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国連機関

ミャンマーに関する決議
1998年4月20日配信 経済社会理事会 人権委員会

ミャンマーに関する決議

1998年4月20日
経済社会理事会 人権委員会 1998年 限定配布81 改訂文書1
(E/CN.4/1998/L.81/Rev.1)

1998年4月20日
原文:英語

人権委員会
第54回会議
第10議題
世界のすべての地域における、特に植民地及び従属国・従属地域における人権および基本的自由の侵害に関する問題
オーストラリア*、オーストリア、ベルギー*、ブルガリア、カナダ、コスタリカ*、キプロス*、チェコ共和国、デンマーク、エストニア*、フィンランド*、フランス、ドイツ、ギリシア*、ハンガリー、アイスランド*、アイルランド、イタリア、ラドヴィア*、リヒテンシュタイン*、リトアニア*、ルクセンブルク、オランダ*、ニュージーランド*、ノルウェー*、ポーランド、ポルトガル*、ルーマニア*、サンマリノ*、スロヴァキア*、スロヴェニア*、スペイン*、スウェーデン*、スイス*、アメリカ合衆国*、イギリス*:決議草案

1998/... ミャンマーの人権状況

人権委員会

 すべての加盟国は、国連憲章、世界人権宣言、国際人権規約、その他の適切な人権条約でうたわれている人権および基本的自由を促進し保護する義務を有することを再度確認する。

 世界人権宣言は、国民が表明する意思こそが政府の持つ権威の基礎となるべきであると宣言していることに留意する。

 経済社会理事会機能委員会手続規則第69条3項に基づく。

 GE.98 12229 (E)

ミャンマーが「子どもの権利条約」「戦時犠牲者保護条約」の批准国であることに着目し、これまで行われた総会および人権委員会のミャンマーに関する決議を再確認する。最新の総会決議は、1997年12月12日の決議52/137であり、人権委員会決議は1997年4月16日の決議1997/64である。

1. 歓迎すべき事項

(a)
特別報告官による報告(経済社会理事会 人権委員会 1998/70)(E/CN.4/1998/70)と事務総長による報告(経済社会理事会人権委員会 1998/163)(E/CN.4/1998/163)があったことを歓迎する。

(b)
ミャンマー政府が、難民高等弁務官事務所(UNHCR)および国際NGOと、バングラデッシュへの自発的な送還と帰還者の再統合について協力したことを歓迎する。また国連児童基金(ユニセフ)が、ミャンマーが子どもの権利条約の加盟を促進する役割を果たしたことに留意する。

(c)
ミャンマー政府が、1997年7月22日に女子差別撤廃条約に加入したことを歓迎する。

(d)
事務総長がSPDC議長兼首相であるタンシュエ大将と会見したことを歓迎する。事務総長特別使節が政府およびアウンサンスーチー、その他の政治指導者と会見するために、1997年5月と、1998年1月にミャンマーを訪問したことを歓迎する。

(e)
ミャンマー政府が12月に長期受刑者の減刑措置を発表したことを歓迎する。またこの措置の対象を平和的な政治活動を行ったことが理由で拘禁されている囚人にまで拡大することを要求する。

(f)
国民民主連盟(NLD)の党大会が1997年12月に開催されたこと、またこれに引き続いてミャンマー・ナショナルデー、独立記念日、団結記念日を祝う会合が開催されたことを歓迎する。

2.
ミャンマー政府とNLDとの間の接触が、非常に限定的なものではありながらも、存在していることに注目する。しかし、ミャンマー政府が、ドー・アウンサンスーチーや、少数民族集団の代表を含む、その他の政治指導者との実質的な政治対話を保証するのに失敗したことを深く憂慮している。

3. 深い憂慮を表明する事項

(a)
特別報告官が報告したように、ミャンマーにおける人権侵害が継続していることに深い憂慮を表明する。なお、これには超法規的、即決または恣意的な処刑、強制失踪、拷問、政府職員による女性と子どもに対する虐待、土地および私有財産の恣意的な収用、人的移動および物的移動の自由の侵害、特定の民族的および宗教的マイノリティーに対する抑圧的な施策の強制、例えば強制移住やインフラ整備事業や軍事ポーターを含む広範な強制労働が体系的な計画として実施されていることが含まれている。

