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在日ビルマ人

難民が告発する日本政府の難民認定手続
2000年6月23日配信 ジャパン・タイムス

難民が告発する日本政府の難民認定手続
対照的な米国の手続

ジャパン・タイムス
2000年6月23日
アサクラ・タクヤ(本誌)

  ミャンマー民主化活動家のタンテーさんが、軍政下の母国を逃れ、1990年5月26日に空路で日本入りしてから10年余りが経った。彼が到着したのは、軍政が現在もその結果を認めていない総選挙の前日のことだった。彼の日本での生活は、日本政府がタンテーさんを政治難民として認定しなかったため、厳しいものとなっている。
  彼の日本政府に対する憤りは、昨年9月に申請した米国政府への難民認定が許可され、強制送還を心配せずに米国で政治活動が可能になったことで、さらに深いものとなった。

  「妻も私も、日本にいるこの10年間で深く傷つきました」と語るタンテーさんは、民主化団体「在日ビルマ人協会」の副代表を務めて3年になる。
  タンテーさんが初めて難民認定を申請したのは92年の冬。ミャンマー民主化をテーマにした日本人の会議で知り合った弁護士の助けを借りての申請だった。その後、何度か入国管理局の係官からインタビューを受けたが、刑事事件の容疑者のような扱いを受けたという。
  彼はその様子について「係官は私をどなりつけ、私が超過滞在であることをなじりました」と説明する。彼が非常に象徴的な出来事として記憶しているのは、わずかな昼休みをはさんで丸一日行われたインタビューで、自分の分しかお茶を入れなかった入管係官の姿だった。そして彼の申請は、難民申請から2年が経とうかという頃、入国60日以内に申請をしなければならないという法律上の規定を満たしていないという理由で却下された。
  タンテーさんは直ちに法務省に対して異議申立を行った。

  タンテーさん夫妻は、送還手続から仮放免された状態にあったため、神奈川県平塚市の自宅から東京都北区の入国管理局に毎月出向く生活を長年続けていた。そして99年3月、不安定な状況に置かれ、送還の恐怖に苛まれて6年以上を過ごした彼のもとに、難民申請を最終的に拒否するとの通知が届いた。その月末には、彼の境遇を慰めるかのように、法務大臣は彼に在留特別許可を認めた。この措置は通例、日本人と結婚した外国人か、永住者にしか適用されないものである。
  「在留特別許可が出る限り、活動を続けることができます。しかし(民主化活動を担う活動家としての)私のプライドは傷つけられました」とタンテーさんは語る。

  米国の入国管理局に申請をしたときの体験は、日本で味わったものとは好対照をなすものだった。
  タンテーさんは昨年9月、米国で難民資格を得るため、渡米してセミナーに出席した際、「尊厳ある人間としての」扱いを受けたという。
  「入管係官は私に対して『トーマス』だと自己紹介し、ミャンマーの事情にも明るかった。そして彼のコップにも私のコップにも、同じように紅茶が注がれていました。コンクリートの壁に囲まれたミャンマーの監獄で、私が17歳の誕生日を迎えたことに話が及ぶと、この米国人の係官は目に涙を浮かべて聞き入っていました。」
  「90分間のインタビューを終えるとき、トーマスは握手で私を見送ってくれたことが思い出されます。わずか3カ月後、米国政府は私の難民認定を公式に認めました。」
  しかし、とタンテーさんは続ける。「私も妻も、別の国で新生活を始めることまではとても考えられませんでした。言葉も生活習慣も違うし、新しく仕事を見つけなければいけません。」

  彼は流暢な日本語で「妻は日本にも米国にも住みたくないと言っています」と話し、「ミャンマー軍政の幹部が、自分を敵対的に扱った日本政府の招きで来日するときには、とりわけストレスを感じます」と付け加えた。
  「ビルマはあと数年すれば民主化されるでしょう。日本とビルマとの友好関係がこれからどうあるべきかをきちんと考えるならば、日本政府のすべきことは私たちを苦しめることではなく支援することではないでしょうか。」
  「日本は軍政に対する世界最大の資金援助国です。ミャンマーの民主化に向けてもっと積極的な役割を果たすことができる国なのです。」

  東京で数多くの難民申請者を支援してきた渡邉彰悟弁護士は、タンテーさんのケースについて、難民に適切な保護を与える義務を負った日本政府が、その務めを果たしていないことの証左であり、「こうしたやり方は難民条約に違反している」と指摘している。
  タンテーさんのように日本で難民認定を求める人の中には、申請に関する「60日ルール」を満たしていない人、または難民申請自体を行おうとさえしない人が多数存在する。申請手続きに通じていない人がいる一方で、難民認定が拒否されると強制送還になる恐れがあるとして、入国管理局に出向かない人もいる。タンテーさんは「日本の人たちのことはとても気に入っています。しかし日本政府と法務省が行う私たちへの処遇のあり方は間違っています」と話している。

(了)
(翻訳:箱田徹)

The Japan Times: Refugee Attacks Japan's Asylum Process: U.S. Welcomed Activist, June 23, 2000. By Takuya Asakura, Staff writer