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蟻が象の足を動かした?

渡邉 彰悟 (在日ビルマ人難民申請弁護団・事務局長)
2003年12月19日

 皆様,既報のとおりキンマウンラは本日仮放免となって家族の元に帰りました。娘たちも今夜からは枕ではなく,実物の父親の腕にしがみついて安心して寝ることができるでしょう。

 この間,署名を含めたご協力・ご支援をいただき本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。
  もちろん,あくまで仮放免ですから,家族の地位は完全ではありません。今後とも家族の在留資格が付与されるまで引き続きご協力をお願いいたします。

 先日のキンマウンラの文章の中に「象の足を噛み付く蟻」という表現があり,キンマウンラは「日本政府がこの蟻の痛みを感じてくれると信じています」と書きました。法務大臣にこの訴えは届いたと同時に,3万以上に及ぶ皆さんからの署名も,蟻の存在を気がつかせたのだと思います。

  本日(19日)の法務大臣の職権発動による仮放免はまったく突然の話でした。昨日、東京入管からは2度目の仮放免申請に対する不許可の連絡が入っており,実際に不許可通知が本日の午前中にこちらに届いておりました。そして午前中に突然の連絡で,仮放免の決定が通知されたのです。まさに突然の決定だったのです。

  この法務大臣の決定を私たちは心から歓迎します。
  しかし道はまだ途中です。この家族への在留資格の付与が私たちの最終的な願いです。そして,最後のところまで皆さんお付き合い下さい。よろしくお願いします。

 なお,以下の文章は,実は仮放免不許可の状況の中で昨日,書いたものです。

『こんなに成長したんだよ』

 デミが書いた作文の表題です。その内容は次のとおりです。

  私は,一才のたん生日に,お祝いをしました。ケーキなどを買ったり,おいしい料理を食べました。最後におじさんおばさん両親にやまほどプレゼントをもらいました。
  二才からは,しゃべれるようになり,三才からはもう,絵本も読めるようになりました。ようち園では,絵かきがすきで,いつも友だちと,絵を書いていました。楽しかったです。
  小学校一年生では,この萩中に,引っこして来ました。前の学校には,三日間しか行ったことがなく,友だちが作れませんでした。とても悲しかったです。
  二年になって,鉄ぼうの地球回りができるようになりました。うれしかったです。夏休みになり,いとこのいる青森に行くことになりました。いとことは,外で遊んだり,おばさんと,おじさんと畑に野さいを取りに行きました。楽しかったです。
  三年になり,二年生の時からできたらいいなと思った二重とびができるようになりうれしくて何回もやりました。
  そして,四年では,目ひょうだった水泳の六級で25m泳げるようになりました。私は,ど力すれば,何でもできるんだなと思いました。
  これからは,もっと上の級を目ざしてがんばります。

  私はこの子どもの成長を日本で見守りたいと願っています。
  日本の社会の中に生きながら,この子どもたちは将来必ずビルマの政治や文化を学び,そしてフィリピンの政治と文化も学ぶと思います。この子どもたちの感性の中でビルマとフィリピンとそして日本とが融合していくのです。それが多様化というものではないのでしょうか。

 もし,この子どもをフィリピンに送還したらどうなるのか。彼女たちはビルマとフィリピンを学ぶかもしれませんが,日本という国に対してどのような感情を抱くことになるのでしょうか。外国人に対して冷たく,自分たちの責任を果たさない,そんな温かみのない国として映るのではないでしょうか。

 私はこの子どもたちの成長そのものにとって日本での滞在が必要だと訴えていますが,それは,同時に私たち日本にとってもやはり必要なことだと思うのです。家族の送還は私たちにとっても大きな損失です。





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