(b)
意見表明・表現・集会・結社の自由に対する厳しい制限。国内メディアのすべての形態と多くの国外出版物に対する検閲を含む、市民が情報を得る際に被る制限。国外旅行を望む市民に対する制限、例えば政治的動機に基づくパスポート発給の拒否。政治的理由によるほぼすべての高等教育機関の閉鎖の継続。また適正な法手続きの欠如。例えば恣意的逮捕、政治的動機による逮捕や拘束、裁判を経ない収容者の拘束、拘禁者に対して、適正な法的手続きを欠いた秘密裁判の実施。また、病気や獄死の発生原因となっている囚人に対する非人間的な処遇。これら特別報告官によって報告された事項に深い憂慮を表明する。

(c)
女性の権利に対する侵害、とりわけ難民や国内避難民となった女性、民族的マイノリティーに属する女性、反政府の立場を取る女性に対する侵害。特に強制労働、強姦を含む性暴力、性的搾取。これら特別報告官によって報告された事項に深い憂慮を表明する

(d)
子どもの権利条約に違反し、強制労働計画と軍隊に子どもを動員していること、民族的宗教的マイノリティー集団に属する子どもに対する差別による、子どもの権利の侵害が継続していること。特に既存の法的枠組みが同条約の内容と合致してないことに深い憂慮を表明する。

(e)
マイノリティー集団に属する人々に対する権利の侵害、例えば強制移住の体系的な計画が民族的マイノリティーに対して、特にカレン、カヤー、ラカイン、シャンの各州と、テナセリウム管区で顕著に行われいること。これを原因として避難民が発生し、難民が近隣諸国へ流出していること。またこうした難民の流出による関係国が新たな問題に直面していることに深い憂慮を表明する。さらに、タイ-ミャンマー国境にある難民キャンプに対する最近の襲撃に対して遺憾の意を表する。

(f)
ミャンマー政府が1990年の民主的な選挙の結果に沿い、民主主義へ移行するのに必要な手続きをいまだ完全に履行していないこと。その一方で、民主的な政府に相応しい権利の尊重がなされていないことが、ミャンマーにおける主要な人権侵害のすべての根源となっていることに深い憂慮を表明する。

(g)
ミャンマー政府が特別報告官への協力を拒み、ミャンマーへの訪問に同意していないことに深い憂慮を表明する。

(h)
1990年に正式に選ばれた議員のほとんどが、新憲法を起草する際の基本的な原理を検討するために設置された国民会議から依然として排除されていることに深い憂慮を表明する。また、国民会議の目的の一つに、軍隊が将来もミャンマー政治の中心的な位置を占めつづけようとするねらいがあることに深い憂慮を表明する。そして、国民会議の構成と作業手続きにおいて、選出された国民の代表に自由な意見の表明が許可されていないことに懸念を持って注目する。また、国民会議はミャンマーに民主主義を回復するのに必要なステップを構成していないと思われると結論する。

(i)
政治指導者に対して、とりわけドー・アウンサンスーチーに対して、規制が行われていることに深い憂慮を表明する。NLDや、その他の民主化組織、学生、労働組合活動家、聖職者に対して、表現・集会・結社の自由の権利を平和的に行使していることのみを理由としたいやがらせ、逮捕、拘禁が行われていることに深い憂慮を表明する。また1997年12月にNLDの支援者に重刑を課したこと、選挙で選ばれた代表者に対して辞職を強要していることに深い憂慮を表明する。

(j)
NLDメンバーを投獄していること、特にNLDの合法的な集会を事実上阻止している規制が存在することに深い憂慮を表明する。

4.ミャンマー政府に対する要求事項

(a)
生存権と基本的人権の侵害を停止することを要求する。また、思想・意見・表現・結社・集会の自由を含む人権と基本的自由、および権力から独立し公平な裁判官による公正な裁判を受ける権利、民族的・宗教的マイノリティーに属する人々が有する権利の保護を完全に尊重すると保証することを要求する。

(b)
1990年の民主的な選挙で示された国民の意志に基づいて民主主義を確立することを保証するために、緊急かつ有効な手段をとること。これを行うために、国民的和解を達成し、民主主義を回復するという目的のもと、ドー・アウンサンスーチーを含む政党指導者および少数民族集団の指導者との実質的な対話を、何らの条件を課すことなく直ちに行うことを保証することを要求する。また政党とNGOの自由な活動を保証することを要求する。

