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在日ビルマ人

在日チン族協会 (Chin National Community - Japan)声明
2005年1月30日配信 在日チン族協会

在日チン族協会 (Chin National Community - Japan)声明
2005年1月30日

文書番号: 009/CNC-Jp-2005

 ビルマ軍事政権は、1990年5月27日に行われた総選挙で国民が選んだ国民民主連盟(NLD)と国民の代表たちにいまだ権力を譲り渡してはいません。また、1990年の総選挙の結果を実行しないだけではなく、NLDと他の政治団体の自由な活動を禁じ、その事務局を強制的に閉鎖しています。2003年5月30日には、国民の指導者であるアウンサンスーチーさん、NLDの副議長ティンウーさん、NLDメンバーらにたいして、ディペイン近くのチー村で暗殺未遂事件が起き、それ以後、アウンサンスーチーさんたちはいまだに軟禁・拘束状態にあります。わたしたちCNC-Japanは、

このディペイン暗殺未遂事件の真相を直ちに公表するように要求します。
アウンサンスーチーさん、ティンウーさんをはじめとするすべての政治囚の釈放を要求します。
NLDを含めたすべての政治団体の自由な活動を要求します。
NLD、少数民族グループの指導者達、軍事政権の三者間対話を実現し、平和的に政治的議論を開始するよう要求します。
 この軍事政権はビルマで人権侵害を行い、宗教的な自由を許さず、少数民族に対し虐待をしています。軍事政権は、ビルマは宗教的に自由であり虐待はありえないと、世界に対し虚偽の宣言をしています。本日1月30日世界各国に滞在するチン民族とチン民族の団体すべてが、それぞれの国でチン州マドゥピーで起きた事件について告発を行います。ビルマの民主化ため、人権のため、連邦制国家樹立のために活動している在日チン民族の代表として、在日チン族協会(Chin National Community-Japan, CNC-Japan)は、以下の事実を公表し、強く遺憾の意を表明するものであります。

 チン州南部マドゥピーに駐留している第2大隊のサンアウン大佐の命令 により、Ka La Ya 204隊(編注:Ka La Ya=「歩兵大隊」のビルマ語略称)のアウンジョー中佐がマドゥピーの町の、教派を越えて建てられた、キリスト教の象徴であるコンクリート製の十字架の記念碑を、2005年1月3日深夜、破壊したということが、住民の話から明らかになりました。

 マドゥピーの南側にあるブアル丘(現在、Ka La Ya 204隊の陣地となっています)に建っている、白い十字架を、Ka La Ya 204隊の兵士たちが、サンアウン大佐の命により、壊したのでした。軍人たちは夜中に十字架に張られた白い石盤をはぎ取って粉々にしました。十字架のあったところは軍の陣地となり、閉鎖されてしまったので、かつてのように礼拝やお祈りを行うことはできなくなりました。

 その石の十字架は、海外で働いているマドゥピー出身の若者たちの寄付により、350万チャットかけて建立され、2002年に完成しました。高さは50フィート、横幅15キュビット、厚さ5キュビットの白い十字架でした。

 この事件について国民全体が知るように、事実の究明をおこない、関係者たちに法的な処罰が与えられるよう要求します。

在日チン族協会

(編注:以下は、日本キリスト教協議会(NCC)国際エキュメニカル・ニュース 2005.10.21 No.12に同声明の解説として掲載されたものです。)
「ビルマ(ミャンマー)のキリスト教徒たち(1) チン州」 (執筆・訳:熊切拓)

