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投資・援助

加州での対ユノカル訴訟、9月に審理入り
2003年8月6日配信 BBC、AP、英インディペンデンス紙ほか

加州での対ユノカル訴訟、9月に審理入り
州上級裁、州法による審理を決定
BBC、AP、英インディペンデンス紙ほか
2003年8月6日

 ロサンゼルス上級裁判所は、米国大手石油企業ユノカル社(本社、米カリフォルニア州)がビルマでの人権侵害に関与していたと訴えられている件で、ユ社側の申し立てを退け、カリフォルニア州法に基づき審理に入ることを決定した。
 同裁判所のヴィクトリア・チェイニー判事は7月31日に「ユノカル社は、パイプライン建設プロジェクトに関わるより前に、強制労働が行われる可能性があることを具体的に知っており、その上で事業の続行を選択した」との判断を下した。
 ユ社はこの訴訟が、訴訟の対象となっている人権侵害が発生したビルマか、人権侵害に関与されたとされる子会社が登記されているバミューダの法律によって行われるべきだと主張していた。

 ユ社は1990年代にビルマ南部で総工費約1440億円(12億ドル)のヤダナ天然ガス・パイプライン建設プロジェクトに参加した。この全長670キロメートルのパイプラインは、ビルマのアンダマン海沖のヤダナ・ガス田とタイのラーチャブリー精製所を結んでいる。ビルマへの直接投資事業としては史上最大で、ユ社とトタル社(フランス)が、ビルマ軍事政権との合弁事業(JV)として手がけたものだ。
 ユ社は、パイプライン建設の警備にあたったビルマ軍部隊が、地元住民に行ったとされる強制労働や強かん、殺人、拷問などの人権侵害に共謀していたとして訴えられている。
 裁判書類によれば、バミューダに本社のあるユ社の子会社のうち2社が、このパイプラインの建設計画と実施を行った共同事業体に参加している。

 原告側代理人を務めるNGO「地球の権利インターナショナル」(ERI)の訴訟指揮者リチャード・ハーズ氏は「裁判所はユ社のばかげた主張を適切に退けたと言ってよいだろう。ユ社側はカリフォルニア州にある企業を相手取った訴訟が、世界で最も抑圧的な軍事政権の法律に基づいて行われるべきだと主張していた」と述べた。
 一方ユ社のダニエル・ペトロチェリ主任弁護人は、9月22日の審理開始より前に、州控訴裁判所に決定の見直しを求めるかどうかを検討中だと述べた。

 またチェイニー判事は6日、ユ社が5月末になって提出した1300頁を超える証拠書類に関して、新たに必要となる証言録取書の作成費用などをユ社が負担しなければならないと決定した。原告側弁護士のダン・ストーマー氏によれば、この書類提出で新たに15~20人分の証言が必要となり、9月22日に予定されている審理の開始が遅れる可能性が出てきている。原告側はユ社により厳しい制裁措置を講ずるべきだとし、この大量の証拠書類を閲覧したユ社の専門家がこれまでに行った証言を排除することなどを求めていたが、同判事はこの請求を退けた。

 対ユノカル訴訟は、連邦と州の2つの裁判所で同時に進行している。連邦裁判所での訴訟は、外国人不法行為訴訟法(Alien Tort Claims Act; ATCA)に基づいている。同法を用いると、拷問や強制労働などいくつかの国際法違反については、被害を受けた外国人が違反者を相手取り、米国の連邦裁判所に提訴できる。
 連邦地方裁判所は00年に原告側の訴えを棄却した。一方サンフランシスコの米国第9巡回控訴裁判所の小法廷(判事3人)は02年に、ユ社は人権侵害を行うビルマ軍を「幇助していた」可能性があり、事実審理の段階に進むべきだとし、訴訟の継続を決定した。しかし、この決定を同裁判所の大法廷(判事11人)で見直すことになったため、03年6月17日に、訴訟の継続の是非について口頭弁論が再度開催された。