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国際社会

いまこそビルマへの行動を
2003年5月27日配信 ワシントン・ポスト

いまこそビルマへの行動を
ワシントン・ポスト
2003年5月27日
社説

 13年前のこの日、ビルマ国民は選挙で投票し、アウンサンスーチー氏が率いる民主化政党が軍事政権に替わって政権を取るべきだとの圧倒的な意思表示をした。氏は同国の独立運動の英雄アウンサンの勇敢な娘だ。軍は政権を譲らず、選挙結果を履行させようとするスーチー氏のたたかいは今日も続いている。つい最近、非暴力と自己決定のメッセージを掲げて地方遊説に出たスーチー氏の一行を軍政の回し者が襲い、ナタで脅した(訳注:ビルマ軍政の大衆翼賛組織・連邦団結発展協会(USDA)メンバーによる妨害行動を指す)。このナタには、米国その他の民主主義国家に対する明確なメッセージがこめられている。苦しんでいるビルマ国民を支えるために今こそより強い措置を取れというメッセージだ。

 大国がビルマの約5千万人の人々や彼らの置かれた劣悪な状況に注目することはあまりない。ミャンマーとも呼ばれるこの国はインド、中国と東南アジアの接点という戦略的な位置にあり、豊富な天然資源を有する。しかし軍政は(少なくとも、これまでのところは)大量破壊兵器を所持しておらず、国民の大部分はムスリムではなく仏教徒である。つまりテロに対する戦争の中ではビルマは周辺国家なのだ。しかし、民主主義を推進しようというブッシュ政権の取り組みの中では、ビルマはほかにはない好機を提示している。独裁者というものはほとんどの場合、自分が国民の意思を代表し、また自分に代わって政権を取れる者はいないと主張する。どちらの主張も大抵はうそだが、うそだと証明するのは簡単ではない。ところがビルマについては真実を証明することができる。アウンサンスーチー氏の政党、国民民主連盟(NLD)は1990年の総選挙で485議席のうち392議席を獲得した。そして、NLDが政権に就くはずだった13年前から今まで、ビルマは着実に貧しくなったが、NLDもその指導者もいまだに支持されており、政権を取る用意もできている。

 衰えを知らない人気の一方には過酷な抑圧政策がある。約1400人の政治囚が拷問を受け、ぞっとするような収容状況に置かれている。奴隷労働、子ども兵の強制徴用、恐怖を植えつける手段としての強かんを行う国としてビルマは世界のトップクラスだ。アウンサンスーチー氏は、英国人と結婚し「混血の」子どもを産んだことも口実にされて、政府系(かつ唯一の)マスコミで毎日のように中傷されながら、この13年間の多くを自宅軟禁の下で過ごした。夫と死別した今、氏は一年前、軍政が国際的圧力を受けて民主化勢力との政治対話を始める約束をした時に、自宅軟禁から解放された。しかし対話はまったく始まっていない。国連が仲介したこの対話プロセスの成果は出ていない。

 国連の仲介役(訳注:ラザリ特使)は6月にビルマを再訪する予定で、軍政が再び対話開始を約束するだろうことが報道されている。事態に注目している人々の中には、ビルマへの投資から暴利をむさぼろうと機会を窺っている日本政府関係者など、これが進展だと言い張る向きもある。しかし今回ばかりは必ず実行を伴わせなければならない。NLDが活動するための真の自由(新聞を発行する自由を含む)や、権力の分担や移譲につながる真の対話抜きには満足してはならない。このような進展がない場合、米国政府は現行の投資禁止措置が不十分であるという結論を出すべきである。

 ブッシュ大統領は先月「歴史上には、真っ暗な道に明るい光を照らす偉大な人々が現われる瞬間がある。アウンサンスーチーとはそのような人だ」と述べた。同じく先月、米国アパレル履物協会(AAFA)も、ビルマ政府が「実力行使と脅迫とを通じて市民を虐待し続けていること」を理由にビルマからの繊維、衣服、履物の輸入を直ちに禁じる措置を呼びかけた。より強硬な制裁措置で被害を受けるビルマの一般市民もいるかもしれないが、軍政によって痛めつけられているほとんどすべてのビルマ人の数に比べたらずっと少ない数である。

(訳、秋元 由紀)

出典:Editorial: Act on Burma, The Washington Post, 27th May 2003.