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社会

スーチー氏「健在」と特使 訪問最終日に面会実現
2003年6月10日配信 BBCニュース

スーチー氏「健在」と特使 訪問最終日に面会実現
BBCオンライン
2003年6月10日

 ラザリ・イスマイル国連事務総長特使は10日、5日間のビルマ訪問を終えた後の経由地シンガポールで記者団に対し、ビルマ軍事政権に拘束されている民主化指導者、アウンサンスーチー国民民主連盟(NLD)書記長は「健康で、元気だ」と述べた。また孤立化を強めるビルマ軍政首脳部から、できるだけ早期に氏を解放するとの言質を取ったことを明らかにした。

 スーチー氏は5月30日夜、ビルマ北部サガイン管区で支持者と共に襲撃された後、軍政が主張する「保護のための拘束」状態に置かれている。

 特使は訪問最終日になってやっとスーチー氏との会見を許可された。

スーチー氏は無傷と特使

 国際社会は、1週間以上も秘密の場所に拘束されているスーチー氏の健康状態への懸念を強めていた。

 ラザリ特使は報道陣に、氏には「負傷した様子はまったくなかった」とし、「顔に切り傷もなく、腕も折れていなかった」と語った。

 また特使によれば、スーチー氏は衝突の様子を短く述べたものの、車列の最前列にいたので、すべてを見たわけではなかったと話していたという。

ティンウー氏は依然消息不明

 しかしNLDのティンウー副議長の消息はいまだ不明であり、衝突時に死亡したとの説が流れている。軍政は死亡説を激しく否定した。

 ラザリ特使の訪問の目的は、スーチーとの会見と氏の釈放を促すことの2点にあった。

 スーチー氏の姿が見られたのは5月30日以来のことだ。この日起きた衝突は、NLD支持者と米国政府が「政府と関連のある暴漢」と名指す人々との間で起きたもので、当時氏はビルマ北部を遊説中だった。

 ビルマ政府は衝突で死者4人、負傷者50人を出たと発表した。しかし国外の反政府勢力は、NLD党員・支持者約75人が、竹の棒や鉄製の棒を振り回した軍政系の集団に撲殺されたとしている。

軍政の強硬路線激化に懸念


 BBC特派員は、軍政はアウンサンスーチー氏の人気に恐れをなしているため、氏に自由な行動を許可するようなことはないと見受けられる。また支持者を恫喝するために暴力を用いる意思をはっきり持っていると話している。

 ラザリ氏は2年半前にスーチー氏と軍政との交渉実現の仲介役をはたした。

 一連の交渉によって昨年5月、スーチー氏は約20ヵ月に渡る自宅軟禁から解放されたが、長期化する政治的危機が交渉によって打開されるのではないかという希望は、いまやほとんど消えかかっている。

 アウンサンスーチー氏率いるNLDは1990年総選挙で圧勝したが、62年からビルマを支配する軍事政権は権力委譲を拒否した。

(訳、箱田徹)