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国連機関

ミャンマーに関する決議
2003年4月16日配信 国連人権委員会

国連人権高等弁務官
ミャンマーの人権状況
人権委員会決議 2003/12
国連人権委員会は、

国連憲章、世界人権宣言、国際人権規約、またその他の人権に関する文書を指針とし、

あらゆる国連加盟国が、人権、基本的自由、この分野に存在する様々な国際文書に従って担っている義務の履行を推進し、かつ保護する義務を負うことを改めて確認し、

ミャンマーが「子どもの権利条約」、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(女子差別撤廃条約)、「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」(ジェノサイド条約)、「1949年8月12日のジュネーブ戦争犠牲者等保護四条約」、また国際労働機関(ILO)の「強制労働に関する条約」(1930年、ILO第29号条約)、「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」(1948年、ILO第87号条約)の加盟国であることを確認し、

この問題についての過去の人権委員会決議(直近のものは2002年4月25日の決議2002/67)、また過去の総会決議(直近のものは2002年12月18日の決議57/231)を想起し、

子どもと武力紛争に関する事務総長報告(S/2002/1299)に留意し、

国際労働機関が、2000年6月14日に、ミャンマーでの強制労働の実施について第88回総会で採択した決議を想起し、

国民の意思が政府の権威の基礎をなすこと、またミャンマー国民の意思は1990年に実施された選挙で明確に示されていることを確認し、

また、ミャンマーに真の民主政府が設置されることが、あらゆる人権と基本的諸権利の実現にとって不可欠であることを確認し、

良い統治、民主主義、法の支配、人権の尊重が、持続的発展と経済成長を達成するのに不可欠であること、そして良い統治とは、あらゆるレベルで透明で、責任、アカウンタビリティーを負い、参加型である政府の観念を含むものであることを認識する。

国連人権委員会は、

1.次の事項を歓迎する

(a) 国民民主連盟指導者のアウンサンスーチー氏が享受している国内移動の自由

(b) 政治活動を理由に拘束されていた多数の政治囚の釈放

(c) ミャンマーの人権状況に関する特別報告官(E/CN.4/2003/41)と事務総長特使の報告

(d) 昨年行われたミャンマーの人権状況に関する特別報告官のミャンマー訪問と、ミャンマー政府が行った氏への協力

(e) 昨年行われた事務総長特使のミャンマー訪問。しかし2003年3月の事実調査訪問が、特使がインセイン刑務所で囚人と面会している際に盗聴装置が発見されたことで、短縮されたことに憂慮を表明し、この事件の詳細な調査結果が国連人権高等弁務官まで報告されることを期待する。

(f) 赤十字国際委員会への継続的な協力と収容条件のわずかな改善

(g) アムネスティ・インターナショナル代表団のミャンマー訪問

(h) 国際労働機関のリエゾン・オフィサー任命と、任務遂行を目指す氏の努力

(i) ミャンマーのケシ生産対策への必要性について、政府の意識が強まっていること

(j) ヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)のミャンマー国民への影響が一層深刻化しており、この問題に効果的に対応する必要性について、政府の意識が強まっていること

(k) 一連の人権講習会を通じて、公務員と一部の非政府組織、民族団体に人権基準が普及したこと、しかしこうした活動は現場の人権状況を改善する具体的な動きにも結びつく必要があることを強調する。

2.政府が、全国人権委員会設立の前段階として人権委員会を設置したことに注目する。全国人権委員会は1993年12月20日の国連決議48/134に付属する、人権の促進と擁護に関する国内機構の地位に関する原則(パリ原則)に従ったものとなる。しかし効果的で独立した全国人権委員会の設立について、それ以上の進展がないことにも注目する。

3.次の事項に強い懸念を表明する

(a) ミャンマー国民の市民的、政治的、経済的、社会的、文化的諸権利の組織的な侵害が継続していること

(b) アウンサンスーチー、その他の民主化指導者との真の政治対話を開始することを引き続き拒否していること、また連邦団結発展協会の支援を受けて当局が行う、アウンサンスーチーや反体制活動家への嫌がらせや脅迫未遂

(c) 超法規的処刑、国軍兵士がいまだに行っている強かんやその他の性暴力についての報告、引き続き拷問が行われていること、政治目的での新たな逮捕事例と継続的な拘束(刑期が満了した囚人の拘束を含む)、強制移住、国軍による生活の破壊と土地の接収、児童労働を含めた強制労働、人身売買、集会、結社、表現および移動の自由の否定、宗教または民族を理由にした差別と迫害、法の支配が広い範囲で尊重されていないこと、また司法の独立の欠如、問題のある収容条件、子ども兵士の組織的な使用、食糧などの適切な生活水準を享受する、また医療や教育を享受する権利の侵害

(d) 民族的マイノリティに属する人々、女性、子ども、特に停戦が行われていない地域に住むこうした人々がとりわけ被る人権侵害

(e) 大量の国内難民が生じ、隣国へ難民が流出している状況。この文脈でミャンマー政府が国際法の下で負う義務を想起する

(f) ミャンマー政府当局が、ミャンマー国内で深刻化が進むHIV/AIDSを巡る状況について、いまだ不十分な対応しか行っていないこと。

4.ミャンマー政府に次のことを求める

(a) 司法の独立性と法の適正な手続きを回復する義務を果たすこと、また司法制度改革に向けて更なる措置を取ること

(b) 軍隊を含むあらゆる政府機関が課す強制労働の根絶に向けて、立法、行政、執行面で具体的な措置を十分に実施するため、直ちに行動を起こすこと、また、1930年の国際労働機関の強制労働に関する条約(ILO第29号条約)のミャンマー政府による遵守状況調査のために設置された調査委員会の勧告を完全実施すること