(c)
世界人権宣言の原則に沿い、すべての市民が政治過程に自由に参画することを可能にするために適切な措置を講じることを要求する。また民主主義への移行を行う過程、特に民主的に選出された代表者へ権力を委譲する過程に、弾みをつけることを要求する。

(d)
拘禁時の環境を直ちに改善するよう要求する。また適切な国際人道組織が収容者との秘密を保持したまま自由に通信することを許可するよう要求する。

(e)
当委員会に属する関連機構と、特に特別報告官と無留保の完全な協力を行うことを要求する。また特別報告官が政府および、彼が適切と判断した国内のいかなる人間とも直接会うという目的を果たせるために、ミャンマーに入国することを保証するよう要求する。また彼が委任された業務を完全に遂行可能にするための協力をするよう要求する。

(f)
国連事務総長またはその代理者との協力関係を継続するよう要求する。また、事務総長が適切と判断したいかなる人間との直接の会談を含む、現在行われている対話の拡大を要求する。また、事務総長らによる勧告の履行を要求する。

(g)
ドー・アウンサンスーチーを含むすべての政治指導者の安全と身体的な健康を保証することを要求する。またアウンサンスーチーやその他の政治指導者との検閲なしに通信および直接接触することを許可するよう要求する。政治的理由で拘束されている人々を直ちに無条件で釈放することを要求する。彼らの健康を保証し、国民的和解へ向けた有意味な過程へ参画できるようにすることを要求する。

(h)
子どもの権利委員会と、女子差別撤廃条約委員会による査察を受けることを含め、子どもの権利条約のうたう諸義務を履行することを要求する。また、市民的及び政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、拷問等禁止条約、難民条約その他の人権条約の参加国となることを検討することを要求する。

(i)
ミャンマーにおける戦闘行為のすべての当事者は、1949年8月12日のジュネーブ諸条約第3条を含む、国際人道法に記されたすべての義務を完全に尊重することを要求する。民間人に対する武器使用を停止することを要求する。子ども、女性、民族的・宗教的マイノリティー集団に属する人々を含むすべての民間人を、人道法の侵害から保護することを要求する。これらの人々が、公平な人道団体からのサービスの提供を受けられるようにすることを要求する。

(j)
一当時国として、強制労働に関するILO29号条約(1930年)、および結社の自由および団結権の保護に関するILO87号条約(1948年)に対する義務を完全に履行することを要求する。またILOに密接に協力すること、とりわけILO設立条約第26条にしたがって指名された調査委員会との協力を強めることを要求する。

(k)
強制退去および、近隣国へ難民が流入させているその他の原因を解決すること。難民の自主的帰還を促す条件を創設することを要求する。現在は彼らに欠如している十全な市民権を含む安全と尊厳を確保した上で完全な再統合を、UNHCRの現地事務所との密接な協力のもとに行うことを要求する。

(l)
軍関係者を含む人権侵害の実行者が処罰されない状態を終了させること。事情の有無に関わらず国家公務員によって行われたとされる侵害事例を調査し、実行者を訴追することを要求する。

(m)
ミャンマー政府に拘束されていたジェームズ・リーンダー・ニコルズ氏が、1996年6月に死亡するに至った事情を調査し、責任者を訴追することを要求する。

5.決議

(a)
1992年3月3日の委員会決議1992/58に記された特別報告官の任命期間を数年延長する。また特別報告官は、第53回国連総会の場で中間報告を提出すること、および第55回人権委員会で報告を行うこと、なお情報を収集し分析する際にはジェンダーの視点を持つことを要求する

(b)
事務総長は、特別報告官が任務を完全に履行することを可能にする際に必要なすべての援助を継続して与えること、また特別報告官がミャンマーを公式に訪問できるようすべての努力を継続することを要求する。

(c)
事務総長に対してミャンマー政府、および国連決議52/137とこれまでの決議を履行する上で適切だと判断したすべての人間との協議を継続することを要求する。

(d) この問題は第55回会合でも継続して検討する。

(了)

(翻訳:箱田徹)

出典:UNCHR: 1998 RESOLUTION ON BURMA 1998/... Situation of human rights in Myanmar, 20 April 1998 (E/CN.4/1998/L.81/Rev.1)