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国際社会

ASEANはビルマを冷遇せよ
2003年6月11日配信 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン

ASEANはビルマを冷遇せよ
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン
2003年6月11日
フィリップ・ボウリング

軍政幹部に近づくな

(香港)東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟各国外相らが6月16日から18日までプノンペンで開かれるASEAN地域フォーラムで米国、日本、中国、韓国、北朝鮮そしてEUの外相と会う準備を進める中、ビルマ(ミャンマー)軍事政権が反政府勢力指導者アウンサンスーチー氏と、氏が率いる政党・国民民主連盟(NLD)を暴力で弾圧したことは、ASEANにとって非常に厄介なことである。

 ASEANは長年、ビルマの抱える問題はたいしたことのない国内問題だと言い張ってきたが、そう言うのをもうやめるべきだ。シンガポールのオン事務総長は先日「(ASEAN諸国にとって加盟国のビルマは家族の一員のような存在であるから)ずかずか入り込んでいってこれをしてはいけない、あれをしてはいけないと言うようなことはできない」と述べ、ASEANの公式見解をうまくまとめた。ASEANが単なる地域同盟と内輪でほめ合う組織以上のものになるには、加盟国に一定の水準を求めることを示さなければならない。

 ASEAN自由貿易地域圏でうたわれている貿易や、伝染病や麻薬取引に取り組むための協力体制づくりなど、ASEAN加盟国の共通目標を達成するには、互いの行為や制度に信頼が置けることが必要だ。しかしビルマは、アジア諸国が、国内の政治システムが自由主義であるか権威主義であるかにかかわらず共通して持つ行動規範のほとんどを守ろうとしない。

 アウンサンスーチー氏に対する最近の弾圧は、ASEANの仲間、特にマレーシアがビルマの軍政とアウンサンスーチー氏との間の対話を進めようとして行った善意の試みをないがしろにするものだ。ビルマへの国連特使であるマレーシアの外交官ラザリ・イスマイル氏に対する侮辱でもある。ラザリ氏は10日の午前にやっと、スーチー氏との面会を許された。

 マレーシアとタイは、国家間協力がより実行性を持つような経済管理や政治をビルマがするようになるまで、ASEANの活動からビルマを実質的に追放する政策を率先して作り出すべきである。

 マレーシアのマハティール首相はまもなく退職するが、非同盟運動の議長国というマレーシアの地位を使ってビルマに行動の是正を要求すれば有終の美を飾ることができるだろう。タイのタクシン首相は、ビジネスの利益を優先させた対ビルマ政策に対して高まっている非難に留意するべきである。

 ASEANがビルマに強力なメッセージを送れば、ベトナムはそのような加盟国の国内問題への「干渉」に抗議するだろう。民主的なインドネシアでさえ懸念を持つかもしれない。しかしASEANは、加盟各国が自国の民主的な選挙民を無視し、ビルマがとったような行為に目をつぶり、開かれた社会を堂々と提唱するのを欧米諸国に任せるような同盟だと思われるのは避けなければならない。

 ビルマの反政府勢力に対する今回の弾圧は、経済問題が原因で高まった社会不安に関連しているようだ。ただでさえ混乱した経済状況に加え、軍政が借金の返済や資産の凍結を命じたビルマでは、民間銀行システムの大部分が崩壊している。

 ASEANがうるさいほど推奨する市場経済、これを奨励するというビルマ軍政の約束はほとんど守られていない。シンガポールからのものを筆頭に外国投資が増えた時期もあったが、大部分が干上がってしまった。外国投資の中には、麻薬取引から得られた収入を軍政幹部や他のASEAN加盟国の企業経営者のためにロンダリングする手段だったものもあった。これはASEAN加盟国が密接に協力できる、あるいはするべき経済ではない。米国と自由貿易協定を結んだばかりのシンガポールなどにとっては尚更のことである。

 ASEANからの圧力はそれほど実効性がないかもしれない。ビルマ軍政は中国から十分な支援を受け続けるだろうし、インドやバングラデシュもそれぞれの戦略的理由から軍政に協力的になってきた。しかし、ASEANは積極的で前向きに行動できることを示す必要がある。現在の議長国カンボジアが今年、タイに言葉の上での宣戦布告をしたので、ASEANのイメージは既に打撃を受けている。シンガポール・米国間の自由貿易協定もASEAN自由貿易圏に参加している他の国には評判が悪い。マレーシアがミンダナオ島、タイとフィリピンがアチェで行っている地域的調停の試みもすべて二国間のもので、ASEANは参加していない。

 ASEAN加盟国は最低でも、次期の議長国であるビルマに対し、議長国となるにふさわしくないと告げるべきである。ビルマが、軍人ギャングが政権を取る隠遁国家でいたいなら勝手にすればよい。しかし、周りの国がそんなビルマに国際組織の議長を務める名誉を与える必要はないのだ。(訳、秋元由紀)

出典:Philip Bowring: ASEAN should give Burma the cold shoulder, International Herald Tribune (11th June, 2003)

編注:パウエル米国国務長官も12日付のウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、ASEAN地域フォーラムではASEANに対し、ビルマに毅然とした対応をとるよう呼びかけるつもりだと述べた。(Colin Powell, It's Time to Turn the Tables On Burma's Thugs, Wall Street Journal, June 12 2003.)