国連機関

女性に対する暴力
1998年4月9日配信 国連人権委員会での発言

カトリック国際研究所
国連人権委員会での発言
1998年4月9日
第54回会議
作業部会:女性に対する暴力

 女性に対する暴力に関して特別報告官が報告された事例は衝撃的なものでした。女性に対する暴力は、社会全体に対する非常に重大な侵害行為です。世界が、私の祖国ビルマの女性の状況を留意することを望みます。

 ビルマの女性は、市民的・政治的・経済的・社会的・文化的権利のほぼすべてに関する人権侵害に苦しめられています。人権侵害を度々引き起こす原因となっているのは、「四つの分断作戦」と名づけられた民族浄化作戦と、いわゆるインフラ整備事業です。

 昨年一年間で数千人のビルマ人女性と子どもたちが、「四つの分断作戦」のために、軍事政権によって自らの家や農場から追い出されました。(「四つの分断作戦」の目的は、反政府少数民族武装勢力への金銭・食糧・情報・参加を断つことにあります。また土地の人々は、軍が支配する別の場所に強制移住させられています。)妊婦と老人をも含む女性と少女が、ポーターとして強制的に働かされ、戦闘地域で軍事物資を運搬し、深刻な人権侵害に苦しめられています。兵士たちは、強姦、超法規的処刑、恣意的逮捕、拷問といった残虐行為を行っています。さらに、女性は強制労働の対象として男性よりも使い出があると考えられています。彼女たちは物資を運搬するだけでなく、兵士が強姦をする対象ともなるからです。

 女性と子どもを含むビルマの人々は、外国資本によるインフラ整備事業のために、強制的に移住させられています。イェ―タヴォイ間の鉄道敷設事業、及びヤダナ天然ガスパイプライン敷設事業(軍事政権とフランスのトタル社及びアメリカ合州国のユノカル社による合弁事業)の場合、人々は今まで住んでいた家と持っていた土地すべてを放棄して、移住することを強制されています。さらに多くの人々が、その意志に反して強制労働に従事させられています。

 1997年を通じて行われたインフラ整備事業と民族浄化作戦によって、テナセリウム管区内の79の村に住む人々が家を失いました。人々は、軍事政権が強制労働に徴用しやすい場所に強制移動させられています。強姦、殴打、極度の疲労、事故、医療の不足によって多くの人が命を落としています。このような強制移住と強制労働が、ビルマから難民と国内避難民が発生する主な理由なのです。

 タイ・バングラデシュ・中国・インドとの国境地帯に行かれれば、相当数の難民が生活していることがお分かりいただけると思います。また100万人の国内避難民が発生しています。このうち81%以上が女性と子どもです。

 現在も、特に女性と子どもを含む多くの人々が新たに難民となって隣接国に到着しています。強制労働と強制移住、それにいっそう深刻になる人権侵害から逃れてのことです。しかし隣接国に逃れたといっても、難民たちは軍事政権と、それに同盟する武装勢力による暴力行為にたびたび直面します。先月[1998年3月]には、民主カレン仏教徒軍(DKBA)というSPDC(国家平和発展評議会=軍事政権)が援助する軍事組織が、タイ領内にある3つの難民キャンプを襲撃しました。この襲撃で妊婦1人と複数の子どもを含む難民が殺害され、数百名が負傷しました。

 議長、結論を申し上げます。

 民族浄化作戦と、いわゆる開発事業がビルマ(ミャンマー)を助けているとは考えられません。こうした作戦や事業によって、多くの民間人が殺害されています。また生き残った人々も家を失うか、難民や移民労働者となってビルマを脱出することを強いられています。ビルマの女性たちは政府と軍による暴力から直接的な被害を受けています。自らの政治的・市民的・経済的・社会的・文化的諸権利を確保していくことが、私たちにとって非常に切迫した課題なのです。

私たちは以下のことを勧告します。

(1) 国連人権委員会は、ミャンマーの人権状況に関する決議の中で、ジェンダーに基づく迫害が存在すること重点を置くこと。つまり、民族的背景を持つすべての女性がいわゆる「ミャンマー政府」によって迫害を受けていることに重点を置くこと。

(2) 国際社会は、ビルマ女性のすべての面での人権を擁護する作業を一致団結してすすめること。これはビルマを、民主的な選挙によって選出された文民政府へ復帰させる援助を行うという形で、女性たちに対する暴力行為の主な原因が根絶されるよう努力するという形で行われること。

(3) SPDCは、女性の権利に対する侵害を直ちに停止すること。タッマドー(ビルマ国軍)の指導層、兵士、および政府職員には、人道法及び人権法の侵害に対する責任がある。強姦やその他の形での女性に対する暴力についての報告に対する調査および公式な発表が行われ、実行者に対する司法判断がなされなければならないこと。

カトリック国際研究所とビルマの女性による意見を表明させていただきました。

御静聴ありがとうございました。

UNCHR: 54th Session, Agenda Item 9 (VIOLENCE AGAINST WOMEN), Oral Intervention of Catholic Institute for International Relations