トップページ >  ビルマの現状:国際関係・対日関係 >  国連機関 >  ミャンマーの人権状況に関する決議

国連機関

ミャンマーの人権状況に関する決議
2002年2月28日配信 国連総会

国際連合
A/RES/56/231
総会

一般配布
2002年2月28日

第56会期

議題119(c)

国連総会決議
(第3委員会での報告(A/56/583/Add.3)について)

56/231 ミャンマーの人権状況

国連総会は、

加盟国すべてが、国連憲章で宣言され、世界人権宣言[1]および国際人権規約[2]、またその他の人権に関する適切な文書によって具体的に示された人権と基本的自由を推進し、かつ保護する義務を負うことを再度確認し、

国連が国連憲章に則り、すべての人の人権と基本的自由の尊重を促進し、かつ奨励していること、また世界人権宣言が国民の意思が政府の権威を基礎づけるべきだと宣言していることを了解し、したがってミャンマー政府が、1990年総選挙の結果に基づいた民主主義の確立に向けて必要な措置すべてをいまだ履行していないことに深い憂慮を表明し、

2000年12月4日の国連決議55/112、および国連人権委員会が、とりわけ、特定の権限を付与された特別報告官の任命を決定した1992年3月3日の同委員会決議1992/58[3]、また同委員会が、ミャンマーの人権状況に関する同特別報告官の任期の一年延長を決定した2001年4月18日の同委員会決議2001/15[4]を想起し、

民主的統治に関する権利が尊重されていないことが、ミャンマーで発生する深刻な人権侵害すべての原因になっているとの前特別報告官の所見を想起し、

ミャンマーの人権状況、なかでも、ミャンマー国内での政治的諸権利の行使と思想、表現、結社および移動の自由への抑圧、およびアウンサンスーチーやその他の国民民主連盟党員に対する、とりわけ、その活動と外部との接触の自由に対して加えられる抑圧に依然として深い憂慮を示し、

司法制度が抑圧の道具として、とりわけ弁護士の強迫や拘束という形で、効率的に用いられていることに深い憂慮を示し、

ミャンマー政府が行っている市民的、政治的、経済的、社会的、文化的諸権利の組織的な弾圧により、ミャンマー国民の健康と福祉に深刻な悪影響が出ていることを認識し、

過去1年間の国連事務総長特使による3度の訪問、特別報告官の訪問、国際労働機関のハイレベル・チームの訪問と、これらの訪問に対してミャンマー政府が行った協力を歓迎し、

特別報告官の報告にあるように、ミャンマーで現在進行中の政治過程が進展の兆候を示していることに対して、とりわけ政治囚の釈放と合法政党の活動に対して加えられた規制の一部の緩和に用心しながらも勇気付けられているものの、この過程が遅々としたものであることを依然として憂慮する。

1. ミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官が、中間報告書[5]を提出し、口頭説明[6]を行ったことに感謝を表明する。

2. 特別報告官の2001年4月の現地訪問と、2001年10月に初めて行った真相究明使節団に対するミャンマー政府の支援を歓迎する。この訪問を通して、特別報告官は同政府およびその他の関連する社会のすべてのセクターと直接の接触を行った。また同政府に対して、引き続き特別報告官に協力し、前提条件を課さない現地調査のさらなる実施と、同報告官による勧告の完全な履行を求める。

3. 事務総長のミャンマー特使が行った訪問に関し、事務総長が行った報告[7]を歓迎し、ミャンマーの関係当事者すべてを含んだ国民的和解のプロセスを促進しようとする氏の努力を強く支持する。またミャンマー政府に対し、事務総長の斡旋をより有効に活用するため、建設的な対話を定期的に行うことを奨励する。

4. ミャンマー国内で、超法規的、即決あるいは恣意的な処刑、拉致、強かん、拷問、非人間的処遇や、児童に対するものも含む強制労働、強制移住、集会・結社・表現・移動の自由の否定といった人権侵害が続いていることを遺憾とする。

5. 同政府と、NLD書記長アウンサンスーチーとの間で信頼醸成のための接触が開始されたことを歓迎し、こうした交渉が適切な時期を迎え、とりわけ少数民族の代表を含むような形へと拡大され、それによって広い基盤の上に立った包括的な国民的和解と民主主義の回復を促進することを期待する。

6. ミャンマー政府とスーチーとの対話が遅々として進まないことに憂慮を表明し、信頼醸成策のさらなる展開と前進によって、民主化プロセスの不可逆性が保証されることを要求する。

