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国際社会

長井さん射殺から一ヶ月、在日ビルマ人と共に考える ビルマ(ミャンマー)軍政と日本―日本外交を動かそう!
2007年10月28日配信 緊急集会 声明

長井さん射殺から一ヶ月、在日ビルマ人と共に考える ビルマ(ミャンマー)軍政と日本―日本外交を動かそう!

緊急集会 声明

総意:私たちは、ビルマ(ミャンマー)の軍事政権[i]が、今回の平和的な抗議デモを武力で弾圧し、日本人ジャーナリストの長井健司さんを含む多数の死傷者を出したことを強く非難します。そして現在も続いている僧侶や市民への弾圧を即刻停止するよう要請します。

 また日本政府に対して、これまでの「関与」政策が、ビルマの民主化の進展に全く効果を挙げなかったことを重く受け止め、ビルマに対する日本の外交姿勢を全面的に見直すことを強く要請します。

 今回の平和的抗議デモで明らかになったように、ビルマの人々が命を賭けてまで求めているものは、アウンサンスーチー氏が言うように、ただひとつ「人間らしい」あつかいを受け、自由と平等、基本的人権の守られた生活を取り戻すことなのです。

 日本はアジアの民主主義の先進国として、ビルマの人々から強く期待されてきました。しかしこれまで私たちは、その期待に十分応えることができていません。その上、ビルマ国民を苦しめ、抑圧してきた軍事政権を日本政府が支援し続けてきたという事実があります。ここに深い責任があることを改めて重く受け止めたいと思います。

 国連中心主義を掲げ、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本政府に対し、今一度ビルマの軍政下で抑圧される側の人々の声に耳を傾け、ビルマの民主化実現のための行動をとるよう求めます。それは、アジア域内の人権の尊重と民主化の促進を目指すASEAN諸国からも歓迎される役割でもあります。

 ビルマ軍事政権に対する日本の外交に対し、以下3点の具体的な見直しを要請します。

1.軍政への強い働きかけ[ii]

 日本政府はビルマの軍事政権に対し、国連安全保障理事会による遺憾声明[iii]に従い、現在も続けられている平和的なデモ参加者に対する弾圧を即刻止めることを強く申し入れるべきである。

2.対ビルマODAについての根本的な見直し[iv]

 日本政府は1988年のビルマにおける民主化運動弾圧後も、軍政に対して多額のODAを供与してきた。今回、1988年の悲劇が繰り返され、多数の市民が犠牲となった事態を日本政府は重く受け止め、軍事政権に対するODA供与を根本的に見直すべきである。この要請は、ビルマ市民フォーラムが57団体とともに発表した「対ビルマODAに関する共同声明」に沿ったものである。

3.難民への人道的な援助の本格的な開始を求める[v]

 ビルマの軍事政権による非ビルマ民族に対する軍事作戦の即時停止を強く求めるべきである。ビルマ軍による強制労働・強制移住、村への襲撃、女性への暴力は後を絶たない。その結果、国内避難民、タイをはじめとする近隣国での難民キャンプ生活者、日本を含む難民条約批准国に庇護を求める難民が増加している。日本政府は、これらの人々への支援がほとんどできていない。これらの人々を対象とした人道的な援助を開始するべきである。
 1988年の惨劇が繰り返された今回の事態は、この19年間、民主化の進展はなかったことを意味するものです。日本政府はそのことを重く受け止め、外交政策を見直すべきであります。
 ここに集う私たちは、誰もが希求する、誰もが持つべき「人間らしい」あつかいを求め、命を賭けて立ち上がったビルマの人々に心から連帯し、以上の諸点をここに強く要請します。

以上

2007年10月28日

[i] 英語表記はState Peaceand Development Council、略してSPDC。

[ii] まず対話実現の環境を早期に整えるよう要請するべきである。人々の声に耳を傾け一日も早く民主化勢力との対話が可能となるよう、アウンサンスーチー氏をはじめ、投獄中の全ての政治囚と今回拘束された人々全員を無条件に解放しなければならない。こうした環境の整備を怠り、無条件かつ実質的な対話を延ばし続ける場合には、日本政府は厳しい経済制裁を課すことを通告するべきである。

[iii] 2007年10月11日発表。

[iv] 日本政府は1988年の民主化運動弾圧後、円借款を凍結したが、「関与」政策を建前として軍政に対して多額のODAを供与してきた。また、人道援助の継続の必要性を根拠に、日本政府は軍事政権に対し無償資金協力を提供している。
 しかし、軍事費・軍事関連予算に国家予算の50%以上を費やす軍事政権が、そのわずか数%を国民の保健衛生や教育費にあてることができるにも関わらず、軍事政権自ら取り組める財政支出を肩代わりするような「人道援助」は即時に止めるべきである。これは、保健衛生費に国家予算を使わずに、軍事費に転用することを日本政府が黙認していることを意味するからだ。
 同時に、軍政の翼賛団体であり、今回の平和的抗議デモの鎮圧に動員されたと指摘される連邦団結発展協会(USDA)を通して実施した人道援助案件が見られるが、今後はUSDAを利する援助は一切行わないことを確約すべきである。

[v] 日本政府は、ビルマ国内のポリオ対策への援助を“必要不可欠な人道援助だ”としている。その見解に沿えば、軍事政権の軍事作戦により生活の糧を奪われ、故郷を追われ、国内の他地域やタイ・バングラデシュ・インド・マレーシアなどの難民キャンプで生活する数十万人の非ビルマ民族の難民に対し、これまで全く人道援助をおこなってこなかった事実はどう説明するのか。いま人道援助が本当に必要なのは、軍政に全てを奪われ、日々の生活の営みもままならず、未来への希望すら見出すことのできない難民に対するものではないだろうか。
 欧米をはじめとする多くの国では難民キャンプで生活を強いられる人々に対し国際機関やNGOを通した支援の他、こうした難民を自国に受け入れる第三国定住プログラムを開始している。しかし、アジアの経済的、民主的先進国とされている日本政府は、これらの難民の受け入れを検討していない。関係省庁と連携して、難民を受け入れることも、軍事政権に民主化を促す強いメッセージとなる。今この瞬間も軍政の横暴に苦しむ人々がいる。日本政府はこうした真実にしっかりと目を見開き、事態の改善にむけた行動を今すぐとるべきである。
 併せて、母国での迫害を逃れ、難民として来日した在日ビルマ人への支援、とりわけ生活状況の改善や難民保護など関係省庁と連携して積極的に取り組むべきである。日本国内の入管行政も、対ビルマ外交の根本的な見直しと深く関係するものであり、民主化を促す効果的なメッセージとなりうるものだ。