(c) 国際労働機関のリエゾン・オフィサーの地位を、国際労働機関のハイレベル・チームが構想した、同機関のミャンマーでの正式かつ効果的な代表部へと迅速に転換するため、その様式と枠組みについての合意形成に向けた行動を起こすこと

(d) 国連また国際人道機関がミャンマー国内のあらゆる地域に安全で制約を受けずに立ち入れることを直ちに保障すること。社会のあらゆるセクター、特に国民民主連盟、そのほかの関係する政治、民族、地域団体と、協議を通じて、全面的な協力を行うこと。人道援助の配給を確実に行うこと、また配給が国民のもっとも被害を受けやすい集団に実際に届いていることを保証すること

(e) ミャンマーを文民統治に移行させるため、ミャンマーへの事務総長特使と、本委員会のミャンマーの人権状況に関する特別報告官との協力関係を改善すること、また両名がミャンマーに完全かつ自由に立ち入ることができること、特使と特別報告官に協力するあらゆる人物がいかなる種類であれ脅迫、嫌がらせまたは処罰の対象とはならないことを保障すること

(f) 「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(自由権規約またはB規約)、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約またはA規約)、「拷問及びその他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱または刑罰の禁止に関する条約」(拷問禁止条約)と選択議定書、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(人種差別撤廃条約)、「難民の地位に関する条約」(難民条約)、「武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書」、「子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する子どもの権利条約の選択議定書」、国際労働機関の「最悪の形態の児童労働の廃絶と禁止への即時行動に関する条約」(1999年、ILO第182号条約。最悪の形態の児童労働条約)、「対人地雷の使用、貯蔵、製造、移譲の禁止及びその破壊に関する条約」(地雷禁止条約、オタワ条約)、「1949年8月12日のジュネーブ諸条約の諸追加議定書」への加盟を優先的に考慮すること

(g) 対話と平和的な手段とを用いて、ミャンマー国内のあらゆる民族勢力との紛争を即時中断し、恒久的に終結させるため努力すること

(h) 人権の促進と擁護に関する国内機構の地位に関する原則(パリ原則)に従い、全国人権委員会を設置すること。

5.ミャンマー政府に次のことを強く要請する

(a) 民主主義を回復し1990年総選挙の結果を尊重すること、またアウンサンスーチーを始めとする国民民主連盟指導部と、民主化と国内の和解に向けた実質的で、具体的なスケジュールに基づいた対話を直ちに開始すること、この対話に民族組織の代表者を含む、その他の政治勢力の指導者を早期に加えること

(b) 組織的に行われているミャンマー国内の人権侵害を停止すること、あらゆる人権と基本的諸権利の全面的な尊重を保障すること、どのような状況で行われたにせよ、軍またはその他の政府関係者を含む、あらゆる人権侵害の実行者への刑事不処罰を停止し、調査し、裁判を行うこと

(c) シャン州やその他の民族州内での国軍兵士による民間人への性暴力やその他の虐待事例が継続して報告されており、これについての独立した国際調査を人権委員会特別報告官が促進できるように、同報告官への全面的な協力をこれ以上の遅滞なく実施すること

(d) 政治囚全員を無条件で即時釈放すること。高齢者と病人について特に留意する。

(e) 子ども兵士の徴兵と使用を即時停止すること、子ども兵士の除隊、故郷への帰還と社会復帰について、2003年1月30日の安全保障理事会決議第1460号(2003)に基づき、関係する国際機関に全面的に協力すること

(f) 元政治囚を含むあらゆる人物が行う平和的な政治活動への制限を、特に結社の自由と、報道の自由を含む表現の自由とを保障することで、全廃すること、またミャンマー国民が妨害されることなく情報に接することを保障すること

(g) 隣国への難民流出の原因となっている計画的な強制移住やその他の原因を除去すること、国内難民に必要な保護と援助を提供すること、また適切な国際機関のモニタリングの下で、難民が自主的に、安全に、尊厳を持って帰還する権利を尊重すること

(h) HIV/AIDSを巡る状況が深刻さを増していることを更に認識し、あらゆる政治組織、民族組織と協力し、また関係するあらゆる国際機関の協力と支援を受けながら、国連のHIV/AIDSに関する合同行動計画のミャンマー国内での効果的な実施をはじめとして、この伝染病への必要な対策を完全実施すること。

6.次の事項を決議する

(a) 1992年3月3日の本委員会決議1992/58に記された、特別報告官へのマンデートを1年間延長し、また特別報告官に第58次総会に中間報告を提出し、第60次会期(訳注:2004年の人権委員会を指す。2003年は第59次会期)で委員会に報告を行うよう求めること

(b) 事務総長に、特別報告官に任務の完全履行を可能にする必要なあらゆる援助を継続して与えることを求めること。

7.事務総長に、関係するあらゆる国連機関に対し本決議に注意を促すことを求める。

8.この問題を第60次会期で継続して審議する。

9.経済社会理事会に次の決定を採択するよう勧告する。

「経済社会理事会は、2003年4月16日の人権委員会決議2003/12に留意し、1992年3月3日の同委員会決議1992/58に記された、特別報告官へのマンデートを1年間延長し、また特別報告官に第58次総会に中間報告を提出し、第60次会期で委員会に報告を行うよう求めた同委員会の決議を承認する。」

第51次会合
(無投票による採択
2003年4月16日
E/CN.4/2003/L.11、第6章を参照)

(非公式訳、箱田 徹)

出典:Situation of human rights in Myanmar, Commission on Human Rights resolution, the 59th session of the Commission on Human Rights, 2003/12, 16th April, 2003.