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国際人権NGO資料

ビルマ(ミャンマー):強制労働から逃れるために難民となるシャンの人々
2000年7月17日配信 アムネスティ・インターナショナル 

※この文書の翻訳および発信元は、アムネスティ・インターナショナル日本支部のビルマ(ミャンマー)調整チームです。お問い合わせは同チームまでお願いします。

AI Index ASA 16/012/2000

アムネスティ・インターナショナル ニュースリリース
ビルマ(ミャンマー):強制労働から逃れるために難民となるシャンの人々
2000年7月17日発表

 アムネスティ・インターナショナルは本日、「シャン州からの逃避」と題する報告書を発表した。この報告書には、ビルマ(ミャンマー)国軍による、シャン州市民への殺人、拷問、強制労働の実態が詳細に記されている。

 シャン州の市民は4年以上にわたって、国軍と武装勢力間の紛争によって苦しめられてきたが、その間、ビルマ(ミャンマー)軍は、州の中心的武装勢力であるシャン州軍南部(SSA-South)に対する対ゲリラ戦の一環として、シャン州市民の大掛かりな強制移住計画を行ってきた。

 「軍とSSA-Southの先頭が続く限り、一般市民が、軍の非人道的な対ゲリラ作戦の一番の犠牲者となる」と、アムネスティは懸念している。また、「残念なことに、虐待に関する多くの証拠や国際社会からの広範囲の非難の声にもかかわらず、シャン州やその他の地域では改善が全く見られない」と述べている。

 「来週、バンコクにおいて開催されるASEAN(東南アジア諸国連合)の年次閣僚会議で、ASEANのメンバー国であるビルマ(ミャンマー)でおきている人権の危機的問題について、話し合うべきである」とアムネスティ・インターナショナルは要請している。

 今年のはじめ、アムネスティ・インターナショナルはタイで、シャン州中央部から逃れてきた難民にインタビューしたが、その全員が無報酬で、軍のための強制労働に従事させられた人々だった。彼らは、強制労働、強制移住、超法規的殺害などから逃れるために、故郷を捨てざるを得なかった、と語っている。あるシャンの男性は、「軍は何もくれなかった。それどころか、私たちを犬や豚のように扱った」と述べている。

 多くの難民が、まだ10歳そこそこの子どもたちも働かされていたと証言している。子どもたちは、道路の建設工事のために、小さな石を割ったり、岩や棒切れを運んだりさせられていた。「やつらは、誰一人として休ませようとはしなかったよ」と、ある男性は述べている。

 これらの強制労働や虐待の犠牲者の大多数は、国家平和開発評議会(SPDC:State Peace and Development Council、現軍事政府)による反体制勢力一掃作戦のために、土地や生活手段を奪われたシャンの稲作農民である。あるシャンの女性は、殺人がどのように行われているかを次のように説明した。「兵士は、私たちが田畑で耕作するのを許しませんでした。そして、森で人を見かけると、すぐに誰彼を問わず発砲したんです。森にいるのは、反政府勢力だけだから、というのがその理由でした」 1996年以来、SSA-Southとの関わりを疑われた30万人以上の人々が、そのつながりを絶つため、という理由で強制移住させられてきた。

 もうひとりのシャンの女性は、アムネスティ・インターナショナルに、今年1月に起こった殺人の様子を語ってくれた。ナンジン(Nanzing)の町で、彼女の友人だった40歳の男性と11歳の息子、18歳の娘は強制的に移住させられていたが、稲を植えるためこっそり農地に戻ったところ、作業小屋の中で射殺されたという。

 「ビルマ(ミャンマー)の人権侵害によって起こるタイへの難民流出を含む地域の治安問題は、ASEANと外交関係の深い国々との会議で議論されるべきだ」と、アムネスティ・インターナショナルは7月に行われる会議に先立ち、主張している。EUや他の西側諸国、日本、カナダもその参加国である。

[背景情報]

 軍が、住民に対して報酬を支払うことなしに強制労働に従事させることは、ビルマ(ミャンマー)では過去数十年にわたって行われてきたことである。この強制労働は、ビルマ(ミャンマー)のほとんどの少数民族が居住する7つの州で深刻である。道路工事や重い軍事物資の運搬といった仕事は何日も何週間も続く。

 50年以上にわたって様々な少数民族からなる武装反政府勢力が、より広範囲の自治や完全独立を獲得しようとしてビルマ民族中心の中央政府に対し、反乱を起こしてきた。SPDCと武装勢力の間では、17件の停戦合意がなされたようだが、SSA-Southを含む3つの反政府勢力は現在も国軍と戦闘を続けている。

 ビルマ(ミャンマー)の少数民族は、単に特定のグループのメンバーであるという理由だけで、様々な人権侵害にさらされる危険を負っている。彼らはしばしば強制労働のために拘束されるし、戦闘地域に住む人々は超法規的処刑や拷問の危険にさらされている。国軍が、彼らが武装反政府勢力を援助していると疑うためである。

 過去4年間の大規模な強制移住のなかで、何百人ものシャン州住民が自分の農地に戻ろうとして殺されたし、何千もの人々が、無報酬の道路建設やその他の工事のために拘束された。

 2000年1月から5月までに、5300人を超えるシャンの人々がタイの一地域へ避難した。タイ政府は、シャンの人々が難民キャンプに住むことを許可しないため、彼らは農業やその他の低賃金労働に職を求めている。過去4年間に、隣国タイに難民として逃れてきたシャンの人々は10万人以上にのぼる。

 アムネスティ・インターナショナルによる多くの報告書や、国連・その他の国際組織による、こうした人権侵害の停止を求める要求にもかかわらず、SPDCはいまだに国軍の行動を免罪として許している。タイへのシャン難民の流出は相変わらず多いし、そのことは、最も雄弁にビルマ(ミャンマー)における人権状況の早急な改善の必要性を示している。

(了)