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社会

国際的な抗議の声が鮮明に ブッシュ大統領も軍政を批判
2003年6月2日配信 BBCニュース

国際的な抗議の声が鮮明に ブッシュ大統領も軍政を批判
BBCオンライン
2003年6月2日

ビルマ民主化運動指導者アウンサンスーチーの拘束への国際的な批判が高まる中、ブッシュ米国大統領は2日、訪問先のエジプトで声明を発表した。

 ブッシュ大統領は声明の中で、ビルマ最大の反政府政党・国民民主連盟(NLD)党員への弾圧に関する情報を「深く憂慮している」と述べた。

 NLDのアウンサンスーチー書記長は30日深夜、ビルマ軍事政権により「保護のため拘束」された。またスーチー氏に同行していたティンウー副議長ら党員19人も同時に拘束された。

 国連とEUのほか、オーストラリア、英国、カナダ、フランス、日本、スウェーデン、タイ各政府もスーチー氏の処遇について憂慮を表明している。

 スーチー氏の正確な所在は不明だが、軍政によれば首都ラングーンの「ゲストハウス」と呼ばれる政府施設に収容されている。

 特派員の報告によれば、氏が5月初めから約1か月の予定で行っていたビルマ北部への地方遊説は、日程が進むにつれ次第に緊張が高まっており、NLD支持者と軍政の大衆動員組織である連邦団結発展協会(USDA)の間で衝突が続いていた。

「軍政には良い機会」と米大統領

 ブッシュ大統領は「軍政はアウンサンスーチー氏と支持者を即時釈放し、(31日閉鎖された首都ラングーンの)NLD党本部の再開を許可すべきだ」と述べた。

 声明によれば、米国政府はビルマ(ミャンマー)情勢を長年に渡って憂慮する一方、スーチー氏が1年ほど前に自宅軟禁から解放されたことを歓迎していた。

 また大統領は「今回の措置は、ビルマ軍政に対し、スーチー氏ならびにすべての政治勢力と、国民的和解と民主主義の促進に向けた実質的対話を開始する機会を与えるものだ。現在でもなお、対話こそがビルマの人々すべてに平和と繁栄をもたらす唯一の道だ」と述べた。

 パウエル米国務長官は、軍政が主張するように、スーチー氏が移送されたのは街頭で起きた衝突からの身柄保護のためだったとするなら、軍政は氏を即時釈放するのが当然だと述べた。

 EUの外交政策担当委員ハビエル・ソラーナ氏も、スーチー氏の釈放を強い語調で求める声明を発表し、「こうした抑圧的なやり方は、ビルマ政府が民政復帰に無関心でいることを裏付けるものだ。今回の事態を受け、EUは軍政に対する現行の制裁措置を維持するという姿勢をますます強化していることになるだろう」と述べた。

 また英国は駐ロンドンのビルマ大使を召還し、情勢について同政府が「大変深く憂慮している」ことを伝えた。オーストラリア政府も同様の措置を採った。

 一方、ラザリ・イスマイル国連事務総長特使の補佐役は2日、特使は6日からのビルマ訪問を予定通り行うと述べた。ラザリ特使は2000年10月、NLDとビルマ政府との長期間に及んだ政治的こう着状態を打開する仲介役となった。

 人権団体も拘束を激しく非難した。アムネスティ・インターナショナルは、「保護のための拘束」という軍政の主張は、誰が何から保護されているのかという問題をはぐらかすものだとしている。

学生運動を恐れる軍政

 ビルマ国内では、軍政が大学と専門学校の無期限閉鎖を命じ、2日から始まる新学期の開講は延期された。BBCのビルマ担当、ラリー・ジャーガン特派員によれば、大学はこれまでも政治活動の拠点になっており、当局は学生が新たな抗議行動を起こすことを恐れている。

 電話は通じない状態になっていると言われており、ビルマ国内で起きていることを第三者が確認することは非常に難しくなっている。

 各地のNLD支部が当局によって閉鎖されており、あるビルマ民主化団体は、NLD活動家200人以上が逮捕されたとの情報を得たと話している。

 軍政は、30日夜にビルマ北部、サガイン管区のイェウー(マンダレー近郊。ラングーンから北に約560キロ)で起きた衝突で、4人が死亡し50人が負傷したと発表した。しかし別の情報筋は、70人ほどが死亡し、この中にはスーチー氏の一行に付き添ったものの、NLDとは関係のなかった複数の僧侶が含まれていると推測している(注:ビルマ亡命政権「NLD一行への襲撃で数十人が死亡との情報」を参照)。

(訳・編集、箱田 徹)

【補足(ビルマ情報ネットワーク)】

 スーチー氏以外のNLD幹部の自宅周辺には治安部隊が配置され、アウンシュエ議長らNLD中央執行委員7人全員が実質的な自宅軟禁状態に置かれている。電話線は切断されており、外部との連絡がつかない状態が続いている。
 2日付のネーション紙はタイ国軍筋の話として、5月初めからの一連の暴力事件は軍政内部での権力抗争に関連していると報じた。この消息筋は、国家平和発展評議会(SPDC)議長のタンシュエ上級大将ら、NLDとの政治対話に否定的な勢力が、スーチー氏を逮捕する口実として、緊迫した事態を作り出していたと話す一方、マンダレー近郊の街ピューの映画館で5月15日に起きた爆弾事件など、ここ数週間の一連の爆弾事件との関連をほのめかした。
 この爆発では約50人が死傷し、軍政はカレン民族連合(KNU)を実行犯として非難したが、KNU側は否定している。インド在住の亡命ビルマ人が運営するミジマ・ニュースサービスは現地の情報として、被害に遭った映画館は元NLD党員のビルマ人ムスリムの兄弟が経営しており、この2人は以前から同党の隠れ支持者ではないかと軍政からマークされていた。この兄弟は最近、USDAと地元当局からの寄付要請を拒否したことで、USDAから脅迫を受けていたとされる。