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社会

スーチーさんは檻に閉じ込められた自由を象徴~女優ミア・ファローへのインタビュー
2008年8月5日配信 イラワディ誌(ビルマ情報ネットワーク翻訳)

アメリカ人女優で活動家のミア・ファロー氏は最近タイを訪れ、ビルマ人難民や活動家らと会った。8月初旬、イラワディ誌のインタビューに応じた。

スーチーさんは檻に閉じ込められた自由を象徴~女優ミア・ファローへのインタビュー
イラワディ誌
2008年8月5日

アメリカ人女優で活動家のミア・ファロー氏は最近タイを訪れ、ビルマ人難民や活動家らと会った。8月初旬、イラワディ誌のインタビューに応じた。

イラワディ タイ・ビルマ国境のビルマ人コミュニティを訪れ、ビルマ人女性から話を聞いた感想は。

ファロー 4、5日前に訪れるまで、タイはバンコクには行ったことがありましたがビルマ国境には行ったことがありませんでした。国境に行こうと思ったのは、友人のジョディ(ノーベル平和賞受賞者のジョディ・ウィリアムス氏)に「(国境の状況を)知っておくべきよ」と言われ、現状を見ようと思ったのがきっかけです。国境では、多くの女性団体と話をしました。それらの団体はそれぞれが何万人もの女性たちを代表しています。彼女たちが直面した、また今も直面し続けている困難や、抱えている問題いついて聞きました。また彼女たちがどんなに勇敢で、能率よく組織を運営しているかを見ました。

  私はこれまでアフリカの国々を見てきました。そこでは女性が言葉では言い表せないほどの虐待を日々受けていますが、(ビルマの)女性たちのように組織化はされていません。だから私は(ビルマの女性について)とても希望を持っています。彼女たちはとても勇敢で情熱的で、活気があります。彼女らが失ったことや拒まれたことについて悲しくも感じますが、最終的には彼女たちが勝利するだろうということについて大きな希望と期待を抱いています。男たちが戦争や破壊行為をするのに忙しい間、女性たちは助け合っています。銃こそ持っていませんが、ビルマの女性の決意は非常に固かった。私は彼女たちが必ず勝利すると確信しています。

イラワディ ビルマを助けたいと思ったら何をすればいいでしょう。

ファロー ごく最近まで、世界のほとんどの人々がビルマについて何も知りませんでした。最近印象に残ったのは僧侶が銃撃されるというイメージでした。これでアメリカ人ははっと気づき、急にビルマに関心を持つようになりました。それに加え、サイクロンという惨事がありました。軍事政権が援助を受け入れなかったことに、アメリカ人はただただ衝撃を受けました。これでビルマは2つのイメージを発信しています。非常に困窮している人々を助けず、見せかけだけの選挙を行うというイメージ、そして僧侶を銃撃するという。このイメージが出てくるまでは誰もビルマのことを知らなかったと思います。アメリカ人も問題を抱えているし、普段は自分たちのことばかりが頭にあります。悲劇や大惨事が起きない限り(他の国の問題に)気づかないことがある。でも今、「ビルマ」と聞いたら軍事政権の国民に対する仕打ちを思い浮かべるでしょう。

イラワディ 北京オリンピックのボイコットを呼びかけている理由は。

ファロー 北京オリンピック開会式に出席しないよう呼びかけたのです。(競技を妨害して)選手を犠牲にしようとは誰も思っていませんが、プロパガンダ的な開会式が行われるのを危惧しています。ブッシュ米大統領が開会式への招待に応じ、出席を決めたのはとても残念でした。大統領はアメリカ合衆国が掲げる主義や理想を表明する機会を逃したのです。大統領が出席することに多くのアメリカ人が失望しました。プロパガンダ開会式に出席してほしくなかったのです。同時に(出席しないことで)ビルマやチベット、ダルフール、そして中国にいる(人権侵害の)犠牲者への支援を表明する機会も逃してしまいます。ひとつのチャンスを逃したわけです。

  私たちは、中国に人権保護の国際的基準を守ってほしいと思っています。あんなにたくさんの残虐な軍事政権を支え続ける中国政府の気が知れません。国際社会は中国を絶えず厳しく非難していますが、中国は決して「これまでのやり方は間違っていました。今後は改めます」とは言いません。中国にとって、ダルフールは簡単に採れる果物のようなものです。中国は、ダルフール問題を解決しようと思えばすぐにできるのです。つまり、スーダン政府に空襲や地上攻撃をやめ、平和維持部隊を全面的に受け入れるように説得することです。ビルマに関しても中国は、軍政に残忍な戦術を使わないように説得するためのアメとムチを持っています。

イラワディ 米国の対中政策についてはどうお考えですか。

ファロー ブッシュ大統領の政策はアメリカ国民の声を反映しているとは思えません。ブッシュ大統領の支持率は歴代の大統領と比べて最低なのではないかと思います。私を含めた多くのアメリカ人や世界中の人たちは、新しい大統領の就任を指折り数えて待っています。大統領選挙に出る予定のマケイン氏、オバマ氏は2人とも、自分が大統領だったら北京オリンピック開会式には出席しないと表明しました。

 ブッシュ大統領はアメリカ経済を危機に追い込み、ちっとも尊敬されなくなりました。世界の人々はアメリカを恐がっているか、心底嫌がるようになりました。ブッシュやチェイニーといった首脳陣が行う決定にはアメリカ人でさえもうんざりしています。個人的にはオバマ氏に投票するつもりです。彼にはぜひとも勝ってほしい。世界でも多くの人がそう願っていると思います。

イラワディ ビルマ問題解決について国連の役割や取り組みをどう考えますか。

ファロー 世界中のたくさんの人々が国連が何とかしてくれると期待しているので、とても残念です。2004年にダルフールに行った時、国連の車両がキャンプに来ると、キャンプにいる人は「国連だ!国連が助けに来てくれる!」と口々に言っていました。ルワンダでも同じような体験をしました。ある記念館の展示に、拷問されて瀕死状態だった少年が最期に「国連がきっと助けに来てくれる」と言った、というのがあったのです。このように国連に多大な期待が寄せられています。しかしダルフールでは、誰も人々を助けに来ませんでした。平和維持部隊がいますが、平和維持部隊の前指揮官は、国連軍は自らの安全も確保できておらず、ダルフールの人々を守ることなどとてもできないと述べました。嘆かわしいことです。安全保障理事会も、(拒否権を持つ)中国とロシアがいるので、人権保護に関する決議を通すのは非常に難しくなっています。

 国連には、加盟国が支援をもっとも必要としている人々を代表し利己的な行為を止めるように指揮を執れる指導部が必要です。今のままでは国連は任務を続けられるとは思えません。国連は国々が集まり、問題解決のために協議できる場なので、原則的にはこれ以上よい手続きはありません。人道部門は官僚的ですがよい仕事をしていますし、本当に努力もしています。しかし国連の政治部門はまったくひどい状態だと思います。

イラワディ ビルマへのメッセージをどうぞ。

ファロー まず、軍政にはアウンサンスーチーさんを始めとした政治囚を解放することを求めます。そして、アウンサンスーチーさんが思い描いている民主主義や自由な社会を形成すること。これは彼女が解放されない限り実現しません。スーチーさんは、ビルマ人でない人も含めて世界中の人々が考える自由というものを具現化しています。自由が檻の中に閉じ込められているのは、出身国を問わず誰が見ても悲惨な光景です。

(日本語訳 ビルマ情報ネットワーク、協力 村田真那)