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国際人権NGO資料

「ビルマ(ミャンマー):紛争地域で迫害される人びと」 出版のお知らせ
2003年4月1日配信 アムネスティ・インターナショナル 

※この文書の発信元は、アムネスティ・インターナショナル日本支部の ビルマ(ミャンマー)調整チーム です。お問い合わせは同チームまでお願いします。

アムネスティ報告書「ビルマ(ミャンマー):紛争地域で迫害される人びと」 出版のお知らせ

 2002年7月に発表された、アムネスティ・インターナショナル報告書「ビルマ(ミャンマー):紛争地域で迫害される人びと」の日本語版が完成しました。

 タイ国内7箇所に暮らすビルマからやってきた(逃れてきた)人びと約100人を対象に、2002年2月から3月にかけて行った聴き取り調査をまとめたものです。

 この約100人の民族構成はシャン人、ラフー人、パラウン人、アカ人、モン人、ポーカレン人、スゴーカレン人、ラカイン人、タヴォイ人、そして最大民族のバマー(ビルマ)人と様ざまです。この報告書で述べるのは、これらの人びとがアムネスティに語った、過去18ヶ月のビルマ東部における人権侵害の概容です。また、タイにおけるビルマ人労働者のさまざまな現状に関しても述べています。構成は次の8章からなっています。

第1章 はじめに
第2章 背景
第3章 シャン州南部
第4章 モン州及びタニンダ―イ管区
第5章 カイン州
第6章 反政府武装勢力による人権侵害
第7章 タイ国内のビルマ人移民労働者
第8章 ビルマ政府への勧告

 ビルマについて活動されているみなさま、これから勉強しようとお考えのみなさま、ぜひ1冊お手元におき、ご活用ください。

■販売価格
定価:1部 500円
送料:実費を頂戴いたします

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ご注文部数、お名前、送付先ご住所、お電話番号またはEメールアドレスをお書きの上以下のいずれかの方法でお申し込みください。

メールで info@amnesty.or.jp
ビルマ(ミャンマー)調整チーム 宛
ファックスで
03-3518-6778 (アムネスティ東京事務所)
お電話でも受け賜ります。
03-3518-6777 (同上)
東京事務所でも直接ご購入いただけます。
■お支払い方法
 ご注文の報告書と一緒に郵便払込用紙をお送りいたします。郵便局にてお振込みください。

報告書本文から~「第1章 はじめに」
 アムネスティ・インターナショナルは、2002年2月から3月にかけて、タイ国内7箇所に住むビルマ(ミャンマー)からのやってきた人びと約100人を対象に聴き取り調査を行った。この100人の民族構成はシャン人、ラフー人、パラウン人、アカ人、モン人、ポーカレン人、スゴーカレン人、ラカイン人、タヴォイ人、そして最大民族のバマー(ビルマ)人と様ざまである。彼らはもともとモン、カイン、シャン、ラカイン州とバゴー、ヤンゴン、タニンダーイ管区の出身である。以下に述べるのは、これらの人びとがアムネスティに語った、過去18ヶ月のビルマ東部における人権侵害の概容である。これらの報告からは、ビルマ(ミャンマー)国軍と戦う反政府武装勢力による民間人への虐待のケースもいくつか窺える。本報告書の最後には、タイにおけるビルマ人労働者のさまざまな現状を述べる。

 聴き取り調査に答えた人びとの多くは、さまざまな理由からビルマでの虐待の恐怖を根強く持っているが、これらの理由は1951年の難民の地位に関する条約に規定された難民の定義(人種、宗教、国籍、特定の社会的団体のメンバーであること、または政治的な思想信条のために難民となる)に該当するものであるといえる。

 これらの人びとが実際にはタイの政府指定難民キャンプには住んでいなかったからといって、彼らが他の移民労働者と一緒に強制送還されても人権侵害を受けなかったであろうということには到底ならない。彼らのうち、アムネスティに話をした幾人かはタイ政府の労働・社会福祉省に登録されており、つまり合法的に国内に滞在している。しかし他方では、2001年10月の登録締め切りに間に合わなかったり、登録料を払えなかったり、居住地域の役所まで出向くことが出来なかった人びともいた。しかしながら、タイ政府はタイ国内のすべての移民に対して、彼らの法的状況にかかわらず人権侵害から保護する義務がある。

