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国連機関

ミャンマーの人権状況に関する決議
2003年11月18日配信 国連総会

ミャンマーの人権状況に関する決議
国際連合
A/C.3/58/L.68/Rev.1

総会
限定配布
2003年11月18日

原文:英語

第58回会期
第3委員会
議題 117(c)
人権上の諸問題:人権状況と特別報告者および代表団による報告について

アルバニア、アンドラ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、ラトビア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、大韓民国、ルーマニア、スロヴァキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国、アメリカ合衆国

ミャンマーの人権状況

国連総会は

 国連憲章、世界人権宣言(1)、国際人権規約(2)、またその他の人権に関する文書を指針とし、

 あらゆる国連加盟国が、人権と基本的自由を保護、推進し、この分野に存在する様々な国際文書の下に負う義務を履行する義務を負うことを改めて確認し、

 ミャンマーが「子どもの権利条約」(3)、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(女子差別撤廃条約)(4)、「集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約」(ジェノサイド条約)(5)、「1949年8月12日のジュネーブ戦争犠牲者等保護四条約」(6)、また国際労働機関(ILO)の「強制労働に関する条約」(1930年、ILO第29号条約)、「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」(1948年、ILO第87号条約)の加盟国であることを認識し、

 子どもと武力紛争に関する2003年1月30日の安全保障理事会決議第1460号(2003)および、これに従った事務総長報告(7)に留意し、

 この問題についての過去の総会決議(直近のものは2002年12月18日の決議57/231)、また過去の国連人権委員会決議(直近のものは2003年4月8日の決議2003/12)(8)、および2000年6月14日に、ミャンマーでの強制労働の実施について第88次国際労働機関総会で採択された決議を想起し、

 国民の意思が政府の権威の基礎をなすこと、またミャンマー国民の意思は1990年に実施された選挙で明確に示されていることを確認し、

 また、ミャンマーに真の民主政府が設置されることが、あらゆる人権と基本的諸権利の実現にとって不可欠であることを確認し、

 良い統治、民主主義、法の支配、人権の尊重が、持続的発展と経済成長を達成するのに不可欠であることを認識し、

 ミャンマー政府が、ミャンマー国内でのアヘン生産の解決に向けた包括的取組の必要性に関する意識を高めつつあることに留意し、

 ミャンマー首相が2003年8月30日に発表した民政移管へのロードマップ(行程表)に注目し、

1.以下の事項を歓迎する

(a) 昨年行われたミャンマーに関する事務総長特使のミャンマー訪問、およびミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官のミャンマー訪問

(b) 域内各国を始めとする国際社会が、2003年6月18日に第10回東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)が採択した声明に見られるように、民主主義の強化が域内安全保障の根本的な要素の一つとして重要性を持つという認識に従い、ミャンマー政府に対し、国民和解と対話に向けた取組を再開するよう働きかけるためにとった措置

(c) 事務総長による報告(9)

(d) ミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官の中間報告(10)

(e) ヤンゴンで2003年5月27日に締結された、強制労働被害を訴えた人物への支援を行う独立のファシリテーターの設置に関する合意を始めとした「ミャンマー政府と国際労働機関によるミャンマーでの強制労働行為の廃止に向けた合同行動計画」。ただしこの「行動計画」の実施のための諸条件が現時点では存在していないことに留意する。

(f) ミャンマー政府による赤十字国際委員会への継続的な協力

2.以下の事項に強い懸念を表明する

(a) 同国の人権状況を著しく後退させることになった2003年5月30日に発生した一連の出来事とそれに続き現在も継続している人権侵害、および政府と関係を持つ連邦団結発展協会のこれらの出来事への明白な関与

(b) アウンサンスーチー氏の身柄拘束と自宅軟禁、行動の自由を始めとする同氏の人権と基本的自由に対する継続的な否認、また国民民主連盟(NLD)幹部の拘束の継続

(c) 全国の国民民主連盟支部の閉鎖、同党およびその他の政治組織のメンバーと支持者に対する監視強化と投獄、また、とりわけ刑期満了者の収容を継続していること

(d) 連邦団結発展協会メンバーによる国民民主連盟党員への組織的で執拗な嫌がらせと脅迫

(e) ミャンマー政府が、ミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官への協力を怠っていること、とりわけ深刻な人権侵害についての訴えを調査するために民族州への訪問を申し出たことへの非協力

3.以下の事項に引き続き強い懸念を表明する

(a) ミャンマー国民の市民的、政治的、経済的、社会的、文化的諸権利の組織的な侵害が継続していること

(i) 超法規的処刑、引き続き拷問が行われていること、国軍兵士がいまだに行う強かんやその他の性暴力、不十分な収容環境[YA2]、強制移住、法の支配が広い範囲で尊重されていないこと、また司法の独立の欠如、人身売買、児童労働を含む強制労働、国軍による生活の破壊と土地の接収、食糧、医療や教育など適切な生活水準を享受する権利の侵害

(ii) 報道、集会、結社、移動の自由を始めとする表現の自由の否定、

(iii) 民族的少数者、女性および子どもに属する人々が宗教または民族を理由に受けている差別と迫害

(b) 大量の国内難民が生じ、隣国へ難民が流出している状況。この文脈でミャンマー政府が国際法の下で負う義務を想起する

4.ミャンマー政府に以下のことを求める

(a) 2003年5月30日のディペーイン事件について、国際社会と協力し、徹底した独立の調査を開始すること

(b) ミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官が、シャン州やその他の民族州での国軍兵士による民間人への性暴力その他の虐待事例の調査を提案しているが、直ちにこの調査の実現を容易にし、全面的な協力を行うこと。これには報告官が地域に妨害を受けずに赴くこと、調査に協力し、その中で扱われた人々の安全を保証することが含まれる。

