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国際社会

ビルマには強硬姿勢で望め
2003年10月12日配信 ボストン・グローブ

ビルマには強硬姿勢で望め
ボストン・グローブ
2003年10月12日
社説

 ブッシュ大統領の今回のアジア諸国訪問は、ビルマ軍事政権の蛮行を非難するとともに、拘束中のノーベル平和賞受賞者アウンサンスーチー氏と、国民民主連盟(NLD)の党員を擁護する米国の姿勢をはっきりと示す絶好の機会となるだろう。

 10月21日にバンコクで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に行う、アジア各国首脳との個別会談および大統領声明を通じて、ブッシュ大統領は、スーチー氏とビルマ国内の1400人の政治囚が釈放されるまでは、米国は対ビルマ制裁を継続し、外交圧力を掛け続ける姿勢に揺らぎはないと伝えるべきだ。さらにビルマ軍政はスーチー氏率いるNLDとの誠実な対話を開始する義務があるとも伝えてほしい。NLDは1990年総選挙で議席の8割を獲得したが、軍政はその結果を無視し続けている。

 軍政による犯罪の一部は、マコーネル上院議員(共和党、ケンタッキー州)とファインスタイン上院議員(民主党、カリフォルニア州)が作成し、民主・共和両党の33人の上院議員が署名したブッシュ大統領への思慮深い書簡の中で描写されている。

 この書簡は、ビルマが「地域の安全に対する深刻な脅威になりつつある」と警告し、さらにこう述べる。軍政はビルマが直面するAIDS危機を無視して「近隣諸国の保健制度に大打撃を与えている。ヘロインとメタンフェタミン(覚せい剤)は、ビルマ軍が容認し、場合によっては直接連携している麻薬密売組織のボスたちの手で密輸されており、地域の薬物依存症と凶悪犯罪が深刻に拡大する原因ともなっている。軍政は、世界でもずば抜けて多くの、7万人という驚くべき人数の子ども兵士を強制的に徴兵する一方で、近隣諸国に数百万人もの難民を押し付けている」と書かれている。

 書簡はまた「数千人ものビルマ人女性が、軍政の残虐な軍隊の監視の下、売春の目的で他国へと人身売買されている」事実も非難している。国際労働機関(ILO)が強く非難する広範な強制労働の使用と、資源の豊富なビルマが軍政によって貧困に追いやられた悲惨な経緯については触れられていない。ビルマ軍政によって国民がひどく苦しんでいるにもかかわらず、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は先週(7、8日)インドネシアで行われた首脳会議で、軍政が提案した、スーチー氏抜きの民主主義へのロードマップをだまされたかのように、あるいは無駄さを知りながらも受け入れた。日本の小泉首相とフィリピン政府は、押し並べて沈黙を守ったASEAN諸国の名誉ある例外となり、スーチー氏の釈放と民主化を要求した。

 バンコクを訪問中のブッシュ大統領も同じことをするべきだ。自らを「ひとりのベルリン市民」(注)と呼んだケネディ元大統領や、ゴルバチョフ旧ソ連共産党書記長にベルリンの壁を壊すよう求めたレーガン元大統領にならい、書簡を送った上院議員の勧めに従って行動するために、この好機を捉えるべきなのだ。民主化を目指すビルマ国民への連帯を表明する一方、軍政に対してはスーチー氏を解放し、合法的な民主主義政府に道を明け渡す義務があると伝えるチャンスを逸してはならないのである。(訳、久保 忠行)

注:ベルリンの壁の建設開始から約2年後の1963年6月26日に、J=F・ケネディ大統領が西ベルリンのルドルフ・ヴィルデ広場で行った演説の一節。演説の最初と最後でケネディは次のように述べている。
 「2000年前に最も誇らしげに語られた言葉、それは「私はローマ人である」でした。今日、自由世界で最も誇らしげに発せられる言葉、それは「私はベルリン市民である」なのです。(……)自由な人々は皆、どこに住んでいようとも、ベルリン市民なのです。ですから私は、一人の自由人として、この言葉に誇りを持っています。「私はベルリン市民なのです」

出典:Editorial: 'A tough stand on Burma ', Boston Globe, October 12, 2003.