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在日ビルマ人

日本:出入国管理制度の問題点
2004年2月7日配信 アムネスティ・インターナショナル

社団法人アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、東京ハーモニックホールにて開催された「キンマウンラさんと考えよう 日本の難民受け入れのこれから」と題するシンポジウムにおいて、以下の声明を発表した。

日本:出入国管理制度の問題点
アムネスティ・インターナショナル
アムネスティ日本発表ニュース
2004年2月7日

キンマウンラさんの難民認定・在留資格問題から見た
出入国管理制度の問題点
2004年2月7日

 アムネスティ・インターナショナルは1981年に日本が難民条約に加入して以来、難民として保護を求める人びとや難民に対する日本政府の対応について大きな関心を払ってきました。
  1993年にはアムネスティの調査団がまとめた報告書『日本における難民の保護―国際的な義務を果たさない日本政府』を発表、日本の出入国管理政策とその運用には、難民および難民としての保護を求める人に対して多くの点で問題があり、根本的な改革が必要と結論しています。
  また、15項目にわたる日本の難民制度についての政府への提言をまとめています。これらの提言には、(1)空港等で帰国をおそれる意思を表明した人には、難民認定制度に関する情報が与えられ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)・弁護士・NGO等に連絡できるようにすべきである、(2)入国管理官などは難民のおかれた特殊事情を理解できる教育を受けること、(3)難民申請は独立した専門機関で審査され、この機関の意思決定権者は国際難民法と国際人権法に精通していなければならない、(4)難民として保護を求める人を収容すべきではない、(5)難民申請を却下されてもなお難民認定を求めている人は、その難民申請が再審査され、自国において深刻な人権侵害に直面する危険性のある人は、別の滞在資格を与えられて強制送還から確実に保護されるべきである、等が含まれています。

 キンマウンラさんのケースは、上記の提言が日本政府によりいまだに完全に実施されていないことを示しています。さらに、キンマウンラさんのケースには特に「子どもの権利」に関する以下の問題があるとアムネスティは考えます。

在留資格認定における子どもの権利
 キンマウンラさんの在留資格認定に関して改めて浮き彫りになった問題は、現在の制度が、家族結合の原則、子どもの権利をまったく考慮していないことです。
  キンマウンラ氏のように、母国に強制送還されたならば、家族が離れ離れになってしまう可能性が高い申請者の場合は、難民申請が却下された場合も、家族結合の原則、子どもの権利などを考慮に入れて在留資格の認定が行われることが必要だと思われます。今回、キンマウンラ氏一家に関しては、家族が離れ離れになるような方法での強制退去は行わないという政府の方針となりましたが、結局他国に退去させようとする方針に変わりはありません。幼い子どもを抱えた一家を、生活基盤のない他国に退去させるのは、子どもの権利の観点からも問題です。

 この点、十分留意しなければならないのは、日本も批准している「子どもの権利に関する条約」です。同条約は、「子どもに関するすべての措置をとるに当たっては子どもの最善の利益が主として考慮される」(3条1項)、および「子どもがその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」(9条1項)等の義務を締約国に課しています。これらの義務を誠実に履行するためにも、在留資格認定にあたって、これらの原則が考慮されるべきです。しかし、日本政府は9条について、「入管法の退去強制される場合については適用しない」との留保を宣言しています。
  まずはこの留保宣言を撤回がされ、これらの条文を尊重した入管法の改正が進められるべきとアムネスティは考えます。子どもの権利委員会は、日本政府の政府報告書審査に伴い2004年1月30日に発表した最終所見の中で、これらの宣言の撤回を日本政府に明示的に求めています。

 キンマウンラさんのこれまでの一連の退去強制取消訴訟の判決では、これらの原則の適用が一貫して否定されてきたことも非常に残念です。近時、こうした子どもの権利が考慮されて退去強制の取消が認められた判決(2003年9月19日東京地方裁判所判決言渡、2000年(行ウ)第211号 退去強制令書発付処分取消等取消請求事件)が出てきていることも考え合わせ、事態の早期打開が望まれます。

 難民として保護を求める人々に対し、人間としての尊厳と日本が批准している国際人権諸条約の基準と理念を尊重し、生命・身体の自由のみならず、食糧、住居、医療などを含む基本的ニーズを保障することを、私たちは日本政府に対して要請いたします。また難民や移住労働者を社会にとっての負担として捉えるのではなく、私たちと同じ人間であるという理解を持って難民保護および外国人受入れ政策に取り組むことを要請いたします。

※この文書の翻訳および発信元は、アムネスティ・インターナショナル日本支部 ビルマ(ミャンマー)調整チームです。お問い合わせは同チームまでお願いします。