(c) 人道援助の供給を確実に実施し、国民のもっとも被害を受けやすい集団に実際に届くために、国連また国際人道機関がミャンマー国内のあらゆる地域に安全で制約を受けずに立ち入れることを直ちに保証すること

(d) 対話と平和的な手段とを用いて、現在も停戦協定締結に至っていない現存するあらゆる民族勢力との紛争を即時終結させること、停戦地域で開発や人権の状況を改善する義務を果たすこと

(e) 国際労働機関(ILO)の「強制労働に関する条約」(1930年、第29号条約)のミャンマー政府による遵守状況を調査するために設置された調査委員会による勧告の完全履行という観点から、国際労働機関への協力を実行するために必要なあらゆる措置を取ること、また「ミャンマー政府と国際労働機関によるミャンマーでの強制労働行為の廃止に向けた合同行動計画」、とりわけこの計画によって設立されたファシリテーターのメカニズムが、信頼に足る方法で実施されるための諸条件を創設すること

5.ミャンマー政府に以下のことを強く要請する

(a) 組織的に行われているミャンマー国内の人権侵害を停止すること、あらゆる人権と基本的諸権利の全面的な尊重を保証すること

(b) 2003年5月30日当日あるいはそれ以降に拘束されたアウンサンスーチー氏、その他の国民民主連盟幹部および同党党員の即時無条件釈放、そしてこれらの人々が国民和解と民政移管に向けて十分な役割を果たすことを可能にすること

(c) その他の政治囚全員を即時無条件で釈放すること

(d) 2003年5月30日の事件後に発せられたその他のあらゆる「一時的」措置を即時解除すること、とりわけ全国の国民民主連盟支部すべてを再開させること

(e) 平和的な政治活動に課せられたあらゆる制限を直ちに撤廃すること、報道、結社、集会の自由を始めとする表現の自由を全面的に保証すること

(f) 状況のいかんに関わらず、軍、連邦団結発展協会、その他の政府関係者を含む、あらゆる人権侵害の実行者について調査し、裁判を行うことによって刑事不処罰を停止すること

(g) 2003年5月30日以降の情勢を直接評価するためにミャンマーに関する事務総長特使と、ミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官との協力関係を強化すること、またミャンマーを文民統治に移行させること。また両名がミャンマーに完全かつ自由に立ち入ることができること、特使と特別報告官に協力するあらゆる人物がいかなる種類であれ脅迫、嫌がらせまたは処罰の対象とはならないこと、またその一方で、ミャンマー国内では、両人が、国民民主連盟を始めとする同国内のあらゆる政党の指導者やメンバーと同等に接触できるように保証すること

(h) 民主主義を回復し1990年総選挙の結果を尊重すること、またアウンサンスーチーを始めとする国民民主連盟指導部と、民主化と国民和解に向けた実質的で、具体的なスケジュールに基づいた対話を直ちに開始すること、またこの対話に民族組織の代表者など、その他の政治勢力の指導者を早期の段階から加えること

(i) 民政移管に向けたロードマップ(行程表)を具体化すること。現時点では、民主化過程の透明性と包括性が確保されるために必要な、具体的なスケジュールやあらゆる政治勢力と民族の参加についての適切な計画を始めとする基本的な要素が示されていない。

6.2002年12月18日の総会決議57/231、2003年4月16日の人権委員会決議2003/12ですでに示された以下の事項を、ミャンマー政府に改めて要請する

(a) 司法の独立性と法の適正な手続きを確保すること

(b) 同国がまだ加盟しておらず、現在も有効な国際人権文書への加盟を優先的に考慮すること、また国際人権文書の下に負う義務を完全に実施すること

(c) 子ども兵士の徴兵と使用を、とりわけいくつかの民族武装勢力が行っているものを即時停止すること、子ども兵士の除隊、故郷への帰還と社会復帰を保証すること、計画的な強制移住を停止し、国内難民に必要な保護と援助を提供すること、また難民が安全に、尊厳を持って自主的に帰還することを許可すること、そしてHIV/AIDSの感染拡大に対処する適切な措置を実施すること

7.事務総長に以下のことを要請する

(a) ミャンマー政府と、ミャンマーの国民和解プロセスに関わるあらゆる当事者を含めたミャンマー国民に対し、人権状況と民政の回復に関する斡旋と、協議への訴えかけを引き続き行うこと

(b) 第59回総会会期と国連人権委員会に本決議の履行に関する進展状況を報告すること

(c) ミャンマーへの事務総長特使に対し、本決議の履行を可能にあたって必要なあらゆる援助を与え、特使がファシリテーターとしての役割を果たすにあたり、そのマンデートを完全かつ効果的に履行するために必要なありとあらゆる可能性を探ること

(d) ミャンマーの人権状況に関する人権委員会特別報告官に、マンデートの完全な履行を可能にする必要なあらゆる援助を継続して与えること

8.この問題を第59回国連総会で継続して審議する

(訳注)本決議は、2003年12月1日に採決なしで承認された。なお確定文面は国連のWebサイトに2004年春頃に掲載される。(訳:箱田 徹)

原注:
1 Resolution 217 A (III).
2 Resolution 2200 A (XXI), annex.
3 Resolution 44/25, annex.
4 Resolution 34/180, annex.
5 Resolution 260 A (III).
6 United Nations, Treaty Series, vol. 75, Nos. 970-973
7 A/58/546-A/2003/1053.
8 To be issued in Official Records of the Economic and Social Council, 2003, Supplement No. 3 (E/2003/23), chap. II, sect. A.
9 A/58/325 and Add.1.
10 See, A/58/219.

出典:UNGA 2003: Resolution on the situation of human rights in Myanmar (United Nations, A/C.3/58/L.68/Rev.1)