「どんな国でも、支配者の仕事は、公正と正義を土台にして国家と国民の発展のために努めることにあります。軍事政権はといえば、そうではなく民族と宗教にもとづく憎しみと差別を政策として用いるという、他の国とは逆のことをしています。自民族中心主義によってたつビルマ政府は、民族同士の間の平和を壊し、それによって国家をも壊しています。こうした軍事政権の無定見ぶりは、末恐ろしいかぎりです。」(デヴィッド・ブアルフレ「チン民族の視点」、ビルマ国境ニュース:第7号:5ページ)
 チン民族は、ビルマ(ミャンマー)に暮らす民族の一つであり、またバングラデシュやインドにも広がる大民族集団です。ビルマのチン民族は、その多くがイギリス植民地時代に、アメリカ人宣教師によりキリスト教を受け入れました。そしてこの宗教と民族ゆえに、ビルマ民族が中心を占め、日本がある意味では神道原理主義国家であるのと同じく仏教原理主義国家であるビルマ軍事政権による、50年以上も続く差別と弾圧に苦しみ、多くのチン人が国外に逃亡し、政治難民や移住労働者と暮らしています。

 日本でも1990年代からチンの人々が、政治的・経済的理由から故郷を逃れて、移住してきました。これら日本で暮らすチン人たちが直面する問題にはさまざまなものがあります。まず、その多くはいわゆる「不法滞在」であるため、常に警察による逮捕や拘束におびえて暮らさなければなりません。また、これらのチン民族のかなりの人々が、現在、難民認定申請を行っていますが、「少数民族問題」あるいは「宗教差別問題」については鈍感な日本社会で、その難民性の正当性を訴えるのは非常な難事のようです。

 冒頭に掲げた一節は、チン民族の政治活動家であるデヴィッド・ブアルフレさんが、ビルマにおけるチン民族の現状を訴えるために、あるニュースレターに寄稿した文章からの引用です。彼は、難民申請者のひとりですが、東京・品川の入国管理局に6ヶ月以上収容され、そのため、ひどく体を害してしまいました。なお、この文は、彼が収容されていた今年の8月に書かれたものです。

 多くがバプテストのキリスト教徒であるチン人たちは、東京都内にあるいくつかの教会を借りて、自分たちの言葉で礼拝を行っています。それらの個々の教会・信徒たちの支援・協力は評価に値するものですが、日本、あるいは少なくとも東京のキリスト教団体なり教団が、これらのチン人(あるいはそれ以外のビルマから来たキリスト教徒たち)と連帯し、支援を行っているという話は、残念ながらあまり聞いたことがありません。

 日本に住むチン民族キリスト教徒は、現在、在日チン族協会(ChinNational Community-Japan、CNC-Japan)という団体に集い、カチンやカレンなどの諸民族の政治グループと協力して、活発な政治活動を行っています。

 CNC-Japanの会長、タンナンリアンタンさんは明確なビジョンと柔軟な活動姿勢で知られ、3年以上にわたる長い審査の末、今年の8月に難民の地位が認定されました。このタンさんは、NCCの「フィリピン委員会」委員を務められている阿蘇敏文さんの近著『現場からの道』(新教出版社)にも登場します(p191~192)。なお、この本の192ページで触れられている元入管収容者が、冒頭の引用の作者であるデヴィッド・ブアルフレさんです。

 タンさんはまた在日チン人のキリスト教徒に向けて、「ミャンマー・クリスチャン・コミュニケーション・ブレティン」(ビルマ語と英語)、CNC-Japanのニュースレター(英語)を発行しています。

 以下にご紹介する「声明」は、このCNC-Japanによるものです。難民申請用資料作成に協力した際に翻訳した文書なので、最近の資料ではありませんが、現在ビルマでキリスト教徒たちにどのようなことが起こっているかを知るのには絶好の資料と考え、ここにご紹介させていただくことにしました。

 本文書の翻訳は、CNC-Japanのメンバーであるチンラムルンさんとチンカイさんの協力のもとなされました。また、読んでくださる方々の理解の助けとなるように、多少加筆した部分があります。

 なお、ビルマ・日本におけるチン人あるいはキリスト教徒の生活や教会などに興味のある方は、以下のメール・アドレスにまでご連絡ください(編注:省略しました。連絡先をお知りになりたい方は、 webmaster@burmainfo.org までご連絡ください。)