トップページ >  ビルマの現状:連携団体の資料・ブックガイド >  国際人権NGO資料 >  アムネスティ 年次報告2001-ビルマ

国際人権NGO資料

アムネスティ 年次報告2001-ビルマ
2001年5月1日配信 アムネスティ・インターナショナル 

『Amnesty International Report 2001』(2001年版アムネスティ・インターナショナル年次報告書)のビルマ(ミャンマー)に関する国別報告の仮訳です(訳:社団法人アムネスティ・インターナショナル日本)。年次報告書の日本語全訳の購入については、アムネスティ・インターナショナル日本支部にお問い合わせください。

アムネスティ・インターナショナル 年次報告2001
ビルマ(ミャンマー)連邦

ビルマ(ミャンマー)連邦
首都:ヤンゴン
人口:4680万人
公用語:ビルマ語
国家元首兼首相:タンシュエ上級大将
死刑制度:存続

 200人をこえる政党員や若い活動家を含む何百人もの人々が、政治的理由により逮捕された。この他に、10人が不公正な裁判の結果、長期にわたる拘禁を言い渡されていることが知られている。前年に逮捕された少なくとも1,500人の囚人が、刑務所に収監されたままである。この中には、100人以上の良心の囚人と何百人もの良心の囚人と見られる人も含まれている。アウンサンスーチーさんと他の国民民主連盟(NLD)の幹部は軍によって事実上の自宅軟禁の状態におかれている。これは、NLDの幹部が他の幹部と接触するためヤンゴンの外に出かけないようにするためである。刑務所の状況は、残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱いと政治的囚人の拷問が報告されている。国軍は少数民族の民間人を捕らえ、強制労働に従事させている。また、シャン、カヤー、カイン(カレン)州での反政府勢力の一掃作戦において、少数民族を殺害している。5人が薬物の不正取り引きのかどで2000年に死刑判決を受けた。

背景
 これまでにも政府軍は、カレン民族同盟(KNU)、カレンニー民族進歩党(KNPP)、シャン州軍(南部)(SSA-South)との間で小競り合いを続けてきた。前年までに,国家平和開発評議会(SPDC)と様々な少数民族の反政府武装組織との間に交された16の休戦協定は、維持されている。

政治的膠着状態の継続
 国内外の努力にもかかわらず、SPDCの軍事政権はNLDとの対話を拒絶している。8月、アウンサンスーチーさんほかNLD幹部はほかのメンバーを訪ねるためヤンゴンを離れた。彼らは治安当局によってヤンゴンに強制的に連れ戻されるまで、ダラー地区の路上に10日間留め置かれた。その後、12日間自宅軟禁となり外部との連絡がとれなかった。ヤンゴンにあるNLD党本部は家宅捜索をうけ、書類が押収されたとの報告がある。9月、アウンサンスーチーさんとNLDのウー・ティンウー副議長が列車でマンダレーを訪れようとしたとき、彼らはヤンゴン駅から強制的に退去させられた。ウー・ティンウー副議長はイェーモン軍情報部基地に連行されそこに拘留された。アウンサンスーチーさんと8人のNLD中央執行委員は自宅軟禁となり年末まで留め置かれた。2回にわたってNLDメンバーが旅行しようとしたことで、アウンサンスーチーさんに挨拶しに駅までやってきたNLD支援者をふくむ100人ちかくが逮捕された。

政治囚
 政治的理由で少なくとも1,700人が収監されたままである。この中には国会議員当選者37人のNLDメンバーもふくまれる。さらに45人の国会議員当選者が1998年9月に逮捕された。そのうち43人がNLDメンバーで、起訴もなく「隔離軟禁所」に拘束されたままである。彼らは、SPDCが拒絶している国会を召集しようとして逮捕された。ヤンゴン管区パズンダウン郡選出のNLDメンバー、ソオ・ナインナインは1999年1月に釈放されたが、2000年9月に再逮捕された。
 10月に国連事務総長の特使がビルマを訪問したあと釈放された5人の高齢者をふくめ、10人の政治囚が釈放されたことが分かっている。
 NLDが選挙で勝利をおさめてから5月で10周年を迎えるにあたり、何百人ものNLD支持者が逮捕された。5月と7月に行われた記者会見でSPDCは、NLDが海外の反政府グループと関係していると非難した。SPDCは、これらのグループはテロ活動に関与していると主張している。


