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経済・環境

「毒された丘~ビルマ軍事政権支配地域で急増するケシ栽培(仮題)」
2010年2月2日配信 パラウン女性機構(PWO)

パラウン女性機構(Palaung Women’s Organization)が1月26日に発表した報告書をご紹介します。

パラウン女性機構「毒された丘~ビルマ軍事政権支配地域で急増するケシ栽培(仮題)」(2010年1月)原題:“Poisoned Hills: Surging Opium Cultivation under Government Control in Burma”, 2010.

 この報告書は、2007年7月から2009年9月にかけて、シャン州ナムカーン郡とマントン郡でパラウン女性機構(PWO)が行ったケシ栽培状況調査の結果をまとめたものです。ビルマ軍政の支配下にある同地域で、ケシ栽培が増加しているのではないかと懸念したPWOが、地域住民から協力を得て現地調査を行いました。こうした地域の住民は、家庭内に麻薬依存症患者を抱えて苦しんでいます。また、国連の報告書によればビルマのアヘン生産量はアフガニスタンに次いで世界第2位ですが、住民たちは、ビルマから輸出された麻薬が世界中で人々を苦しめていることも憂慮し、危険を冒して調査に協力しています。

 この二つの郡にはパラウン民族が多く住んでおり、以前は茶葉の栽培が行われていました。しかし、茶葉の価格が軍政による操作で低く抑えられるといった要因で収入が少なくなり、生活に困窮した住民は茶葉に代えてケシを栽培するようになりました。

 PWOによれば、この二つの郡のケシ栽培面積は2007~2009年の3年間で約5倍に増加しています。同郡はビルマ軍政(国家平和発展協議会=SPDC)が完全に掌握し、軍や警察、軍政寄りの民兵組織が支配しています。こうした支配勢力は、住民のケシ栽培を黙認する代わりに「税金」の支払いを強要し、ケシを駆除するどころか、そこから違法な収益を得ています。軍政が少数民族勢力に対抗するために軍備を増強するにつれ、この問題はますます悪化しています。

 PWOは、報告書の中で、ビルマ軍政、国連薬物犯罪事務所(UNODC)、麻薬撲滅支援を行うドナー国がそれぞれとるべき具体的な政策の提言を行っています。また、国際社会に対しては、ビルマ軍政が真摯にケシ栽培や依存症の問題に取り組んでいない状況を批判し、麻薬問題を悪化させるような少数民族地域での軍備増強の是非を問い、全国的な停戦と、軍政・民族指導者・国民民主連盟(NLD)による三者対話を行うよう軍政に圧力をかけることを求めています。(ビルマ情報ネットワーク)