7. 反政府勢力による政治活動の一部再開を可能にした、政党支部の一部の再開や、メディアを使った中傷キャンペーンの停止など、ミャンマー政府の採った措置を認知する。しかし特別報告官が言及したように、集会、結社、表現、情報、情報および移動の自由という面で、政党の活動を依然として妨げる、不必要で差別的な過酷な規制と、恣意的拘束や司法制度の濫用といった脅迫的な方法を同政府が用いていることに深い憂慮を表明する。また政治上の諸権利と自由の早期回復を要求する。

8. 一連の人権ワークショップによる公務員への人権基準の宣伝が行われていることに言及し、この情報とその実際的な履行から、すべてのミャンマー市民が確実に利益を得るため、ミャンマー政府が広範な参加者を集めてこうしたワークショップを開催することを奨励する。

9. またミャンマー政府が全国人権委員会を設置したことを言及し、同政府が、1993年12月20日の総会決議48/134(パリ原則)に付加する、人権の推進と保護を行う上での国家的諸制度の状態に関する諸原則と、この委員会を一致させることを奨励する。

10. 民主主義を求める活動家多数が釈放されたことを歓迎する。そしてミャンマー政府に対し、現在もなお拘禁されている政治指導者と、ジャーナリストを含む政治囚全員を釈放すること、政治囚の健康状態を保証すること、そして彼らの国民的和解プロセスへの参加を可能にすることを強く求める。

11. 赤十字国際委員会との継続的な協力によって、同委員会が作業方法に従って被拘禁者との通信、および面会が可能になっていることに満足を満足の意を表明する。またこのプログラムが今後も継続することを期待する。

12. 大部分の大学が再開されたことを歓迎する。しかし一方で、教育に対する権利の享受が、しばしば政治的な理由から、大学年の期間短縮、学生の分離、遠隔地へのキャンパスの分散、不十分な資源の割当によって制限されていることを依然として憂慮する。

13. ミャンマー政府に対し、1990年の民主的な選挙で表明された国民の意志にしたがって、民主主義の設置を確保する具体的な措置の即時実施、この目的のために国民民主連盟のスーチー書記長との間で開始された交渉の拡大、国民的和解と民主主義の回復の実現を目指した、政党と少数民族の指導者全員との真に実質的な対話の包含、また政党と非政府組織の自由な活動の保証を強く求める。なおこの点については、国民議会代行委員会の存在に言及する。

14. 2000年5月30日から6月15日まで開催された第88回ILO総会で採択された決議を想起する。この決議は、国際機関にミャンマーとの協力関係を再検討すること、また各国政府、雇用者、労働者に対し、ミャンマー政府が、強制労働に関する1930年の国際労働機関29号条約のミャンマー政府による遵守状況調査のために設置された調査委員会が言及した強制労働制度の存続と拡大に、こうした関係を利用する可能性のないことを保証するための適切な方策を採ることを勧告している。

15. 同政府が行った強制労働使用の廃絶のための措置の実際的な実施状況と影響を査定するため、国際労働機関のハイレベルチームが行った最近のミャンマー訪問と、ミャンマー政府による同チームへの協力を歓迎する。

16. ハイレベルチームが出した結論、すなわち一連の命令の宣伝努力がまちまちにしか行われておらず、地元の国軍が命令を遵守しておらず、強制労働の広範な事例があるにもかかわらず、刑事訴追が一切なされていないために、状況には漸進的な発展しかないという結論、また国民的和解への前進を含む、状況の適切な対処のためにはさらに多くのことがなされる必要がある結論に失望を表明する。

17. ミャンマー政府に対し、国際労働機関との緊密な協力の下で、調査委員会が行った関連するリコメンデーションと一致する形で、強制労働使用の廃絶のための立法、執政、行政面での具体的な方策を履行することを強く求める。この文脈で、ミャンマーへの国際労働機関の長期代表の設置、オンブズマンの創設を含むハイレベルチームによるリコメンデーションを支持する。またこの目的のためにミャンマー政府が国際労働機関事務総長と対話を継続することを奨励する。

18. 人権侵害の継続、特に民族上あるいは宗教上の少数集団への人権侵害、即決処刑、強かん、拷問、強制労働、強制ポーター労働、強制移住、対人地雷の使用、穀物や田畑の破壊、土地や所有物の収奪が行われていることを遺憾とする。こうした収奪は人々からすべての生存手段を奪い、大規模な人口移動、近隣国に悪影響を与える難民の流入、また国内避難民の増加を生み出している。

