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国連機関

ミャンマーの人権状況に関する決議
2001年3月1日配信 国連総会

国際連合
A/RES/55/112

総会
一般配布
2001年3月1日

第55会期
議題114(c)
国連総会決議

(第3委員会での報告(A/55/602/Add.3 )について)

55/112 ミャンマーの人権状況

国連総会は、

加盟国すべてが、国連憲章で宣言され、世界人権宣言 [1] および国際人権規約 [2] 、またその他の人権に関する適切な文書によって具体的に示された人権と基本的自由を推進し、かつ保護する義務を負うことを再度確認し、

国連が国連憲章に則り、すべての人の人権と基本的自由の尊重を促進し、かつ奨励していること、また世界人権宣言が国民の意思が政府の権威を基礎づけるべきだと宣言していることを了解し、したがってミャンマー政府が、1990年総選挙の結果に基づいた民主主義の確立に向けて必要な措置すべてをいまだ履行していないことに深い憂慮を表明し、

1999年12月17日の国連決議54/186、および国連人権委員会が、とりわけ、特定の権限を付与された特別報告官の任命を決定した1992年3月3日の同委員会決議1992/58 [3] 、また同委員会が、ミャンマーの人権状況に関する同特別報告官の任期の一年延長を決定した2000年4月18日の同委員会決議2000/23 [4] を想起し、

また、民主的統治に関する権利が尊重されていないことが、ミャンマーで発生する深刻な人権侵害すべての基礎になっているとの特別報告官の所見を想起し、

ミャンマーの人権状況の悪化、なかでも、特別報告官が報告した、ミャンマー国内での政治的諸権利の行使と思想、表現、結社および移動の自由への変わらぬ抑圧に対して依然として深い憂慮を示し、またアウンサンスーチーやその他の国民民主連盟党員を対象とした新たな規制に深い憂慮を示し、

また司法制度が抑圧の道具として効率的に用いられていること、弁護士の強迫や拘束が増加していること、に深い憂慮を示し、

ミャンマー政府が行っている市民的、政治的、経済的、社会的、文化的諸権利の組織的な弾圧により、ミャンマー国民の健康と福祉に深刻な悪影響が出ていることを認識し、

国連事務総長特使による2度の訪問と、訪問に対してミャンマー政府が行った協力に関心を表明し、

ミャンマー政府が関係する国連諸機構に対し、なかでも、その訪問を真剣に検討するとしたミャンマー政府の1999年の確約にも関わらず、依然としてミャンマー訪問を招請されていない特別報告官に対し、完全な協力を行っていないことに深い憂慮を表明する。

1.  ミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官の中間報告書 [5] に対する評価を表明するとともに、ミャンマー政府に対して特別報告官のリコメンデーションの完全実施を求める。

2.  ミャンマー政府に対し、特別報告官に対する協力を、完全にかつこれ以上の遅滞なく実施するよう求めるとともに、報告官の完全な職務遂行を可能にするため、報告官に現地調査と、同政府およびその他の関連する社会セクターへの直接接触の許可を速やかにかつ無条件に与えることを求める。

3.  赤十字国際委員会との継続的な協力によって、同委員会が作業方法に従って被拘禁者との通信、および面会が可能になっていることに満足を満足の意を表明する。またこのプログラムが今後も継続することを期待する。

4.  ミャンマー国内で、特別報告官の報告にあるような、超法規的、即決あるいは恣意的な処刑、拉致、強かん、拷問、非人間的処遇や、児童に対するものも含む強制労働、強制移住、集会・結社・表現・移動の自由の否定といった人権侵害が続いていることを遺憾とする。

5.  反政府勢力、国民民主連盟党員、その支持者と家族、少数民族反政府政党を弾圧するために用いる、ますます組織化された政策に深い憂慮を表明する。また同政府による、恣意的な逮捕と拘禁、司法制度の濫用のほか、過酷な長期刑の宣告、大衆集会、メディアによるキャンペーンを含む脅迫的方法の使用に深い憂慮を表明する。これらは多くの人々に正当な政治的権利の行使をためらわせるものである。

6.  ミャンマー政府に対し、遅滞なく、表現、集会、移動、言論の自由をはじめとする国際的に認知された人権の自由な行使を妨げるすべての活動の停止を求める。またアウンサンスーチーをはじめとする国民民主連盟党員の移動の自由を侵害する規制、また外部世界との通信の自由を侵害する規制の全廃を求める。

7.  ミャンマー政府に対し、拘禁されている政治指導者とジャーナリストを含む政治囚全員を直ちに無条件で釈放すること、政治囚の健康状態を保証すること、そして彼らの国民的和解プロセスへの参加を可能にすることを強く求める。

8.  国民会議の構成と作業手順の下では、選挙で選出された国会議員と少数民族の代表者の双方が自らの見解を自由に表明できないことに憂慮を表明する。そしてミャンマー政府に対し、国民的和解を促進するための、また、とりわけ行動のタイムフレームを設定することを通じて、民主主義を回復するための新たな建設的手段の策定に着手することを求める。

9.  同政府がこれまで様々な場所で表明してきた言質を考慮に入れ、ミャンマー政府に対し、1990年の民主的な選挙で表明された国民の意志にしたがって、民主主義の回復のために必要なすべての措置を取ることを求める。そしてこの目的のために、遅滞なく、アウンサンスーチーと少数民族の代表者を含む政治指導者との実質的な政治対話を行うよう求める。なおこの点については、国民議会代行委員会の存在に言及する。

