつつあるように、喜ばしいことである」と述べた。
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日本
- 日本政府もビルマ政府の行為を賞賛し更なる援助を約束した。川口外相は「わが国はミャンマーの民主化と国造りに向けた努力を支援するとの立場であり、(…)今後民主化のプロセスが加速化されれば、国造りの努力に対する支援も一層前向きに取り組んでいきたい」と述べた。日本はビルマに対する最大の債権国・援助供与国である。同国は、反政府デモを行っていた市民の数百人あるいは数千人が殺害された1988年の民主化運動蜂起の結果を受け、小額の人道援助以外の案件を中断していた。しかし94年には資金提供を再開しており、同国の「改革促進のための援助」戦略は西側諸国から批判されてきた。米政府はこれまで、政治面での緊張緩和があっても、日本政府によるビルマ軍政指導部との取引は依然として不穏当であるとしてきた。
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英国
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ストロー英外相は、スーチーが再び手にした自由は「ビルマ国民にとって重要な瞬間である。彼女の解放を待ち焦がれていた」と述べ「スーチーがNLDの書記長として自由かつオープンにその任務が果たすことが出来ることを望む。彼女の解放はビルマの人々にとっての重要な一歩である。英国は、1948年に英国から独立したこの国の、国民的和解を進めるための、あらゆる努力を払う」と語った。
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ノルウェー
- ノルウェーは民主化指導者スーチーを賞賛し、氏の戦いを「1人の人間が何をなしうるかということへの輝かしい範例だ」と述べた。ボンデビック首相は声明の中で「スーチーは民主主義、人権、平和を目指す妥協のない戦いを勇気と忍耐を持って続けている」とし、解放は「ビルマの民主化に向けた広大な道のりの一歩」になるだろうと付け加えた。
またオスロに本部のあるノーベル委員会は、「今回のスーチーの釈放は、ビルマ軍事政権が民主化と自由へ向けて歩むというシグナルとして歓迎する」とし、「スーチーをノルウェーに招待する」と約束した。スーチーは91年のノーベル平和賞授賞式には参加できないままだった。
- ドイツ
- フィッシャー独外相は、スーチーの自宅軟禁解除に向けて「国際社会とEUは長年努力してきた」と述べた。スーチーの解放に向けて、EUは他の国と共に、経済制裁を含む強い措置を採り、政治的な枠組みの変更を迫ってきた。
- EU
- 欧州委員会は6日にスーチーの釈放を歓迎したが、欧州連合(EU)がビルマ軍政に課す制裁措置の緩和には一切触れなかった。EUのパッテン対外関係長官は解放の数時間後に声明を発表し、次のように述べた。「私はスーチーが自宅軟禁から解放されたとの知らせを歓迎する。これはビルマ/ミャンマーの発展、EU−ビルマ関係の発展にとって非常に積極的な一歩だ。ビルマでの民主主義と文民政権の樹立に対する氏の絶え間ない献身は、私たち全員を非常に強く鼓舞してきた。氏の解放が無条件であること、スーチーとNLDが自由に移動し、全国で政治活動を行えること、氏の解放に続いて、残された政治囚が速やかに解放されることを望む」。パッテン氏の声明は、EU15カ国による対ビルマ制裁には一切言及していない。4月22日に更新された制裁措置は、武器禁輸とビルマ軍政関係者への渡航禁止を含むものである。欧州議会はEUからの投資禁止に制裁を拡大することを示唆してきた。3月にはEU代表団の4人がスーチーとの会見に成功している。
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アメリカ
- パウエル米国務長官は6日、スーチーの釈放に「大変満足している」と述べた。国務省で行われた評議会で演説を終えた同長官は記者団に対し「私はスーチーが解放され、政治活動の再開を許可されたことに大変満足している」と述べた。米国は過去12年、スーチーのビルマ軍政との戦いを強く支援してきた。恐るべき人権侵害を行っているとして軍政を度々非難しており、一連の経済制裁を含む対ビルマ制裁を行っている。米政府関係者はスーチーの解放を繰り返し求める一方、民主化実施を目指すよう軍政に勧告を行ってきた。軍政指導部は5日、ワシントンのPR企業と米国大使を通じてスーチーの解放を発表するという異例の動きに出た。観測筋の一部はこの動きを米政府に対するジェスチャーと見ており、ビルマ政府は国際金融機関からの融資あるいは国内プロジェクトへの資金提供を受けるにあたり、米政府の同意が必要だと指摘している。
国際機関、NGO
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国連高等人権弁務官
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ロビンソン国連人権高等弁務官はスーチーの解放を歓迎し、氏が政治活動を完全再開できることを期待すると述べた。同高等弁務官はビルマに関する国連人権委員会特別報告官のピネイロ氏と、釈放を受けて共同声明を発表した。両氏はビルマ政府を「政治対話と国民和解プロセスに向けた重要な一歩」を記したとしてビルマ政府を賞賛した。また「スーチーが合法政党指導者としての通常の活動を完全再開できること、また同氏の釈放に続いて、ビルマ国内のすべての政治囚が釈放されることを期待する」とした。
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フォーラム・アジア
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人権団体「フォーラム・アジア」(人権と開発のためのアジア・フォーラム、本部バンコク)のソムチャイ事務局長はスーチーが自由に活動できることは民主化プロセスにとって重要だとする一方、ビルマ政府に対し、少数民族勢力を始めとする諸勢力を和解プロセスに含めるよう求めた。
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アムネスティ・インターナショナル
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アムネスティ・インターナショナルは、ビルマ国内で今も獄中にある政治囚に関心を集中した。ロンドン本部のカトサニス報道官は「氏の解放はビルマの人権状況にとって非常に積極的な展開である。私たちは数百名の政治囚の釈放がこれに間もなく続くことを期待する。ビルマでは現在も約1500人が投獄されている」とした。
*ミャンマーの国名表記について
日本と国連を除いた各国政府機関は、ミャンマーという国名変更を承認していないことから、英語でBurmaと表記している。AFPもBurmaと表記している。日本は1990年の閣議決定でMyanmarを承認している。
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