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投資・援助

ビルマ民主化勢力には新たな支援が必要
2003年4月15日配信 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン

ビルマ民主化勢力には新たな支援が必要
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン
2003年4月15日
マイク・ジェンドリージック

 パウロ・ピネイロ国連人権特別報告官は先月、政治囚と面会をしていた部屋で盗聴器が見つかったため、ビルマ訪問を予定より早く切り上げざるを得なくなった。この訪問中断はより深刻な問題の表れにすぎない。ビルマ軍事政権幹部に信用が置けず、民主化指導者のアウンサンスーチー氏との対話を続ける意思がないように見えるにつれ、苛立ちが強まっている。

 ジュネーブで開催中の国連人権委員会は16日、ビルマの抑圧政策を厳しく非難する決議を採択すると見られている。同委員会は軍政に対し、人権状況の改善と、民主化勢力との対話を進めようとしている国連のラザリ・イスマイル特使に協力する努力をするよう求めるだろう。同委員会の処置は軍政への警告としては役に立つが、それだけでは効果を発揮するに足りない。

 ピネイロ氏がジュネーブで述べたように「現在の行き詰まりを打開し人権状況を改善することがこれまで以上に緊急な課題である」。日本と米国とが力を合わせれば、外交・経済面での圧力を強めることによってこの窮地を脱する手助けをすることが可能だ。

 2002年5月にアウンサンスーチー氏が自宅軟禁から解放されてから、ビルマでは限られた進展が見られただけだ。国家平和発展評議会(SPDC=現軍事政権)によれば過去3年で500人以上の政治囚が釈放されたが、今年に入ってからは63人しか釈放されていない。新しく逮捕された者もおり、国連は1、200から1、300人が未だに拘束されていると推定している。

 赤十字国際委員会はビルマの紛争地域に入るのを軍政から認められた。これは歓迎すべき一歩である。シャン州でビルマ国軍が組織的な強かんを行っていることが報告されたことから、国連による独立調査を求める声が上げられたことに対し、軍政は少なくとも建前上は調査に合意している。しかし、国内全域での基本的自由に対する厳しい規制や少数民族への侵害行為が続き、貧困問題も深刻である。ただでさえ傾いている経済の状況は悪化の一途をたどっている。

 日米各国はビルマについて異なった政策を打ち出してきた。米国が制裁を強く求める一方で日本はビルマへの関与に重点を置いてきた。日本はまた、民主化へのプロセスを復活させる試みにも関心があるようだ。今年に入って、日本政府はビルマに関する国連会議を東京で開催した。会議には東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国や米国、欧州諸国の代表が出席した。

 ブッシュ政権は経済制裁の強化を考えている。最近の議会公聴会で国務省職員は、民主化への進展が見られなければ「国際社会と協同し、さらなる制裁を検討せざるを得ない」と警告した。議会ではまもなく、ビルマから米国への輸出をすべて禁じる法案が提出される予定だが、これは簡単に成立する可能性がある。

 このように失望感が強まる中、日本はより積極的な役割を果たすべきである。外務省は先の東京会議の目的を果たすために上級の外交官を任命し、ビルマも加盟するASEANの各国を訪問し、ビルマへの介入を強く促すよう求めることを検討するべきだ。

 ビルマを改革に向けて促そうとするに当たって、ASEAN諸国はピネイロ氏が勧告した具体的な措置に焦点を当てるとよいだろう。つまり、ラザリ氏のビルマ再訪問への合意、政治囚の釈放、そして合法で平和的な政治活動ができるようにするために表現、集会、結社の自由への制限を解除することである。

 日本は東南アジアにとって大きな援助・投資国であるから、発言力も大きい。ビルマでの変化を推し進めることは、中国の影響力を相殺するためだけだとしてもASEANの利益にかなうことである。

 ビルマで活動している国連諸機関は、人道的状況を査定し、緊急性の高い援助についての枠組みを作る準備をしている。枠組みが発表されたあかつきには、日本はビルマ国民の必要に応えるための追加援助を申し出るべきである。ただし、この援助は国連や非政府組織(NGO)を通さなければならない。日本政府は、人権状況の改善や、アウンサンスーチーら民主化勢力の指導部との政治的対話への実質的な進展があるまでは、新規の援助をするべきではない。日本はビルマへの援助政策についての姿勢を明確に表明するべきである。

 日本が、民間企業がビルマに投資しないようにすることも効果があるだろう。今でも、日本政府からの援助の見込みがない限りビルマの腐敗した経済に関わったり投資したりしたくないと考えている日本企業が多い。日本が民間投資を控えさせる決断をすれば、米国の制裁による効果を強め、ビルマに対し強く、一体感のある警告を送ることになるだろう。

 軍政が真の改革を認める気にならない限りは、経済・社会問題の効果的な解決は見込めない。日米両国は、ビルマ国民がより明るい将来を享受できるようにするためにも互いに協力するべきである。(訳 秋元由紀)

*ジェンドリージック氏は人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ、ワシントン事務所のアジア担当ディレクター。

(追記)ジェンドリージック氏は2003年5月1日に急逝されました(享年53歳)。ご冥福をお祈りいたします。

出典:Mike Jendrzejczyk, 'Burma's opposition needs fresh support; Up against the military,' in International Herald Tribune, April 15, 2003.