10.  ミャンマー政府が、いまだ自国民を強制労働に広範かつ組織的に使用していること、またこの問題に関して国際労働機関(ILO)が行った3つのリコメンデーションすべてを履行していないことについて、非常な憂慮を持って言及する。この不履行が原因で、国際労働機関は同政府との今後の協力関係を制限することになり、国際労働会議(訳注:ILO総会)は、強制労働に関する1930年の国際労働機関29号条約の遵守状況調査のために設置された調査委員会によるリコメンデーションをミャンマー政府に確実に履行させるための多くの方策を、一定の条件の制約下で、採用した。

11.  国際労働機関の技術協力使節団による最近のミャンマー訪問と、使節団の報告を待つとともに、使節団派遣まで拡大された協力関係に言及する。

12.  ミャンマー政府に対し、調査委員会が行った関連するリコメンデーションと一致する形で、強制労働使用の廃絶のための立法、執政、行政面での具体的な方策を完全に履行することを強く求める。

13.  大部分の大学が再開されたことを歓迎する。しかし一方で、教育に関する権利が、依然として個人の市民的・政治的諸権利の行使を行わないという条件つきで認められる権利であること、また大学年の期間短縮、学生の分離、遠隔地へのキャンパスの分散、不十分な資源の割当について引き続き憂慮する。

14.  人権侵害の継続、特に民族上あるいは宗教上の少数集団への人権侵害、即決処刑、強かん、拷問、強制労働、強制ポーター労働、強制移住、対人地雷の使用、穀物や田畑の破壊、土地や所有物の収奪が行われていることを遺憾とする。こうした収奪は人々からすべての生存手段を奪い、大規模な人口移動、近隣国に悪影響を与える難民の流入、また国内避難民の増加を生み出している。

15.  ミャンマー政府に対し、組織的な強制移住の停止と隣国への難民流出を引き起こすその他の要因の除去、難民が自発的に帰還し、安全と尊厳が保証された上での完全な再統合を可能にする諸条件の創出、人道援助を行う職員が安全かつ妨害を受けずに、帰還と再統合の過程を援助するための接触を行うことを可能にすることを求める。

16.  女性、なかでも難民、国内避難民、少数民族、反政府勢力の女性が持つ人権の侵害、特に強制労働、トラフィキング、強かんを含む性暴力と性的搾取といった形での人権侵害が続いていることを遺憾とする。

17.  ミャンマー政府に対し、女子差別撤廃委員会が行った諸勧告を、なかでも女性の人権を侵害した人物に対する訴追と処罰の要求を、完全に履行すること、また人権教育とジェンダー・センシティブな訓練を、特に軍人に対して実施することを強く求める。

18.  子ども、とりわけ少数民族の子どもが新兵として採用されていることを遺憾とする。またミャンマー政府およびミャンマー国内での戦闘行為にかかわるすべての勢力に対して、子ども兵士の使用を停止するよう強く求める。

19.  ヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)の感染拡大に憂慮を表明する。ミャンマー政府に対し、同国の発展に長期に渡る深刻な影響を及ぼすこの問題に直ちに取り組むこと、医療従事者が可能な限りで最高水準の医療を提供するのに十分な資金を健康医療制度に確実に受領させることを求める。

20.  就学前の子どもが高率で栄養失調状態にあることに深い憂慮を表明する。これは、子どもたちが十分な食糧を手にし、達成可能な枠内で最高の健康状態を維持する権利に対する重大な侵害であるとともに、その影響を受けた子どもの健康と発達に重大な結果を引き起こす可能性がある。

21.  ミャンマー政府に対し、経済権、社会権を含む人権と基本的自由のすべてを完全に尊重すること、また司法とデュー・プロセスの独立を回復する責務を完遂すること、軍関係者を含む人権侵害の加害者への不処罰を停止し、加害者全員に対する裁判を行うこと、そして人権侵害を行った疑いのある公務員を、いかなる状況であれ、調査し訴追することを強く求める

22.  事務総長特使のミャンマー訪問に関する事務総長の報告 [6] を歓迎し、国民的和解につながる対話プロセスの開始を求めた特使の訴えを支持し、また対話の進展に向けた特使の活動を支援する。

23.  事務総長に対し、ミャンマー政府と人権状況および民主主義の回復に向けた協議を継続すること、第55回総会会期中に協議の進展状況に関する追加報告書を提出すること、そして第56回総会および第57回人権委員会会期中に本決議の履行状況について報告することを求める。

24.  第56回国連総会でこの問題を引き続き検討することを決議する。

第81回本会議
2000年12月4日

(訳注:決議案の起草国と共同提案国は次の通り。起草国:アンドラ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、コスタリカ、チェコ共和国、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、モナコ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、サン・マリノ、大韓民国、スペイン、スウェーデン、グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国、アメリカ合州国。追加共同提案国:ブルガリア、チリ、コスタリカ、エストニア、ギリシア、アイスランド、ポーランド、米国、カナダ、オランダ、デンマーク、アイルランド、リヒテンシュタイン、マルタ、スロベニア)

(訳:箱田徹)

出典: United Nations General Assembly, Resolution adopted by the General Assembly: 55/112. Situation of human rights in Myanmar (A/RES/55/112)

[1] Resolution 217 A (III).

[2] Resolution 2200 A (XXI), annex.

[3] Official Records of the Economic and Social Council, 1992, Supplement No.2(E/1992/22), chap.II, sect.A.を参照。

[4] Ibid., 2000, Supplement No.3 and corrigendum (E/2000/23 and Corr.1), chap .II, sect .A.

[5] A/55/359.

[6] A/55/509.