象の足に噛み付く蟻
〜キンマウンラさんからのメッセージ
キンマウンラ
2003年12月10日
私はキンマウンラです。10月31日に収容されてから既に1ヶ月以上が経過しました。私は日本での在留を引き続き希望します。
私は収容された日に、「裁判でも負けたのではないか、ビルマに帰らなければいけない、それがいやならフィリピンに行かなければならない」と入管の職員から命令調で言われました。
2度目は11月20日以後のことでした。同じ職員から同じようなことを言われました。そのときには「46歳でフィリピンの言葉もできない、仕事もさがせない、どうやって生活をするのですか」と答えました。
私は、日本政府が私たち家族が一緒にいることを認めてくれると言ってくれたことに感謝しております。ただ、そうであるとすれば、どうして日本で保護してもらえないのでしょうか。私たちは日本の社会の中で平穏に暮らしてきましたし、これからも、これまでどおりに生活をしていきたいだけなのです。
日本政府はディペイン事件のあとで、新規ODAをストップし、ビルマ軍事政権に対して抗議の意を表明していただきました。その同じ政府が、私たち家族をこのように処遇されることに私はなかなか受けとめることができないでおります。日本政府に対して私たち家族を日本で守ってもらうための判断を心からお願いをします。
毎日のように誰かがきてくれます。一日に5人以上の人と面会をするときもあります。日本語学校当時のひとたち、吉田社長をはじめとする会社の人、ビルマ人民主化運動のビルマ人、弁護団関係の人たち、ジャーナリズムの人たち、たくさんきていただいています。とても感謝しております。署名も3万に近づいていると聞いています。本当にありがたく皆様に感謝します。自分の会ったこともない人たちからこのような署名を送っていただいていることをとてもありがたく嬉しく思います。
私にとっての心配事はやはり妻と子どものことです。特に小さい子どもたちは、どんな気持ちで暮らしているのだろうかといつも考えています。11月28日にマリアたちの仮放免申請がどうなるかとても心配でした。私と同じ部屋にいたタイ人の男性は妻もタイ人で二人とも収容されていました。そしてその二人の間の子どもは立川の児童施設に入れられていたといいます。
もし、私だけでなくマリアも収容されてしまい、子どもたちが私ともマリアとも切り離されてしまうような事態を考えると、今でさえ傷ついている子どもたちがさらに深く傷つく結果になってしまうのではないかと想像し苦しくなります。
日本での在留を認めていただきたいとの気持ちは現在も変わりません。ビルマについては迫害の危険が伴いとても行けませんしフィリピンにも行くことはできません。子どもたちと私たち親との間のコミュニケーションは日本語で、日本の社会の中で成長し、日本語で教育を受けて感性を育ててきた子どもたちにとっても日本での生活がこれからの成長にとって不可欠です。
今日、渡辺弁護士からデミが読書感想文コンクールの標語の部で賞状をもらったと聞きました。「本はものしりになる第一歩」だそうです。とても嬉しく思います。このようにデミたちは日本の学校で学び成長しています。この成長をここで見守ってあげたい、見守ってほしいと切望します。私も日本の中でこれまでどおり平穏な生活を送りたいと思いますし、またビルマの民主化のための活動をたゆまず継続したいと考えています。
このおかれている状況がつらくないとは決して言えません。しかし、多くの人々から寄せられる署名とメッセージに触れ、自分の訴えは支持されており、これまでどおり保護を要請したいと思っております。
「象の足に噛み付く蟻」というビルマ語の表現があります。いまの私と日本政府との関係はこの表現があてはまるものかもしれません。しかし、私は日本政府がこの蟻の痛みを感じてくれると信じています。
なにとぞ私たち家族を日本で保護していただきたく重ねてお願い申し上げます。
キンマウンラ(談)
*聞き取り:渡邉 彰悟(在日ビルマ人難民申請弁護団・事務局長)
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