19. ミャンマー政府に対し、組織的な強制移住の停止と隣国への難民流出を引き起こすその他の要因の除去、難民が自発的に帰還し、安全と尊厳が保証された上での完全な再統合を可能にする諸条件の創出、人道援助を行う職員が安全かつ妨害を受けずに、帰還と再統合の過程を援助するための接触を行うことを可能にすることを求める。

20. 女性、なかでも難民、国内避難民、少数民族、反政府勢力の女性が持つ人権の侵害、特に強制労働、トラフィキング、強かんを含む性暴力と性的搾取といった形での人権侵害が続いていることを遺憾とする。

21. ミャンマー政府に対し、女子差別撤廃委員会が行った諸勧告を、なかでも女性の人権を侵害した人物に対する訴追と処罰の要求を、完全に履行すること、また人権教育とジェンダー・センシティブな訓練を、特に軍人に対して実施することを強く求める。

22. 子ども、とりわけ少数民族の子どもが新兵として採用されていることを遺憾とする。またミャンマー政府およびミャンマー国内での戦闘行為にかかわるすべての勢力に対して、子ども兵士の使用を停止するよう強く求める。

23. ミャンマー政府が、ヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)の感染拡大に対処し始めたことに言及し、また、とりわけHIV/AIDSの予防の分野で、より多くのことが行われる必要のあることを認知する。ミャンマー政府に状況の深刻さと、この疾患に対する必要な方策を採ることの必要性を十分に理解するよう求める。この方策は、関係するすべての政治勢力、民族勢力との協力の下で、またHIV/AIDSに関する共同行動計画の国連による展開を通して、HIV/AIDSの感染に最も襲われやすく、最も脆弱なコミュニティに達することを目指すという観点から、非政府組織または国際機関によって行われなければならない。

24. ミャンマー政府に対し、HIV/AIDSと共に生きる人々の人権の推進と保護の実施、こうした人々が経験するおそれのある社会からの無視と差別からの保護の実施、医療従事者が可能な限りで最高水準の医療を提供するのに十分な資金を、健康医療制度に確実に受領させることを求める。

25. 就学前の子どもが高率で栄養失調状態にあることに深い憂慮を表明する。これは、子どもたちが十分な食糧を手にし、達成可能な枠内で最高の健康状態を維持する権利に対する重大な侵害であるとともに、その影響を受けた子どもの健康と発達に重大な結果を引き起こす可能性がある。

26. ミャンマー政府に対し、経済権、社会権を含む人権と基本的自由のすべてを完全に尊重すること、また司法とデュー・プロセスの独立を回復する責務を完遂すること、軍関係者を含む人権侵害の加害者への不処罰を停止し、加害者全員に対する裁判を行うこと、そして人権侵害を行った疑いのある公務員を、いかなる状況であれ、調査し訴追することを強く求める

27. 事務総長に対し、ミャンマー政府と人権状況および民主主義の回復に向けた協議を継続すること、第56回総会会期中に協議の進展状況に関する追加報告書を提出すること、そして第57回総会および第58回人権委員会会期中に本決議の履行状況について報告することを求める。

28. 第57回国連総会でこの問題を引き続き検討することを決議する。

第92回本会議

2001年12月24日

(訳注:決議案の起草国と共同提案国は次の通り。起草国:オーストラリア、オーストリア、カナダ、コスタリカ、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、モナコ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、大韓民国、サン・マリノ、スペイン、スウェーデン、グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国、アメリカ合州国。追加共同提案国:アンドラ、ベルギー、ブルガリア、エストニア、ギリシア、リトアニア、イタリア、ラトビア、マルタ、ニュージーランド、オランダ、スロベニア)

(訳:箱田徹)

出典:United Nations General Assembly, Resolution adopted by the General Assembly: 56/231. Situation of human rights in Myanmar (A/RES/56/231)

[1] Resolution 217 A (III).

[2] Resolution 2200 A (XXI), annex.

[3] Official Records of the Economic and Social Council, 1992, Supplement No.2 (E/1992/22), chap.II, sect.A.を参照。

[4] Ibid., 2001, Supplement No.3 (E/2001/23), chap.II, sect.A.

[5] A/56/312.を参照。

[6] Official Records the General Assembly, Fifty-sixth Session, Third Committee, 35th meeting, (A/C.3/56/SR.35), and corrigendum.を参照。

[7] A/56/505.