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軍の専門職業意識、アジアで上昇中? ミグ29でミャンマーを取り込むモスクワ
2001年8月22日配信 ストラットフォー・グローバル・インテリジェンス

スーザン=ヘレン・モラン 
軍の専門職業意識、アジアで上昇中? ミグ29でミャンマーを取り込むモスクワ
ストラットフォー・グローバル・インテリジェンス
2001年8月22日

【要約】 ロシアは、ミャンマーの衰退した空軍をアップグレードする助力を開始した。最近ミャンマーに12機のミグ29を販売し、国防協力合意に署名している。しかし、ロシアの関心は、武器産業の新たな市場開発のもう一歩先にある。長くロシアの軍事射程範囲内だったミャンマーは、南東アジアとの間の戦略的立場として重要であり、中国とインドとの間の地域競争の焦点でもある。

本文

 ロシア政府がミャンマーに売却したミグ29戦闘機は、基本的には中国のミグ21とミグ19の変形である。ロシアは、1997年以降ミャンマーとの関係を強化する努力をしていた。ロシア政府はここ数年にわたって東南アジア市場での兵器販売を積極的に行っていた。インドと中国がすでに達成している戦略的に位置するこの国への大きなアクセス権を得るための、ロシアにとっての最南端のゴールがミャンマーである。

 ミャンマーの戦略的立地は、つっけんどんな関係を持つ中国とインドとの間の真中に位置する。中国は、ミャンマーのアンダマン海に接する1,930キロメートルの海岸線の価値のために、この国と軍事関係を保っている。中国の海岸線へのアクセスは、インドの輸送ルートの治安を脅かす一方で、海岸線でのコミュニケーションを確保することになる。インドもまた、逆に中国の影響に対抗するため、ミャンマーと関係を深めようとしている。

 ロシアは、中国とインドの競争を利用し、最終的にはミャンマーとの関係を確立して有利に立とうとしている。ロシアはインドおよび中国と親しいものの、心配のタネを持っている。それは、双方の国が武器を供給するからである。そこでミャンマーがロシアに諜報基地の保持を許せば、 2つの地域パワーの行動と関係をより正確にモニターすることができるであろう。

 ロシアはさらに東南アジアでのプレゼンスの拡大を望んでいる。そして、新しい潜在的に有利な武器市場として見ている。冷戦が盛んだった間でさえ、ロシアはミャンマーに軍事アドバイザーを置くことができなかった。長い間軍のプレゼンスは中国の手に握られていた。

 1990年代に中国の関与が高まったので、ロシアは東南アジアでの中国の活動をモニターするために、ビルマとの関係を広げることに重点を置いた。

 ロシアのミャンマーへの関心は諜報活動である。ロシア日刊紙ブレミア・ノボステイによれば、1997年にロシアのシークレットサービス(FSB)の元次長バレンティン・ソボレフ大佐がヤンゴンを訪問し、新生面を切り拓いた。双方の初期の会談では、麻薬撲滅協力に焦点を合わせていたが、2000年になって、軍事と原子力エネルギーの協力を話し合うようになった。

 1988年の軍による政権奪取以来、経済的に孤立したミャンマーは、中国とインドに援助と支持を求めた。双方とも下心を抱いており、ミャンマーを取り込む競争を開始した。ミャンマーはアジアの巨人の真中に捕えられたパキスタンと同じ立場になることを恐れた。ロシアは、インドと中国のバランスを取るための、潜在的な選択肢をミャンマーに提供した。

 地元の報告書によれば今回、防御協力合意に署名することに加えてロシアは、12機一式で1億5千万ドルのミグ29戦闘機を、1億3千万ドルのバーゲン価格でミャンマーに売却している。この安い価格は、おそらく「ひも付き」であろう。

 ミグ29は、ミャンマーが現在保有する中国製のF-7SとA-5Sを技術的に、はるかに凌駕するものである。これら中国製戦闘機はミグ21とミグ19を逆行分析した変形機種である。ミャンマー空軍が新しい航空機を効果的に利用するためには、相当な飛行訓練とメンテナンス訓練を必要とする。

 ミャンマーは、タイがアメリカから購入した中古のF―16戦闘機に対抗するために、新しいジェットを捜したのである。アジアウィークによれば、ミャンマーは現在、ミグ29操縦とロケット技術の訓練のためにモスクワに軍人300人を派遣している。

 航空機の訓練は、モスクワだけに留まらない。ミャンマーが過去に海外の兵器体系を購入したとき、一時的に海外のトレーナーを招いている。ロシアは、疑う余地なく、決して簡単でない兵器体系の国内の訓練とメンテナンス専門家を提供するよう、頼まれるであろう。

 ファーイースタン・エコノミック・レビューの軍事アナリストによれば、ミャンマーのパイロットがミグ29を取り扱う準備をするには、何年もかかるという。これはミャンマー国内に長期にわたってロシアのプレゼンスが存在するということである。権力に飢えているミャンマーに武器を販売し、訓練し、原子力エネルギー援助の申し出をしたことで、ロシアは確実な足場を築いた。しかし、ロシアはミャンマーへの関与を広げることで、軍事競争に引き込まれ、中国とインドとの関係が危険にさらされるリスクを背負っているのだ。<了>

(菅原 秀 訳)

Source: 'Moscow Courting Myanmar With MiG-29s' (Stratfor Global Intelligence Update, August 22, 2001