トップページ >  ビルマの現状:政治 >  社会 >  アウンサンスーチー逮捕、広がる国際社会の懸念

社会

アウンサンスーチー逮捕、広がる国際社会の懸念
2003年5月31日配信 BBCニュース

アウンサンスーチー逮捕、広がる国際社会の懸念
BBCワールド・サービス
2003年5月31日

民主化指導者アウンサンスーチー氏は逮捕され、氏が書記長を務める国民民主連盟(NLD)党本部は閉鎖された。国際社会はこの事態に憂慮を表明している。

 ビルマ(ミャンマー)政府報道官によれば、NLD支持者と政府系の反NLD組織が30日夜、サガイン管区のイェウー(首都ラングーンから北560キロ)で衝突し、スーチー氏は「保護のため拘束」されている。また同時に、スーチー氏に同行していたティンウー副議長ら党員19人が拘束された。ビルマ軍事政権によればこの衝突で4人が死亡し、約50人が負傷した。

 今回の事態は、スーチー氏が長期に及ぶ自宅軟禁から釈放されてほぼ一年後に発生した。昨年の自宅軟禁解除は当時、軍政が政治改革を受け入れる兆候だとして歓迎されていた。しかしスーチー氏は、変化のスピードを早めず、政治対話をあからさまに引き伸ばしていると軍政を批判、ここ数週間はスーチー氏ら反政府勢力と政府の間で緊張が高まっていた。

 国連のアナン事務総長の報道官は、事務総長は状況を憂慮しながら注視しているとし、今回の事態はビルマの国内和解が急務であることをよく表したものだと述べた。また、ビルマ国内にいる赤十字国際委員会のメンバーがスーチー氏と連絡を取ろうとしていると伝えられる。

 先週には民主化運動活動家10人について新たに有罪判決が下され、接収された土地の返還を求める手紙を、農民が政府に出すのを手伝ったとして、1990年総選挙で選ばれた国会議員を含むNLD党員3人が2年の刑、地下活動に関わっていたとしてNLD活動家7人が5年から28年の刑を宣告されていた。

スーチー氏への根強い支持が背景に

 アウンサンスーチー氏率いるNLDは1990年総選挙で圧勝したが、62年からビルマを支配する軍事政権は権力委譲を拒否した。氏は過去10年間の大半を自宅軟禁状態で過ごしたが、ビルマ人の間での人気は衰えていない。スーチー氏はビルマ北部で1ヶ月に渡る地方遊説を行っており、4日に首都ラングーンに戻る予定だった。

 BBCのビルマ担当ラリー・ジャーガン氏は、スーチー氏が街を離れるときになってもまだ、氏に会おうとする支持者が絶えなかったことにビルマ政府は苛立っていたと話している。また最近の地方遊説では、スーチー氏に会おうとやって来る大量の支持者に対し、政府が嫌がらせや妨害を行っており、衝突が頻繁に起こっていた。

 NLDと軍政との政治対話は昨年10月に途絶えた。7ヵ月の空白を経た今年5月、軍政はスーチー氏との会談を希望していることをほのめかし、両者の対話が再開されることへの期待感が生まれた。しかし今回のスーチー氏の拘束、このところの暴力的な妨害行動、先週の民主化活動家への有罪判決は、こうした希望をひどく損なうものだと受け止められている。

(訳・編集、箱田 徹)

【補足(ビルマ情報ネットワーク)】 30日夜にスーチー氏の車が何者かの銃撃を受けた、あるいはミサイルが発射されたとの報道があったが、軍政側は否定している。過去の襲撃や妨害は地元当局だけでなく、軍政の大衆動員組織・連邦団結発展協会(USDA)によって行われてきた。30日夜の衝突では5000人が動員されていた。
 記者会見の数時間前には、ラングーンのNLD党本部が公安当局によって封鎖されたとの情報が伝えられたが、ビルマ各地でもNLD支部の閉鎖が相続いている。アウンシュエ議長らNLDの中央執行委員は全員自宅軟禁されており、電話線も切断されている。
 またスーチー氏一行はラングーンに送還中で、1日中に到着すると言われているが、詳しい所在は不明。
 一連の出来事は、ラザリ・イスマイル国連事務総長特使が6月6日から5日間の予定でビルマを訪問し、民主化勢力、民族勢力および軍政との会談を通じて政治対話の再開を仲介すると伝えられていた矢先に起きた。アナン事務総長は31日付の声明で国民和解プロセスの前進を支援したいとの意向を改めて示した。またラザリ特使は1日、記者団に対して、6日からの訪問を予定通り行うと述べた。

※以下の記事も参考にしています。
The military says she's being held for her own protection, BBC, June 1, 2003(ビデオ映像)