在日ビルマ人

声  明
2003年4月9日配信 在日ビルマ人難民申請弁護団

声  明

 本日ビルマ人難民Zに関する国家賠償請求事件の判決がなされ,東京地方裁判所民事3部(藤山裁判長)は,法務大臣の難民不認定処分の違法性と責任を明確に認定し,法務大臣に対し,Zが長期間収容され,難民認定を受けるまで不安定な身分に置かれ,送還の恐怖にさらされ続けたことなどを理由とする慰謝料等として950万円の支払いを命じた。本判決は,国家賠償請求事件であるが,難民事件に関連した判決として画期的な意義を有するものである。

 Zは1998年3月に来日,庇護を求めたもののそのまま収容され,3日後に難民申請をしたものの,結局難民としては不認定となり6月には退去強制令書が発付された。そして収容そのものは99年3月まで約11ヶ月に及んだ。

 当初の訴訟は難民不認定処分取消しを求めるものであったが,2002年2月に結審を目前に控えて,法務大臣はZを難民として認め,敗訴判決を回避した。そこからZは難民として正当に扱われてこなかった損害の回復を求めて国家賠償請求事件に切り替えて訴訟を遂行した。

 Zの願いは難民認定によって一定かなえられたが,しかしなぜ11ヶ月も収容され,そして難民としての正当な扱いを受けられなかったのか,責任を明確にし今後同じようなことが回避されるための判断が示されるかが問題であった。

 本日の判決は,立証責任は難民認定申請者のみが負うという国の主張を退け,「法務大臣においても…必要な範囲内での調査を行う義務がある」とした上で,「難民調査官が…本件難民認定申請を退去強制を免れるためのものとの疑念にこだわり,…当初の思い込みに影響されて…原告の供述について公正かつ慎重な評価,吟味を欠いたまま,信用できない供述であるとの誤った判断に至った」「難民認定のあり方について正しい認識を有する者ならば容易に発見することが可能であったと考えられるのであるから,(法務大臣の)上記義務違反は,基本的,初歩的な義務違反であるといわざるを得ない」と法務大臣の責任を厳しく指摘し,Zの思いに正面から十分に応えるものとなっている。

 Zは難民であった。判決は,日本の難民認定のシステムが,難民を難民として保護するために正しく機能していなかったことを明らかにした。

 今般法務省は難民に関連して,仮滞在と在留資格の点で改正案を提出している。しかし,残念ながらシステムや難民認定の質をどのように向上させるかについては全く今回の改正案は示していない。Z事件判決は,この改正案に対しても本来求められている議論の方向性を示すものである。

2003年4月9日

在日ビルマ人難民弁護団
代  表 伊 藤 和 夫
事務局長 渡 辺 彰 悟