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国際社会

制裁だけでは効果がない
2003年6月16日配信 イラワディ・オンライン

制裁だけでは効果がない
イラワディ・オンライン
2003年6月16日
アウンゾー(イラワディ誌編集長)


 ビルマ軍政が最近、ノーベル平和賞受賞者アウンサンスーチー氏と氏の率いる政党、国民民主連盟(NLD)に厳しい弾圧を行ったのを受け、米国議会は新しい制裁措置で軍政を罰する用意でいる。

 議会に提出されている法案は、通過すればこれまででもっとも厳しい経済制裁をビルマに課すことになる。法案には、ビルマからの米国への輸入禁止、軍政が米国内に持つ資産の凍結のほか、軍政幹部とその家族、軍政の翼賛組織である連邦団結発展協会(USDA)そして政府が運営する企業の経営者らへの米国ビザ発給禁止が盛り込まれている。ビルマの独裁者に強いメッセージを送るものであり、ビルマ内外のビルマ人に歓迎されている。

 しかし、何十年間も軍事政権下で苦しんできた大部分のビルマ人は、単なる制裁以上のものを求めている。彼らは自分の家で人質に取られたような気にさせる軍政の終わりを見たいのだ。そのために外部からの助けを求めている。

 米国はビルマの主要な貿易相手国ではないので、批評家たちは新しい輸入禁止措置の効果を疑問視している。これまでの制裁も軍政幹部やその仲間の命綱を絶つことはできなかった。1997年にクリントン政権がビルマへの新規投資を禁じる措置を取ったが、6年たった今、軍政の性質を変えることはできていない。

 新しい制裁措置が望ましい結果をもたらすかどうかについては議論の余地がある。制裁はビルマ国内の貧困や日々の生活の苦労を終わらせることはできないだろう。制裁が原因となってアウンサンスーチー氏や氏の支持者への乱暴な攻撃が起きる可能性さえある。今回の民主化指導者らへの粗暴な攻撃は、ビルマを支配する者の力の強さと傲慢さとをはっきり示した。

 チョーウィン駐英ビルマ大使は先週、BBCワールドサービスに対し次のように述べた。「われわれが制裁について懸念しているという証拠はない。制裁をしてほしいわけではないが、恐れているわけでもない。なぜならわれわれは26年の間(訳注:1962年~88年までのネウィン政権下での鎖国政策を指す)、人に頼らず暮らしてきたのであり、とても良い隣人に恵まれ、親しい近隣の友好国と貿易や国交をすることができるからだ」

 氏はまた、中国とインドとの貿易が、米国からの制裁の打撃をカバーしてなお余るとも強調した。氏の言うことは正しい。制裁や非難がビルマの最大の貿易国から来るようになるまでは、軍政は政権を握り続けるだろう。

 これまでのところ、米国が一国で課す制裁はビルマに影響を与えることができていない。しかし多数国参加の制裁なら、ビルマの将軍たちにより強いメッセージを送ることになるだろう。これを実行するには東南アジア諸国連合(ASEAN)のほか、ビルマの二大隣国であるインドと中国の協力が必要だ。

 欧米諸国はASEANに対し、評判の悪い「建設的関与」政策を見直すよう働きかけるべきである。この政策の下で加盟諸国は、ビルマ国民の苦境を無視しながら軍政とビジネスをして儲けることができる。ASEAN諸国はそのような政策の代わりに、ビルマの問題を懸念する近隣国の役目を果たし、軍政が反政府勢力と意味のある対話を再び行うように動機づけるべきである。

 軍政を罰したいと思うなら、軍政幹部の意思を理解し、国軍のプライドと統一性とを絶対に過小評価しないようにする必要がある。軍政は既に40年以上も権力にすがりついてきたのであり、今後もずっと政権についていたいと思っている。

 国際社会は、制裁だけでなく、ビルマに変化をもたらすための方法をいくつも検討しなければならない。今回、アウンサンスーチー氏の率いる反政府運動が弾圧された後、ビルマ国民は再び「この抑圧政権の下でいつまで苦しまなければならないのか」とたずねている。

 国際的圧力や多数国参加の制裁措置、そして活発な外交を組み合わせれば、ビルマ国民は質問への答えを少しは早く得られるかもしれない。(訳、秋元由紀)

出典:Aung Zaw, Sanctions alone won't work, Irrawaddy Online, (16th June, 2003)