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国際人権NGO資料

アムネスティ 年次報告2007-ビルマ
2007年5月1日配信 アムネスティ・インターナショナル 

Amnesty International Report 2007(2006年の人権状況をまとめたもの)のビルマのページの仮訳です。

アムネスティ 年次報告2008-ビルマ
アムネスティ・インターナショナル 年次報告2007(仮訳)
ビルマ(ミャンマー)連邦

ビルマ(ミャンマー)連邦
UNION OF MYANMAR
国家元首:タンシュエ上級将軍
政府首班:ソーウィン将軍
死刑制度:存置
国際刑事裁判所設置規程:未署名

2006年1月から12月の出来事についての報告

 軍事政権が反政府武装勢力および平和的な反政府活動家のどちらに対しても弾圧を強めたため、1年を通じて人権状況は悪化した。国連安全保障理事会はビルマ問題を正式議題として取り上げた。カイン(カレン)州やバゴー管区での軍事行動では、国際人権法や人道法を大規模かつ組織的に侵害し、人道に対する罪にも相当する行為があった。政府は新憲法の草案づくりを継続する一方で、政党から離脱するよう活動家に圧力をかけている。1年を通じて、平和的な政治活動に関わった人びとや、表現や結社の自由を平和的に行使した人びとが多く逮捕され続けた。年末時点で、反政府活動家の古参指導者の多くが投獄または行政拘禁されている。彼らを含めて政治囚は1185人以上いるが、刑務所内の環境は劣悪である。少なくとも2人に死刑判決が下された。
背景
 新憲法の骨子を起草する国民会議は 1 月に会期を終了し 10 月に再開したが、主要野党である国民民主連盟( NLD )は参加していない。憲法に反対する言動を有罪とする法律の規定は残され、国民会議の出席者は公開の議論を禁止された。政府は、軍の役割や市民の権利義務といった分野を含む憲法草案の骨子の大部分は決定したと発表した。

国際社会の動き
 国連安全保障理事会は、9月にビルマ問題を正式議題として取り上げた。国連総会は決議を採択し、国連人権理事会は特別報告者の任期を更新したが、報告者は入国を拒否され続けている。国連の政治問題担当副事務総長は5月と11月にビルマを訪問した。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国は、ビルマの改革の進捗が遅いことに不満を表明し、改めて政治囚の釈放を求めた。国際労働機関(ILO)は、当局による強制労働が改善されないことに深い懸念を表明した。欧州委員会は、HIV/エイズ、結核、マラリアの患者を治療するための新たな人道的支援プログラムに着手した。

人道に反する罪
 カイン州東部とその周辺地域でカレン民族同盟(KNU:軍事政権に反対するカレンの武装組織)への国軍の攻撃は激しさを増している。紛争のために1万6000人以上が避難した。村人は、国際人道法や人権法に違反する広範で組織的な、人道に対する罪に相当する行為があったと報告した。家屋や作物の破壊、強制「失踪」、強制労働、拷問、カレン民間人の超法規的殺害が増加している。農作業や買出しのために村を離れることを当局が禁じたため、多くの村人が食糧難に陥っている。カレン国民同盟の武装勢力とタマドゥ(国軍)の双方が、地雷を一層使うようになった。その他にも、集団処罰として長期にわたる通行止めやその他の移動の禁止、村全体の焼き討ちなどの人権侵害が行なわれ、2月にはカイン州北部で村長と数人の村人が殺害された事件が報告された。他地域ではシャン州軍(南部方面軍)と国軍の間で小戦闘があり、民間人が犠牲になった。

強制労働
 一年を通して、カイン州、モン州、ラカイン州、カチン州、バゴー特別管区で強制労働が広範に行なわれていると報告された。囚人が軍のポーターとして働かされることが増えており、拷問その他の虐待の対象にもなっているようである。逃走を試みて失敗し、殺害された囚人ポーターが大勢いるという。政府に強制労働をさせられたとの申し立てを、政府は「虚偽」だとして法的手段に訴えると脅していることが、共同でこの問題に取り組む際の大きな障害になっているとILOは懸念している。当局はILOの個別の要請に応え、強制労働を申し立てて投獄されていた2人を釈放し、他の囚人に対する告訴を取り下げた。7月には、強制労働を申し立てた人びとに対する起訴を6カ月間停止することが決まった。

