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社会

タイ北部で域内薬物対策会議 各国当局が連携強化を模索 依然高水準のビルマの薬物生産量
2003年7月24日配信 ネーション(タイ)

タイ北部で域内薬物対策会議 各国当局が連携強化を模索 依然高水準のビルマの薬物生産量
ネーション(タイ)
ピヤナート・スリワロ、ドン・パタン
2003年7月24日

タイ、インド、ラオス、ビルマ、そして中国の閣僚が、域内での麻薬および薬物の前駆物質の流出抑制を目的とする政策の枠組みを示したチェンライ宣言の準備に取り掛かっている。

 タイのポンテップ法相を含む各国の閣僚は24日、地域薬物フォーラムの一環としてチェンライで会合を行う。前日23日に行われた高レベル会合では、域内国家の多くで合法的に生産された後、ブラック・マーケットを通して、ヘロインやメタンフェタミン錠などの非合法薬物の生産者に売却されている前駆物質の規制に向けた合同戦略の作成に焦点が当てられた。

 タイ薬物統制委員会オフィス(ONCB)事務局長のチットチャイ警察中将は、初めての参加国としてインドを迎えた今回のフォーラムでは、各国の薬物対策機関の連携によって煩雑な事務手続きを回避するネットワークの構築が認められる見込みだと述べた。
 ONCB北部支局のピタヤ局長によると、ビルマは、会合で合意された計画を実行に移すための作業部会の設立を提案した。
 チットチャイ氏によれば、ケシから合法作物の生産に転換した農家に対し、欧米を含めた外国市場への参入の道を探ることが、24日の会合の主要な議題となる。

 ゴールデン・トライアングルとして知られるタイ、ラオス、ビルマの国境地帯は、依然として世界最大のアヘン生産地帯であり、世界有数のヘロイン供給地だ。
 薬物貿易の規制には30年以上に渡り数百万ドルが費やされてきたにもかかわらず、域内の麻薬生産量は順調に増加しており、タイの西に位置する隣国ビルマは、現地で「ヤーバー」と呼ばれるメタンフェタミン錠剤のアジア最大の生産国となった。
 ONCBのある報告書によれば、ビルマは昨年約828トンのアヘンを生産しており、これはアフガニスタンに僅差の世界第2位の生産量となる。アフガニスタンは近年、東南アジアとオーストラリアに大量流入中の高純度(グレード4)ヘロインの主要な供給国となっている。
 また同委員会の別の報告書は、昨年1年間だけで、ビルマ・シャン州の地下工場で安価に製造された、約7億錠のメタンフェタミン錠がタイに流入したと推計している。

 第五管区の警察本部長でタイ最北部5県の警察責任者を務めるプルン警察中将によれば、警察当局は、台湾人の運び屋2人が薬物の過剰摂取で死亡して以来、結晶メタンフェタミン(「アイス」とも呼ばれる、高純度の覚せい剤)に監視の目を光らせているという。
 同中将は「あの2人はクスリの効果を確かめているところだったと思われる」と話している。
 また氏によれば、非常に強い効果を持ち、危険な前駆物質でもある「アイス」を用いれば、1キロでメタンフェタミン4万~10万錠が生産可能だ。

 タイ政府はすでに、域内へのアヘンとヘロイン流出に関与する組織として、軍政寄りのワ州連合軍(UWSA)、コーカン人(漢人)勢力、カチン独立軍(KIA)を特定している。これらはすべて、旧ビルマ共産党(CPB)の残存勢力で、ゴールデン・トライアングルのビルマ側を拠点としている。
 しかしビルマ政府は23日の会合で、この3勢力は、それぞれの自治区で薬物撲滅に向けた多大な努力を行っていると報告した。
 アナリスト筋は、ビルマが抱える政治、民族問題が真の意味で政治的に解決されない限り、この地域での薬物問題は終わらないだろうとする。
 タイ政府はこの5年間で北部国境地帯の警備を強化しており、薬物の輸送経路に「気球効果」を及ぼしている。
 中国の薬物統制事務局のワン・キァンロン事務次長は23日の報告で、この「気球効果」によって雲南省への薬物流入が増加していると述べた。

(訳、久保 忠行)

出典:Piyanart Srivalo and Don Pathan, 'Chiang Rai Drug Forum: War on drugs set to escalate', Nation, 24 July, 2003.