トップページ >  ビルマの現状:国際関係・対日関係 >  国際社会 >  プレスリリース:アウンサンスーチー氏有罪判決は不当 日本政府は国際社会と連携して実質的な行動を

国際社会

プレスリリース:アウンサンスーチー氏有罪判決は不当 日本政府は国際社会と連携して実質的な行動を
2009年8月11日配信 ビルマ情報ネットワーク ビルマ市民フォーラム

(2009年8月11日、東京)本日、ビルマ(ミャンマー)の民主化指導者でノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー氏に禁固3年の有罪判決が宣告された(直後に1年半の自宅軟禁に減刑)。

アウンサンスーチー氏は、過去19年間のうち13年間を自宅軟禁下に置かれてきた。今回の有罪判決は、この状態をさらに長引かせ、アウンサンスーチー氏の自由を奪い続けるまったく不当なものだ。アウンサンスーチー氏はこの困難な状況に、品位を失うことなく立ち向かっている。わたしたちはこうした氏の闘いに深い敬意を表明すると同時に、日本政府に毅然とした対応を求める。

今回の判決は、米国人男性がアウンサンスーチー氏宅に侵入したことを口実としてビルマの軍事政権(国家平和発展評議会=SPDC)がアウンサンスーチー氏を起訴したことによる。軍政は来年2010年に、一方的に起草した新憲法に基づいた総選挙の実施を計画している。この点についてビルマ市民フォーラム代表の永井浩は「総選挙での『勝利』を確実にするため、国民の支持を集めるアウンサンスーチー氏の拘束を続けたいという思惑が働いたのは明らかだ。アウンサンスーチー氏を始めとした政治囚が自由の身になり、民主化改革のプロセスに参加できない限り、ビルマの国民和解は進まない」と述べた。

今回の訴追を通じて改めて露呈したのは、ビルマ軍政には真の民主化に向けた歩みを進める意欲が完全に欠如しているという事実にほかならない。世界中の支援団体が呼びかけているように、今こそ国際社会がひとつになり、実質的な行動によってビルマ軍政に応じるべきだ。具体的には、国際的な武器禁輸措置や、軍政が犯しているとされる人道に対する罪についての国際調査委員会の設置などが必要だ。

日本は民主主義国家として、またビルマへの主要な支援国として、同国の現状に重い責任を負う。しかし政府の対応は不十分だ。中曽根弘文外相はたしかに懸念を表明しているが、その表現はきわめて穏やかだ。驚くべきことに「〔訴追は〕国内の司法プロセスの問題ではある」「(アウンサンスーチー氏への)医師・弁護士の提供や外交団による(裁判の)傍聴などの努力は評価する」といった発言まで存在する。判決の一週間前には3.5億円の無償資金協力の供与も約束した。こうした日本政府の姿勢について、根本敬・上智大学外国語学部教授は「あまりに間接的で穏健にすぎる表明だ。これでは軍政に対する抗議とはいえず、日本の姿勢を逆に誤解させることになりかねない」と語る。

ビルマ情報ネットワークのディレクターで米国弁護士の秋元由紀は「ビルマ軍政は天然ガスの輸出により多額の収入を得ているのに、国民の福祉を充実させず、予算の多くを武器の輸入や国軍の増強に充てている。その武力はもっぱらビルマ国民、特に少数民族住民に対して使用される。日本は軍政のこうした行動を正視し、軍政が自国民をこれ以上傷つけるのを防ぐためにも、人道に対する罪についての調査委員会の設置や、武器禁輸措置の採択に向けて、国連安保理内でリーダーシップを発揮してほしい」と述べる。

アウンサンスーチー氏はかつて「皆さんの自由を、私たちが自由になれるように行使してください」と言った。わたしたちは、日本政府がビルマの人びとの側に立つ、本当の意味での支援国になることを求める。

以上

スーチー氏起訴後の主な日本政府の発表

外務報道官談話 アウン・サン・スー・チー女史に対する訴追について(5月15日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/21/dga_0515.html
「深い懸念を持って現状を注視している、…民主化が全ての関係者が参加する形で進められ、2010年の総選挙が国際社会から評価されるものとなることを期待する」

日ミャンマー外相電話会談(5月18日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/21/5/1191908_1097.html
「(訴追は)2010年に実施が予定されている総選挙に対する関係国の評価に大きな影響を与えるものであり深く懸念している・・・国内の司法プロセスの問題ではあるものの、このような国際社会の声を踏まえ適切に対応してほしい・・・国際社会に祝福されるような形で・・・民主化プロセスが進むことを期待する」

日ミャンマー外相会談(概要)(5月25日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_nakasone/vietnam_09/0905jm_gk.html
「深く懸念している、・・・(訴追は)司法の問題であることは理解するし、また医師・弁護士の提供や外交団による傍聴などの努力は評価するが、判決によっては国際社会から厳しい批判・反応が予想される、・・・民主化が、すべての関係者が参加し、国際社会から祝福されるような形で進むことを期待している」

「V4+日本」外相会合共同プレス・ステートメント(仮訳)(5月25日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/europe/v4+1/0905_gk.html
「外相は、2010年に予定される選挙が、ミャンマーのすべての当時者の間の包括的な対話を基礎としたものであれば、国際的に歓迎されるであろうことを指摘した。この文脈で、・・・アウン・サン・スーチー女史を含む政治犯及び政治的収監者を釈放するよう呼びかけた。外相は、・・・ミャンマー政府に対して、国民和解及び経済・社会開発を実現するために、全ての当事者を巻き込んだプロセスを慫慂した。外相は、ミャンマーによる実質的な政治的進展に対しては、前向きに反応する用意があることを確認した。」

麻生総理大臣とブラウン英首相の電話会談(5月28日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_aso/p_uk_0905.html
「(訴追に)深い懸念を持って注視している、今は重要な時期であるので適切に行動すべきである、国際社会に祝福されるような形で同国の民主化プロセスが進むことを期待する、と(ニャンウィン外相に)直接伝えた・・・国際社会の一致した対応が重要であり、英国と緊密に連絡を取っていきたい。」

日ミャンマー外相会談(概要)(7月22日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kinkyu/2/20090722_211604.html
「国際社会との関係で、今は、ミャンマーにとって極めて重要な時期である。そのようなことを踏まえ、アウン・サン・スー・チー女史の裁判については適切に対応することを期待する。」

無償資金協力案件 人材育成奨学計画(7月24日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/21/7/1194255_1102.html
若手行政官25人が日本の大学に留学する学費等として3億4,800万円を供与する交換公文に署名。