トップページ >  ビルマの現状:国際関係・対日関係 >  投資・援助 >  対ユノカル訴訟、重大局面へ

投資・援助

対ユノカル訴訟、重大局面へ
2003年6月18日配信 イラワディ誌

 サンフランシスコの米国第9巡回控訴裁判所で17日、ビルマ出身の村人15人が米国石油企業ユノカル社を相手取って連邦裁判所で起こした訴訟の継続の可否を決定するため、口頭弁論が行われた。

 訴えの内容は、ビルマ南部のヤダナ天然ガス・パイプライン建設開発にビルマ軍と共同で取り組んだユ社が、付近住民の人権侵害の共犯だったというものだ。村人はパイプライン建設中にビルマ軍によって殺人、拷問、強制労働、レイプの被害に遭ったと訴えている。

 ロイター通信によると、口頭弁論で原告側弁護団は、ユ社が人権侵害の共犯だったとし、ユ社をナチス時代のドイツで奴隷労働から利益を得ていた企業に比較した。一方、ユ社はパイプライン建設中の軍隊の行動には責任がないと主張している。

 ユ社は、一貫して人権侵害への関与を否定しており「当社はいかなる形であれ、人権侵害に関与したこと、あるいはこれを助長したことはまったくない」と述べている。

 2000年に連邦地方裁判所は訴訟を棄却したが、2002年に控訴裁判所が、ユ社は人権侵害を行うビルマ軍を「幇助していた」可能性があり、事実審理の段階に進むべきだとし、訴訟の継続を決定した。

 この訴訟は強い関心を集めている。多くの多国籍企業は、住民に有利な判決が出ればこうした訴訟が急増するのではないかと懸念している。

 米国国務省とブッシュ政権はともに控訴趣意書(訳注:訴訟の当事者以外の者が裁判所に提出する意見書。原告か被告かどちらかの立場を支持する)でユ社を支持している。ブッシュ政権は裁判所に訴訟の棄却を求めた。裁判所が審理の継続を許可すれば、海外での人権侵害について米国企業を相手取る見当はずれの訴訟が多数起こされることになるというのがその理由だ。

 趣意書は「米政府は、ビルマ政府の反民主的政策と目に余る人権侵害を強く遺憾とし、これを強く非難する。しかしこうした状況を変えるのは(…)裁判所でなく、政治の役目だ」と述べている。

 この件ではNGO「地球の権利インターナショナル」(ERI)が、パイプライン建設中に起きた人権侵害を記録し、住民の弁護団に加わっている。ディレクターのタイラー・ジャニーニ氏は、裁判所が訴訟継続を許可すると考えている。氏は「今回の口頭弁論はとても重要だ。これでやっと(裁判が事実審理に進んで)原告が法廷に立てる日が来ると楽観している」と述べた。

 ERIは、村人の代理人としてユ社に対するカリフォルニア州裁判所での別の訴訟も扱っている。原告の実名と住所はカリフォルニア上級裁判所の命令に基づき匿名のままだ。この訴訟の事実審理は7月に開始される予定。連邦裁判所での訴訟が事実審理に進むかどうかの結論は、一年以内にいつ出てもおかしくない状態だ。(訳、久保忠行)

出典:Chris O'Connell, Unocal in Court over Human Rights Abuses in Burma, Irrawaddy Online, (18 June, 2003)