ビルマの21世紀のために
外を戦車が走っていないことだけを取り上げて、この国に問題がないなどと言うことはできません。街に戦車の走る国は世界にそうはありません。にもかかわらず多くの国で人々の基本的権利が尊重されていないのです。
東南アジアの中央に位置し、日本との関わりも深い国ビルマ(ミャンマー)は現在、政治、経済、社会のあらゆる面で深刻な問題に直面しています。
1988年の民主化運動弾圧後の現軍事政権は、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)などの民主派、反軍政の民族勢力が圧倒的な勝利をおさめた1990年の総選挙結果を無視し、現在も武力による政権運営を続けています。
ビルマでは現在もインターネットが自由に使えず、FAXの所持すら許可が必要な状態です。市民が自由に意見を述べることは不可能であり、いまも千数百人が政治的な見解を理由に投獄されています。
2002年5月6日に自宅軟禁から解放されたスーチー氏は、党の地方組織再建のために地方遊説をこなしていました。しかし軍政側は妨害行動を次第に先鋭化させ、2003年5月30日には上ビルマに滞在していたスーチー氏一行に対し、軍政が組織する大衆団体「連邦団結発展協会」(USDA)を使った計画的な襲撃を行いました。
この襲撃では死者数十人、負傷者・逮捕者200人が出たと見られており(軍政側発表は死者4人、負傷者50数人)、襲撃後にはNLD党本部と全国の支部閉鎖、中央執行委員会全員の自宅軟禁などビルマ全土で徹底的な弾圧体制が敷かれました。
国際社会の圧力などにより、逮捕されたNLD党員の部分的解放や、中央執行委員会の軟禁解除が行われていますが、スーチー氏とティンウー議長はいまだ自宅軟禁状態に置かれています。軍政が提唱する「民主制移行のためのロードマップ」も具体的な日程や行程が示されていません。なお96年に事実上頓挫した制憲国民会議の再招集が行われましたが、NLDなど軍政に批判的な勢力は排除されたままであり、お手盛りの会議が進められているにすぎません。今後の民政移管への道のりは依然として不透明です。
国内の経済危機は深刻さを強めており、生活のレベルが改善するきっかけは今のところありません。政府と軍が住民に課す強制労働、徴税、略奪などの人権侵害は大規模かつ組織的なものであり、国際的な批判を浴びています。また都市開発や軍事作戦を理由とした強制移住によって数十万人の生活が破壊されています。
その他にも民族勢力とビルマ軍との戦闘や、国軍による強制徴用や物資の略奪、拷問、略式処刑、暴行、性暴力などを避けるため、多数の人々が住み慣れた土地を離れています。
現在タイ国境のキャンプには15万人、インドとバングラデシュの国境にはそれぞれ数万人が難民として生活しています。タイで働くビルマ出身の移住労働者、ビルマ国内で国内難民となる人々はそれぞれ数十万人から百万単位と推計されています。
こうした日常的な人権侵害だけがビルマのすべてではありません。しかしビルマが直面する現実の一つであることは確かです。
軍事政権による弾圧から逃れるため、この10年以上の間に多数のビルマ人が国外に亡命しました。日本でも在日ビルマ人活動家が精力的な活動を展開しています。
しかし1992年から現在までの間、日本で難民申請をしたビルマ人は413人です。うち難民認定された人は102人、在留特別許可を取得したのは137人に過ぎません(ビルマ弁護団調べ、2006年3月24日現在)。しかも法務省側は、難民申請者本人を最長数年間に渡って入管収容所に身柄を拘束しています。在日ビルマ人は滞在先の日本でも非常に不安定な立場に置かれています。
日本政府はビルマ政府に対し、対話を中心とした外交努力を続けてきたと言います。しかしビルマ国内では民主化への進展がはかどらず、また軍政による人権侵害が一向に衰えていません。こうした現状を見る限り、日本の外交努力がはかばかしい成果をあげていると言うことはできません。
BurmaInfo(ビルマ情報ネットワーク)では、こうしたビルマの現状をより多くの人に伝えるため、各方面から入手した信頼できる資料を公開・配布しており、ビルマの状況が一刻も早く改善されることを目指して活動を行っています。(トップページに戻る)
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