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国際社会

アイリーン・カーン・アムネスティ国際事務総長から川口外務大臣宛ての書簡
2003年9月18日配信 アムネスティ・インターナショナル

Ref.: TG ASA 22/2003.3


アイリーン・カーン・アムネスティ国際事務総長から川口外務大臣宛ての書簡
アムネスティ・インターナショナル
アムネスティ発表公開書簡


日本国政府外務省
外務大臣 川口順子殿

2003年9月18日

川口外務大臣殿

拝啓

 この度お手紙を差し上げるのは、ビルマ(ミャンマー)の状況に関してアムネスティ・インターナショナルの懸念するところをご説明し、貴国政府が同国の人権状況改善のためにこれまでに取られた方策に謝意を述べるためです。

 ビルマ(ミャンマー)の軍政府SPDC(国家平和発展評議会)は、5月30日の事件以来これまでに、赤十字国際委員会の訪問を受け入れ、被拘禁者のうち91名を釈放するなど、前向きな態度も示してはいます。しかし、はなはだしい人権侵害の状況の解決にはほど遠いといわざるを得ません。アムネスティ・インターナショナルは、SPDCが取るべきは以下の措置であると考えています。

・ アウンサンスーチーさんを含めた、5月30日の事件とそれ以降に拘禁された人びとの居場所を公表し、拘禁にかかわる法的根拠を明らかにすること。また、彼らが平和的な政治活動のために拘禁されたのであれば、即時無条件に釈放すること。

・ 平和的な政治活動を行う人びとへの逮捕や弾圧をやめること。

・ 5月30日の事件に関する、独立で公正な調査を行うこと。当面の間、人権侵害を行ったと疑われる軍人・政府関係者はその職務から離れるべきであり、国際的な基準にのっとって公正な裁判にかけられるべきである。

・ 5月30日以前に逮捕された人びとをふくめ、表現・集会・結社の自由に対する権利を平和的に履行したがために拘禁されている、いわゆる「良心の囚人」をすべて即時無条件に釈放すること。

 アムネスティ・インターナショナルは、NLD(国民民主連盟)への襲撃の後、多数の人びとが「失踪」あるいは行方不明になり、当局がその居場所を明かにしていないという報告に深く憂慮しています。被拘禁者は家族とも面会できず、虐待を受けているとの報告もあります。最近収監された人びとは不公正な裁判により禁固刑を受けたといわれており、多くは5月30日以降の被拘禁者の釈放を求めたことに対し罰せられたもようです。5月30日以降拘禁または行方不明とされている人びとのリストを、参考までに同封いたします。

 釈放された人びとに関しても、5月30日以前のケースと同様に、釈放について条件がつけられていることに、アムネスティは憂慮します。また、政治活動家が当局からのいやがらせや脅迫を受けて、合法的な政党活動を阻止されていることにも憂慮します。私たちの考えますところ、現在のビルマ(ミャンマー)では、集会・結社・表現の自由権を平和的に行使してもそれが犯罪とみなされるようなしくみになっています。これらの権利は、政治のための議論や意思決定を行う環境づくりに欠かせない権利です。

 5月30日に行われた暴力を正すことが緊急不可欠である一方で、SPDCがビルマ(ミャンマー)における長期にわたる人権侵害への対策をとることも、忘れられてはならないことです。この観点から言えば、去る8月30日にキン・ニュン首相によって示された民主化への7点からなる「道程表」には、人権状況の改善の方策が抜け落ちていた、とアムネスティは指摘します。アムネスティは、ビルマ(ミャンマー)軍政府が人権のための方策を取るよう、日本政府がアセアン諸国と協力して働きかけることを要請します。民主化勢力との対話に関する議論があるなかで、国民すべてが集会・結社・表現の自由を平和的に行使できるよう保証することが、SPDCに強く求められているのです。

 アムネスティは7月30日に、ビルマ(ミャンマー)の法制度改革のためのSPDCに対する提言を発表しました。貴国政府にも参考までにお送りいたします。このなかには、5月30日以前から拘禁されアムネスティがその身を懸念している多くの囚人たちについての情報があります。彼らの多くは、人道的な理由から釈放が強くもとめられています。

 貴国政府がSPDCとの対話のなかで、貴国政府の懸念と、ビルマ(ミャンマー)の人権改善のために実効的かつ迅速な行動を取る必要性のあることを伝え続けていかれることを望んでやみません。この件に関して我々の考えるところを、貴国政府とお話できる機会があれば、よろこんで伺う所存です。

敬具

アイリーン・カーン
アムネスティ・インターナショナル
国際事務総長

※この文書の翻訳および発信元は、アムネスティ・インターナショナル日本支部の ビルマ(ミャンマー)調整チーム です。お問い合わせは同チームまでお願いします。

出典:Amnesty International, 'Letter of the General Secretary to Japanese Foreign Minister', 18 September 2003.