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社会

皮肉な「ドラッグ・フリー村」計画 児童の半数以上は漢人 元の住民は強制退去に
2003年6月26日配信 シャン・ヘラルド・ニュース

 前タイ皇太后が設立した「ドイトゥン山地開発プロジェクト」の関係者筋によれば、チェンライ県のビルマ側にあるヤンカ・モデル村に新規開校した小学校で教えられている第1言語は中国語である。

 ある高官は「第2言語がワ語とビルマ語で、英語は一番最後であることがわかった。それ以外にも、児童500人の半数以上が漢人の子どもであることも明らかになった。彼らの肌の色や言葉のイントネーションは、(ワ人が中心になる)他の子どもたちと明らかに違う」と述べた。

 このヤンカ(旧ナヤオ)村はシャン州ムンサット郡にあり、1999年に中国国境から南下してきたワ人が住み、チェンライ県メーファルアン郡のタイ・ビルマ国境からビルマ側に11km入ったところに位置する。タクシン首相が2001年に現地訪問したことを受け、当地では「ドラッグ・フリー村」プロジェクトが開始されている。事業計画には小学校1校と、16床のベッドを備えた病院1軒の建設が含まれており、病院は今年末までに完成する予定だ。

 国営ニュー・ライト・オブ・ミャンマー紙によると、このプロジェクトには13ヵ村4056人が関わっている。

 プロジェクトの住民登録作業担当者の一人は「住民の多く、特に北部のフタランの出身の千世帯は多くが漢人で、ワ語も(現地の共通語の)シャン語もしゃべれない人間がほとんどだ」と述べる。

 別の関係者は「シャン人の子どもは本当にほとんど見かけない」と言う。元々この地域に住んでいた推計2000世帯のうち、残ったのは14世帯ほどで、近くのモンカーン村に吸収された。残りの世帯は別の村かタイ側に避難した。国内難民(IDP)2000人が住み、シャン州軍(SSA)のロイカウワン基地に近いピアンファ難民キャンプは、ヤンカ村から避難した住民からなると伝えられる。このプロジェクト関係者は「外国政府は元の住民に何が起きたかも、住民を助けるために何をするべきかも知らないか、気にも止めていない」と続ける。

 タクシン首相が小学校の開校式に出席する予定だったが、5月下旬のタチレクでの一連の爆弾事件とアウンサンスーチー氏の逮捕に伴いキャンセルされた。ある高官は「うまくいけば、首相は来年の早い時期に病院の開院式に出席するだろう」と述べた。

 ドイトゥン・プロジェクトのディレクター、ディッナッダ氏は、シャン・ヘラルド・ニュースの取材時には不在だった。氏はプロジェクトへの支援のために外国政府周りをしていると言われている。英国、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、日本がこのタイ政府の事業に金銭的な支援を行うと候補に挙がっている。また副ディレクターのプラソン警察少将にもインタビューを行うことができなかった。

 このプロジェクトは国境地帯で続く問題の震源となっている。ビルマ国境観測筋はこの地域からシャン軍基地を撤去させようとする動きだとして、また人権活動家は、生活の基盤を奪われた元の住民を無視し、ワ人の「侵入者」だけを考慮に入れた計画だと、それぞれこのプロジェクトを非難している。(訳、箱田 徹)

出典:Shan Herald Agency for News, 'Wa learn Chinese in Thai-funded school (No: 18 - 06/2003) ', 26 June, 2003.