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国際社会

ノーベル平和賞受賞者9人による国際社会への呼びかけ
2008年2月19日配信 

ノーベル平和賞受賞者9人による国際社会への呼びかけ
ビルマに対する武器禁輸と対象を絞った金融制裁を求める
2008年2月19日
デズモンド・ツツ大司教
プレスリリース

 本日、ノーベル平和賞受賞者9人が国際社会と国連安全保障理事会にむけて声明を発表し、東南アジアの国ビルマに対する武器禁輸措置をとるよう呼びかけた。今回の声明の背景には、ビルマ軍事政権が2007年10月、デモ行進する僧侶や市民を厳しく弾圧したことがある。その後軍政は全国的な捜査網を張り、何千人もの民主化活動家を逮捕・拷問している。

 声明は次のように呼びかけている。「私たちは、国連安全保障理事会理事国と国際社会に対して、軍政への武器販売防止に向けた措置を早急に講じるよう呼びかけます。武器禁輸措置の一環として、軍政幹部に対すると同時に、軍政の武器取引を可能にしているビルマの国営・民間企業に対しても金融取引停止措置をとることも必要です」

声明を発表したノーベル平和賞受賞者は次の9人。デズモンド・ツツ大司教、ダライ・ラマ法王、シリン・エバディ、アドルフォ・ペレス・エスキベル、マイレッド・マグワイア、リゴベルタ・メンチュ・トゥム、エリー・ヴィーゼル教授、ベティ・ウィリアムズ、ジョディ・ウィリアムズ。

 2006年に、ビルマ問題は国連安保理で初めて公式議題として取り上げられた。2007年10月11日に国連安保理はビルマについて初の議長声明を採択し、「(前略)国連からの直接的な協力の下、包括的な国民和解を実現させるため、アウンサンスーチー氏を始めとしたすべての関係者、そして民族団体との実質的な対話を行うための環境を整えること」を軍政に求めた。

 しかしビルマ軍政は国連安保理からの要請を無視し、政治囚の解放も拒否している。それどころか、軍政に直接選ばれた代表者が起草した新憲法の承認手続きを進めている。

 国連安保理はかつて、アパルトヘイト(人種隔離政策)を敷いていた南アフリカ共和国に対し、シャープヴィル虐殺事件とスウェト蜂起を受け、武器禁輸措置に踏み切った。デズモンド・ツツ大司教は「ビルマのサフラン虐殺を受けて、国連や世界各国には武器禁輸措置及び対象を絞った金融取引禁止措置を早急にとってほしい。軍政が約束している選挙は完全なごまかしにすぎない」と述べた。

 ノーベル平和賞受賞者からの呼びかけは、ビルマ国内の民主化運動の願いを反映している。主要な民主化運動団体である88世代学生グループと全ビルマ僧侶連盟は最近声明を発表し、軍政の国民投票計画を受け入れないことを表明、また武器禁輸措置と金融取引禁止措置を取るよう国際社会に呼びかけた。

 ビルマは世界で最も残虐な部類に入る軍事政権に支配されている。軍政はアウンサンスーチー氏を自宅軟禁にしており、氏はノーベル平和賞受賞者としてはただ一人、監禁下にある。また僧侶など約2千人の政治囚が存在している。またビルマ東部では軍政が非ビルマ民族の村3、200カ村を破壊しており、数十万人にも及ぶ住民が故郷を追われ、難民や国内避難民となっている。武器取引を監視するストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、ビルマ軍政への主要な武器供給国は中国だ。中国のほかウクライナ、ポーランド、インド、ロシアがビルマ軍政に武器を供給している。

ノーベル平和賞受賞者からの訴え

2月19日付声明

 2007年にビルマ人僧侶が行った平和的で非暴力なデモ行進は、ビルマの抱える問題の政治的解決を目的とし、平和と対話を求めたものでした。この抗議行動は、国際社会の注目を一気に集めることになりました。僧侶たちは街頭を行進することで、勇敢にも街頭に出て軍政への怒りを示した一般市民への支持を表明したのです。タンシュエ上級将軍率いる軍政が、この平和的な訴えを暴力的に弾圧する様子を見て、私たちは大変な悲しみを覚えました。その後タンシュエ上級将軍は全国的な捜査態勢を敷いており、今日まで逮捕、拷問、殺害が続いています。

 ビルマ国民が政治的変革を非常に強く願っているにも関わらず、軍政は国民和解について何の提案も示していなければ、何の前進も見せていません。軍政はビルマ国民や民族団体との実質的で有意義な対話を始めることを拒み続けています。私たちは、同胞であるノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー氏を強く支持し、氏や僧侶たち、そしてすべての政治囚の解放を繰り返し求めてきました。軍政の「民主化へのロードマップ」と、長年を費やしている憲法起草過程には、国民民主連盟(NLD)が参加していないという欠陥があります。NLDとビルマの諸民族は、交渉に基づいた和解と民主主義への移行のあり方を決める上で、包括的な役割を果たさなければなりません。

 私たちにとってサフラン革命と、平和で自由に暮らす権利を主張したビルマ国民の勇気は忘れがたいものであり、また忘れまいとするものです。数十年間も抑圧され、暴力に脅える社会で暮らしてきたにもかかわらず、ビルマ国民は非暴力による抗議活動を行いました。ビルマ国民は自らが抱いてしかるべき政治的な反対意見を、適切かつ正当な形で、また模範的に表明したのです。

 ビルマ軍政が権力保持のために使う武器の多くは、外国政府が軍政に売ったものです。これは許されるべきことではありません。いかなる国も、自国の国民に武器を向ける政府に武器を提供するべきではありません。私たちは国際社会に対し、軍政に武器禁輸措置を取るために積極的に動くよう呼びかけます。さらに私たちは、国連安全保障理事会理事国と国際社会に対して、軍政への武器販売防止に向けた措置を早急に講じるよう呼びかけます。武器禁輸措置の一環として、軍政幹部に対すると同時に、軍政の武器取引を可能にしているビルマの国営・民間企業に対しても金融取引停止措置をとることも必要です。

デズモンド・ツツ大司教(1984年 アパルトヘイト撤廃運動で活躍)(訳注)
ダライ・ラマ法王(1989年 チベット宗教・文化の普及に対する貢献)
シリン・エバディ(2003年 イランの民主主義と人権擁護に対する貢献)
アドルフォ・ペレス・エスキベル(1980年 ラテンアメリカの軍事政権に抵抗してきた人権活動家)
マイレッド・マグワイア(1976年 北アイルランドの平和運動家)
リゴベルタ・メンチュ・トゥム(1992年 ガテマラや中南米のインディヘナの生活向上のために活動)
エリー・ヴィーゼル教授(1986年 ホロコースト生存者)
ベティ・ウィリアムズ(1976年 北アイルランドを中心に女性と子供を守るための活動)
ジョディ・ウィリアムズ(1997年 地雷禁止国際キャンペーンの初代コーディネーターとして、対人地雷の禁止および、除去についての活動)

訳注:()内の受賞年とプロフィールは翻訳者が付記したもの。

日本語訳:木村祥子およびビルマ情報ネットワーク