刑務所の状況
 赤十字国際委員会(ICRC)は、選挙で選ばれた国会議員が拘禁されている「政府のゲストハウス」と呼ばれている隔離軟禁所と何箇所かの労働キャンプを継続して訪れている。しかしながら、拷問が最も頻繁に報告されている軍情報司令部への接触方法は知らされていない。4月、ICRCはおよそ1,500人の「治安維持のために拘禁されている囚人」を確認したと発表した。刑務所の状況は、たいていの場合、適切な食料、水、衛生状態、そして医療措置が欠けていることからひどくお粗末である。マンダレー管区にあるミンヂァン刑務所とバゴー管区にあるタラワディー刑務所はとくに苛酷な状況であることで知られている。

拷問/虐待
 政治囚に対する拷問および虐待の報告が続いている。拷問の方法には、軍靴で激しく蹴り上げる;激しく殴打する;皮膚が剥がれ落ちるまで鉄の棒ですねを上下に繰り返しこする;窒息させる;囚人を天井から吊して回転させたり殴打したりする「飛行機」などがある。

強制労働
 政府軍はシャン、カレン、カレニーの少数民族の民間人を強制労働に従事させるために拘束し続けている。彼らはインフラ事業の労働や治安軍が使う設備の運搬をさせられている。労働キャンプにおけて刑事犯が、石割りや軍の荷物運びとして働かされる強制労働も報告されている。

超法規的処刑
 政府軍との戦闘になんら関わっていない少数民族の民間人が超法規的に処刑されているとの報告がある。シャン州のクンヒン郡において、100人以上のシャン人と丘陵地帯で暮らしている少数民族が1月から3月にかけて殺害されたとみられる。シャン州軍(南部)はクンヒン郡での動きが活発であるとの報告がある。

国際社会の反応
 SPDCは国連女性差別撤廃委員会へ一次報告書を出した。委員会は、とりわけ少数民族の女性と拘留されている女性の窮状に懸念を表明した。 6月に行われた国際労働機関(ILO)総会は、SPDCが11月30日までに強制労働に関するILO規約29条に従って「具体的かつ詳細な方策」を施行するよう求めた。ビルマは1955年に同機関に加盟している。もしSPDCが従っていないことが判明すれば、ILO加盟国は、同国との関係を見直し、[SPDC]が現状を永続させることがないようにすべきであると勧告した。11月、ILOの執行部は会合を開き、SPDCが規約29条に従った十分な具対策をいまだとっていないと判断し、6月に採択した決議を支持した。
 4月、国連人権委員会は、「ビルマにおける著しくそして組織的な人権侵害の構図が続いている」ことを憂慮し、国連の「ミャンマーに関する特別報告者」の任務をもう1年延長する9回目の決議を全会一致で採択した。12月の国連総会でも非難的な語調で書かれた決議が全会一致で採択された。4月、国連事務総長はビルマへの新しい特使としてラザリ・イズマイル氏を任命した。彼はビルマに関する1999年の国連決議を遂行する任務を負っている。彼は、6月と7月、そして10月にも再び同国を訪れ、タンシュエ上級大将とアウンサンスーチーさんに面会している。11月、国連の「ミャンマーに関する特別報告者」が辞任した。彼は4年間の在職期間中、一度も同国への入国が許可されなかった。
 5月、米国は同国に対する経済制裁の期限を更新した。4月、ヨーロッパ連合(EU)は、SPDCのメンバーとEU加盟国在住の政府高官への資産凍結をふくめる「共通の姿勢」を強化し、10月には更新も行った。SPDCは10月に行われることになっていたEUの三者訪問を延期したが、EUと東南アジア諸国連合(ASEAN)との会談は,SPDCも出席して12月にラオスで開かれた。

アムネスティ報告書
Unsung heroines: Women of Myanmar (ASA 16/004/2000)
Myanmar: Exodus from the Shan State (ASA 16/011/2000)
The institution of torture in Myanmar (ASA 16/024/2000)