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国際社会

日本政府、外務省への要請書
2003年6月4日配信 ビルマ市民フォーラム

日本政府、外務省への要請書
ビルマ市民フォーラム
2003年6月4日

内閣総理大臣 小泉純一郎殿
外務大臣 川口順子殿

 ビルマ市民フォーラムは、ビルマにおける今回のアウンサンスーチー氏とNLDメンバー多数が逮捕され、身柄を拘束されたまま消息が不明であるという事態に強い憂慮を覚えます。それと同時に、今回の深刻な事態に対し、不十分な声明しか発表しない日本政府の対応に失望し、ビルマの軍事政権と強い関係を維持する責任ある民主国家として、事態打開のために積極的な外交努力をすることを強く要望するものであります。

 6月3日までに、国連事務総長や欧米諸国の政府は事態を深刻に受け止め、アウンサンスーチー氏と逮捕されたNLDメンバーの即時釈放、ならびにNLDの政治活動の自由の即時再開を訴えています。
 こうした国際社会の素早い対応に対して日本政府の対応はきわめて弱すぎるといわざるを得ません。
 「アウン・サン・スー・チー女史他NLD関係者に対し節度ある対応をとり、自由な政治活動の確保を含め速やかに事態を平常化させることを期待している」「事態を懸念をもって注視している」との外務省の声明が、ビルマの民主化の進展のためにあらゆる努力をするべき日本政府の対応として十分なのでしょうか。

 ビルマの軍事政権が1990年の総選挙による結果を無視してから、5月27日で13年が経過しています。国際社会における民主主義の常識を無視しつづける軍事政権に対し、「期待している」とか「注視している」という表現で、事態が進展するとはとても思えません。
 川口外務大臣が、現状を踏まえてどのように考えているかとの記者の質問に対し、「悪化していることはないと思います」(6月3日)と語ったことについても、その認識の浅さに私たちは驚くばかりです。
 ビルマ市民フォーラムとしては、日本政府が今回の事態の深刻さをいまだに認識できていないことに深く憂慮します。(編注:外務省のアウンサンスーチー氏拘束に関する見解を参照)

 日本政府はビルマ軍事政権に対する最大のODA供与国であります。日本政府による対ビルマODAは、「民主化の動きを支援し、国の発展を目的」として展開されてきたはずです。改革への意志をあいまいにしてきた軍事政権が、アウンサンスーチー氏を代表とするNLDとその支持者たちに対してとった今回の行動は、対話によって民主化を達成する意志がないことを証明しています。欧米による経済制裁とは一線を画し、ODAの供与を続けてきた日本政府の軍事政権に対する信頼と期待は、今回の事態をもって裏切られたことを認識する必要があるのではないでしょうか。

 以上の点から、ビルマ市民フォーラムは、下記2点を日本政府に要求します。

1.アウンサンスーチー氏、および同時に逮捕されたNLDメンバー・支持者を即時に釈放すべきことを軍事政権に対し現地の大使を通じて強く要望すること。また、その旨の声明を、外務大臣もしくは外務報道官が記者会見を通じて発表すること。

2.NLDや他の政党の自由な政治活動が再開され、アウンサンスーチー氏を代表とするNLDと少数民族の代表との政治的対話が開始されるまで、ODAを凍結すること。
 
 最後に、一部未確認ではあるものの、ビルマ市民フォーラムがさまざまなソースから得ている情報のいくつかを付記し、日本政府に現状の認識を改めるよう期待するものであります。

・アウンサンスーチー氏の車列は、500人の武装した兵士や軍事政権が組織した翼賛組織のUSDA(連邦団結開発協会)のメンバーらの他に、マンダレー刑務所の報酬と釈放を約束された服役囚も含まれる集団により、襲撃された。

・兵士たちは発砲し、大勢のNLDメンバーが死傷した。

・アウンサンスーチー氏自身も頭部に傷を負った。

・200名におよぶNLDメンバーが逮捕され、NLDの党事務所が各地で閉鎖された。

・6月2日に再開される予定になっていた大学・高校・中学・小学校が閉鎖され、学生・生徒・児童たちは軍関係者により門から追い返されている。
 
 軍事政権はアウンサンスーチー氏の負傷を否定しています。しかし、こうした極めて深刻な情報もあることから、ビルマ市民フォーラムは、日本政府が事態の真相を明らかにする最大の努力をし、それらの情報を開示することを要求します。それは、欧米のような経済制裁をとらずに関与政策をとりつづけ、ODAを供与し、それによってビルマ軍政に民主化を促す立場をとってきた日本政府が、責任ある国家としてなすべき当然の外交義務だと信じています。

ビルマ市民フォーラム
代表 永井浩
事務局長 渡邉彰悟