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国際社会

スーチー氏はどこに
2003年6月6日配信 ワシントン・ポスト

スーチー氏はどこに
ワシントン・ポスト
2003年6月6日
社説

 世界でもっとも勇気のある女性の1人でノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー氏が、東南アジアの母国ビルマで、軍事政権が指揮する暴漢たちに襲われてから一週間がたった。以来、氏を見たという信頼できる情報は入っていない。氏は負傷しており、軍の施設にいると報告されている。氏の支持者らも多数が襲撃され、多くが死亡または重傷を負ったと言われている。米国議会では、ミッチ・マコーネル上院議員(共和党、ケンタッキー州選出)やジョン・マケイン上院議員(共和党、アリゾナ州選出)など何人もが雄弁に怒りを表明したが、各国の指導者らの反応はそこまで踏み込んでいない。実際、各国の反応は色々で、不相応に慎重なものから、何とも言えないほどおめでたいものまである。「何とも言えないほどおめでたい」とは日本のことである。ビルマの正当な指導者への襲撃とその逮捕に対して日本の外務大臣は、同国の民主化のペースに満足しているという表明をした(注:「日本外務省のアウンサンスーチー氏拘束に関する見解」を参照)。

 ブッシュ大統領と国連のアナン事務総長とは率先して、国連外交官や赤十字職員がアウンサンスーチー氏と面会するのを許可すること、氏を解放すること、そして軍政が約束した民主化移行への一歩をついに踏み出すことを要求するべきである。ビルマは人口5千万人で、インド、中国、東南アジアの接点にある重要な国である。1990年の総選挙でビルマ国民は、当時アウンサンスーチー氏が自宅軟禁下にあったにもかかわらず、氏の政党、国民民主連盟(NLD)を圧倒的に支持した。軍政は選挙結果を無効とし、以来13年間のほとんどの期間スーチー氏を自宅軟禁した。一年前、軍政は氏の軟禁を解き、氏が支持者との接触を再開するのを認めた。しかし、氏が明らかにビルマ国民に依然として人気があることに、腐敗した軍政幹部たちは我慢ができなかったのかもしれない。

 今、その軍政幹部たちは、今回の弾圧をやらかした後、これですむかどうかを見ているにちがいない。アウンサンスーチー氏を再び拘束した上、軍政は大学やNLDの事務所を閉鎖し、元々1400人いた政治囚の数を増やした。マケイン議員が述べたように、日本政府のような対応はすべて「軍政の耳に心地のよい」もので、アウンサンスーチー氏と氏の支持者への危険を増大させるものである。中国や、東南アジアの近隣国も同じような「関与」政策を取ってきたが、今やこの政策が失敗したことは非常に明らかである。ちがったアプローチを取らなければならない。

 マコーネル議員は今週、ビルマで作られた物品(主に繊維、衣類、履物)の輸入を禁止する法案を上院に提出し、ちがったアプローチへの道を示した。このような経済制裁は、国の指導者よりも労働者に損害を与えることもあるが、ビルマではビジネスのほとんどを軍政とその仲間が支配しているため、米国以外の国が同様の措置を取れば特に、効果を持つ可能性がある。この潜在的な効果と軍政の醜悪さを反映して、マコーネル議員の法案および下院に提出された同様の法案に対しては、制裁措置に懐疑的なことが多い上院外交委員会のリチャード・ルーガー委員長(共和党、インディアナ州選出)と下院外交委員会のヘンリー・ハイド委員長(共和党、イリノイ州選出)とが既に支持を表明している。また法案を提出したダイアン・ファインスタイン上院議員とトム・ラントス下院議員(ともに民主党、カリフォルニア州選出)、上院のビル・フリスト院内総務(共和党、テネシー州選出)やトマス・ダシュル院内総務(民主党、サウス・ダコタ州選出)なども支持している。衣類・履物輸入業者でつくる貿易協会(注:米国アパレル履物協会)さえも、軍政が「実力行使と脅迫とを通じて市民を虐待し続けていること」を理由に輸入禁止措置に賛成している。

 この法案が議会を通過する間に、ブッシュ大統領は法案に含まれる措置の多くを大統領令によって施行することができる。民主主義への責務や残虐な独裁政治への強い嫌悪を表明するのに、これほどよい方法はない。(訳、秋元由紀)

出典:Editorial: Where is she?, The Washington Post, 6th June 2003