政治的理由による投獄
 人権を平和裏に行使することを犯罪とする国内法に従い、公正な裁判の国際基準を満たさない手順に則って、政治裁判が行なわれる。逮捕状がないまま逮捕され、被告人には弁護人がつかないか、自ら選んだ弁護人に依頼することができない。被拘禁者は長期間、隔離拘禁される。

 学生運動のかつての指導者で、良心の囚人であるテェチュエ、コーコージー、ポーウートゥン、ミンゼヤー、ピョンチョが、9月下旬に拘禁され、年末まで隔離拘禁された。当局はこれを「反乱防止」だとしている。

 良心の囚人でありNLD指導者のアウンサンスーチー書記長、ティンウー副議長、メイウィンミン、タンニェイン医師はみな裁判も起訴もないまま拘禁されており、拘禁期間を最高1年間延長された。メイウィンミンとタンニェイン医師は1997年10月以来拘禁されており、7年の実刑期間を越えている。アウンサンスーチー書記長は一層隔離され、ごくたまに医師が訪問することしか許されていない。

釈 放
 2006年には多数が釈放された。

 地方当局による強制労働や土地押収について報告したとして、7年および18カ月の禁固刑を受け、2005年10月に投獄されていた人権弁護士ウーアエーミンとスースーヌエの2人が6月と7月に釈放された。

 シャン民族の古参政治家で作家でもあり、80代になるウーシュエオンが、2月に禁固命令が終了したため自宅軟禁から解放された。

 1980年代初頭から拘置され、健康状態が危ぶまれていた少なくとも2人のカレン民族同盟(KNU)のメンバーが9月と10月に釈放された。

刑務所の状態
 すでに劣悪な刑務所の状態がこの1年でさらに悪化した。当局は囚人が家族から差し入れとして受け取る食糧の量について新たに制限を設け、刑務所に割り当てる食糧予算を引き下げた。医療の不足も報告されている。国際赤十字(ICRC)の訪問は、政府関連機関の担当者の同行を義務付ける条件を赤十字が拒否し、1月に中断された。

 劣悪な刑務所環境が一因となって、多くの良心の囚人の健康状態は芳しくない。NLDの国会議員でもあるタンニェイン医師もその1人で、肝臓病およびその他の病状に苦しんでいる。

拷問とその他の虐待
 尋問中や裁判前拘禁中に拷問その他の虐待が行なわれたと多数報告された。刑務所内での拷問は増加したと思われる。家族が補償を求めても当局は拒否し、嫌がらせをしたり圧力をかけたりして苦情を取り下げさせようとした。

拘禁中の死亡
 少なくとも6人の政治囚が獄死した。拷問、不十分な食事や医療が原因と思われる。多くの囚人は家族から遠距離の刑務所に収監されるため、十分な食糧や医薬品が得られない。

 10月、学生運動家で良心の囚人であるテッウィンアウン(35歳)がマンダレー刑務所で死亡した。彼は1998年の逮捕時に拷問を受け、59年の禁固刑を下されていた。刑務所内でマラリアや精神障害をはじめさまざまな疾病を患い、長期に渡って独房に入れられていた。

表現、平和的な集会、結社の自由
 表現、平和的な集会、結社の自由といった権利の行使を制限する法律は依然として厳格に執行されている。インターネットへのアクセスも制限されている。政府は多くのウェブサイトを閉鎖し、無料のインターネットメールサービスも断続的に妨害している。

 4月以降、NLDとシャン民族民主同盟(SNLD)のメンバーや支援者が脅迫や嫌がらせを受けている。集会は妨害され、NLDが国内に社会不安を引き起こそうと企てているとして、国営報道機関はNLDを日常的に非難し脅迫している。年末までに数百人のNLD党員が離党したとの公式発表があった。

アムネスティ報告書
Myanmar: Human rights violations continue in the name of national security (ASA16/002/2006)
Myanmar: The UN Security Council must act (ASA 16/007/2006)[日本語訳]
Myanmar: Ko Thet Win Aung, prisoner of conscience, dies in prison (ASA 16/015/2006)[日本語訳]