 聴き取り調査に答えた祖国を逃れてきた人びとは一様に、厳しい政治や経済状況下でそれ以上生きていくことができなかったと述べた。タイへの移住の理由には、仕事の欠如、地元駐留軍の頻繁な金銭要求、強制労働、強制移住、ビルマ国軍による土地没収などがある。アムネスティの聴き取り調査に答えたほとんどの人は少数民族の出身であり、さまざまな民族別に組織された武装集団に対して国軍が反撃をしかけているという状況のなかで人権侵害に苦しんでいる。アムネスティが聴き取り調査したほぼすべての人びとが、カイン州、モン州、シャン州、タニンダーイ管区といったビルマ東部の農村地域出身で、農業・漁業によって自給自足していた。

 ビルマ政府は1989年以来、17の反政府武装集団(そのほとんどが民族集団)と停戦合意したと発表しているが、その合意はより恒久的な政治的和解にはまだ至っておらず、各集団はいまだに武装している。また、面積はさまざまだが、個々のテリトリーを持っているのが実情である。なかでも3大武装集団であるカイン州のカレン民族同盟 (KNU: Karen National Union)、カヤー州のカレンニー民族解放戦線 (KNPP:Karenni National Progressive Party、編注:カレンニー民族進歩党の軍事部門が「解放戦線」)、南部シャン州のシャン州軍(南部方面軍)(SSA-South: Shan State Army-South)は、ビルマ東部で中央政府と争い続けている。

 KNUはタニンダーイ管区においても、モン民族の小さな武装集団と共に活動している。加えて国内の他の地方でも、更に小さな武装集団が存在している。ビルマの数多くの武装民族集団はもはや主要な国土を支配することは出来ず、辺境でばらばらに活動し、時折村を訪れては食糧を請うのである。

 アムネスティが聴き取り調査した人びとのうち、ビルマ国内でも軍事行動が少ない地域の住民は軍隊によって苦渋を強いられたことは多くはないが、軍事基地の近くに住んでいた人は、軍隊に拘留され強制労働に従事させられるリスクがより高い。更に、軍が大規模に集合している地域の住民は、軍からの定期的な金銭・物品徴収を余儀なくさせられていた。1997年以降、軍は各隊の自給自足を推進し始めたと伝えられており、地元農村への物品供給の要求は拡大していった。民族集団のグループが統治する地域に住んでいる人びとの大多数が強制労働従事、強制移住、拷問、国軍による.超法規的殺人の被害を受けていた模様である。反政府武装勢力による虐待を受けた人もいる。

 ビルマ東部では、国軍、KNU、KNPP、SSA-South以外にもさまざまな武装勢力が拡散したり分裂したためにますます治安が悪くなっている。これらのグループの中には、1994年の終わりにKNUから分離した民主カイン仏教徒軍(DKBA:Democratic Kayin Buddhist Army)のように、非公式に国軍と組んでいるところもある。いくつかのモン人のグループは、1995年に国家法秩序回復評議会(SLORC)(4)と停戦合意した新モン州党(NMSP: New Mon State Party)から分離した。これらのモン人の武装集団はモン州およびタニンダーイ管区のあちこちで国軍と戦っている。彼らの活動の結果として、国軍とNMSPの板ばさみになる村人もいる。例えばこれらすべてのグループが村に資金を要求するのである。そして更に、国軍によって訓練され武装された村人からなるピードゥシッと呼ばれる民兵組織が、すでに緊張状態にあるこれらの地域に更なる緊張を与えている。民兵組織は国軍によって各村の安全を保障する仕事を課せられており、時には強制労働や資金提供からも免除されている。

 この報告書では、市民に対しビルマ国軍が行っている超法規的処刑、拷問、強制労働、脅迫による土地の没収、金銭や食糧の強要などの人権侵害に関してアムネスティが調査したものをまとめている。加えて児童の強制徴兵の2例も含む。一例は国軍によるもの、もう一例はSSA-Sによるものである。本報告書では、2001年初頭から2002年初頭にかけての人権侵害を取り扱う。

 人権侵害の被害者は、シャン人、アカ人、パラウン人、南部シャン州に住むラフー人、モン州とタニンダーイ管区に住むモン人、タヴォイ人、カイン州に住むカレン人、モン人の各少数民族である。ここであきらかになったのは、人権状況に若干の改善はあったものの、昨年中のビルマ東部での軍隊による少数民族への暴力行為はまったく減少していない、ということであり、アムネスティはその点を憂慮している。(以下、続)