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国際人権NGO資料

強制労働、強奪、強制移住、そして土地の強制収用―地方生活の実態
2002年7月17日配信 アムネスティ・インターナショナル 

※この文書の翻訳および発信元は、アムネスティ・インターナショナル日本支部のビルマ(ミャンマー)調整チームです。お問い合わせは同チームまでお願いします。

ビルマ(ミャンマー):強制労働、強奪、強制移住、そして土地の強制収用―地方生活の実態
アムネスティ発表国際ニュース
2002年7月17日
 
 ラングーン(ヤンゴン)では人権状況にいくばくかの改善がみられる。だが、それは反政府勢力と中央政府との間で戦闘が続いている少数民族の居住地域には、依然として波及していない。タッマドー(国軍)による強制労働や強奪、土地の強制収用などが続けられ、民間人の生活を圧迫し続けている。アムネスティ・インターナショナルは、本日そのように述べた。

 今回発行された新しい報告書で、アムネスティは、ビルマ(ミャンマー)東部地域の民間人がどのようにタッマドー(国軍)による生活物資の搾取に耐え、生き延びているかについて記述している。

 アムネスティは100人ほどの移住者に聞き取り調査をしたが、みな、もはや生活できないため、自らの家を去り移住したと述べた。彼らのほとんどはシャン、モン、カレンといった、辺境地域で農業や漁業で生計を立てている少数民族の出身である。

 アムネスティが聞き取り調査をした人びとの多くは、この18ヵ月間、無報酬で強制労働をさせられていた。道路や軍のキャンプ地での建設作業、軍の農場での作業、また兵士のポーターとして、何日間、時には何週間にも及ぶ運搬作業に従事する、などである。ある66歳の男性は、過去50年もの間、断続的にタッマドー(国軍)のための強制労働をさせられ、最近では、今年の2月にも強制労働をさせられたと述べている。

 ビルマ(ミャンマー)政府は、強制労働を違法としているが、民間人への強制労働を止めるよう、との命令は必ずしも守られていない。「ビルマ(ミャンマー)政府は命令が軍のあらゆるレベルにまで確実に届くようにする必要がある。また、村民に対しては、彼らの権利を彼らが理解する言語で知らせなければならない。」

 アムネスティの報告書は、政府の対武装勢力作戦により、市民がどのように殺されたり拷問を受けたりしているか、についても説明している。シャンのある村人はアムネスティに対し、彼女の友人、エーセン(Aye Seng)がタッマドー(国軍)からひどい拷問を受けたあげく、一年後の2001年12月に亡くなったときのことについて語ってくれた。

彼は5夜、打たれ続けたと私に言った。ほとんど死んだようで、何とか私たちの隠れ家まで帰ってきたという感じだった。そのとき以来、彼はかなり衰弱し、痛みに苦しんでいた。戻ってきた時、彼の頭の傷から鼻や目に血が滴っていた。当局は彼が武装集団のSSAに米を渡したと非難したが、彼には自分自身のための米すらなかった。彼は治療を受けなかった。町にもあえて行かなかった。
 23歳のモンの女性は、彼女の親が所有していたゴムの木の農園が、2001年7月に他の約30家族の土地と一緒に没収された時のことを思い出して語ってくれた。タッマドーはそれらのゴムの木とビンロウジの木を切り倒した。軍隊への支払いが増え、彼女の家族は町への移住を強制され、無報酬で兵舎の建設労働をさせられた。

 アムネスティが調査した移住者たちは、また、タッマドー(国軍)から絶えず金銭や物品を要求されていた。軍は収穫米に対し現物で税を課しており、農業で生計を立てている農民はしばしば、収穫高に関わらず彼らの米を一定量差し出すか、市場価格よりもかなり低い価格で売ることを余儀なくされる。そのため、農民がその家族で食べるための米は不足している。

ビルマ(ミャンマー)東部の民間人の状況は、重大な懸念事項である。政府は軍による強制労働、強奪、土地の強制収用を止めさせるための緊急の対策を行い、全国の人権状況の改善に真剣に取り組んでいるという態度を示す必要がある。
とアムネスティ・インターナショナルは述べた。

 民間人の安全は、様ざまな武装集団が横行していることでさらに悪化している。そうした武装集団もまた、一般市民を標的とした殺人をおこない、人権侵害に加担している。

 この報告書はタイにおけるビルマ(ミャンマー)人移住労働者の生活についても記述している。彼らはビルマ(ミャンマー)の彼らの家からタイへ向かう途中、様ざまな脅威に遭遇した。移住労働者は国境の両側で特に密入国斡旋業者による人権侵害を受けた。今年の2月、タイの警察は国境付近で20体のカレンの人びとの死体を発見した。彼らは目隠しをされ、手首を縛られ、喉をかき切られていた。

背景情報

 2000年末以降、ビルマ(ミャンマー)では人権状況のいくばくかの改善が見られる。政府は、ビルマ(ミャンマー)に関する国連事務総長特別代表のラザリ・イスマイル(Razali Ismael)大使、ビルマ(ミャンマー)に関する国連特別報告者のパウロ・セルジオ・ピニエイロ(Paulo Sergio Pinheiro)教授、そして国際労働機関(ILO)の高官チームといった 国際派遣団の訪問を認めた。また、ILOはラングーン(ヤンゴン)に事務所を設置することができた。

 2000年末以降、300名の政治囚が釈放された。今年5月に釈放されたビルマ(ミャンマー)の主要政党、国民民主連盟 (NLD)の指導者である アウンサンスーチーもそのうちの一人である。(了)

出典:Amnesty International, Myanmar: Forced labour, extortion, displacement and land confiscation - the rural life (AI Index: ASA 16/006/2002), 17 July 2002.