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民族・難民

ビルマ東部の情勢不安定化(タイ・ビルマ国境支援協会プレスリリース、2009年10月29日)
2009年12月9日配信 タイ・ビルマ国境支援協会(TBBC)

バンコク - 国際人道法に関する1949年のジュネーブ四条約が締結されて60周年となる今年、パレスチナのガザ地区に対してイスラエルが軍事攻撃を行った事実や、スリランカがタミル民族の戦闘員と非戦闘員の区別を拒否した事実は、国際人道法の実社会での有効性に関わる問題として大きな注目を集めている。その一方で、ビルマ国軍はメディアの注目を受けないところで、イスラエルやスリランカと同様に民間人を無差別に攻撃し、多数の国内避難民を生み出し続けている。複数の支援団体が、ビルマ東部での人間の安全保障に対する脅威が高まっていると報告している。

タイ・ビルマ国境支援協会(TBBC)のジャック・ダンフォード事務局長は、「私たちはこの25年間、ビルマ東部での紛争がもたらした状況に取り組んできた。しかし未だ問題の原因には焦点が当てられず、悲劇的なことに、今後12か月で状況は更に悪化しそうですらある。最近、タイに大量の難民が流入した事実や、国内避難民からの報告を踏まえると、ビルマ東部の暴力と虐待が増加していることがわかる」と述べた。

タイ・ビルマ国境支援協会は、10カ国の12の支援団体からなる連合体であり、ビルマ難民及び国内避難民に対して、食料、住居、食料以外の物資、キャパシティ・ビルディングに関する支援を行っている。人道支援団体である同協会はこの10月に、過去5年間にわたりビルマ東部の農村地帯で3,100戸を対象に行った、紛争と国内避難の状況に関する現地調査の結果を発表した。

ビルマ東部での人間の安全保障に対する最大の脅威は、地域の軍事化と関係がある。民間人の安全に対する最も深刻で、最も急速に高まっている脅威とは、ビルマ軍のパトロール隊と、埋設された地雷である。一方、人々の生活に対する脅威として最も広く見られるのは、強制労働と移動制限である。傾向を分析すると、過去5年間で、安全と生活の両方に対する脅威が増していることが分かる。

ビルマ東部では、1996年以降これまでに3,500以上の村落や避難民の集落が破壊または強制移動させられている。これには、2008年8月から2009年7月にかけて破壊または強制移動させられた120の集落が含まれる。移動させられた村落数の多さはスーダン・ダルフールに匹敵し、ビルマ東部で人道に対する罪が起きていることを示す最も重要な指標として認識されている。この1年間で少なくとも7万5000人が元々住んでいた場所から強制的に移動させられ、現在も50万人以上が国内避難民の状態にある。

最近で最も多くの国内避難民が発生したのは、カレン州北部とシャン州南部である。約6万人のカレン民族住民がチャウチー郡、タンダウン郡、パープン郡の山中に隠れており、その3分の1は過去1年間にビルマ軍の砲撃やパトロール隊による攻撃の危険から逃げてきた人々である。同様に、シャン州の30カ村の約2万人の民間人も、ビルマ軍により強制的に移住させられた。これは、軍政と停戦協定を結んでいない現地の民族武装組織シャン州軍南部(SSA-S)がライカー郡、モンクン郡、ケースィー郡で軍事活動をしたことに対する報復だった。

タイの国家安全保障評議会は最近、ビルマで2010年に実施が予定されている選挙までにタイ・ビルマ国境地域で紛争が発生し、再び大量の難民が流入する事態に備えていることを認めた。カレン州では紛争がすでに激化しており、6月には4,000人以上のカレン難民がタイに逃げた。こうした情勢の不安定化は、軍政が、停戦中の民族武装勢力に対し、国境警備隊としてビルマ軍の指揮下に入るよう要求していることに関係している。軍政によるこうした圧力の結果、中国雲南省と国境を接するコーカン地区では戦闘が再燃し、3万7,000人の民間人が中国側に避難した。

ダンフォードは、「20年来の停戦合意が決裂したことは、ビルマ軍政の『民主化ロードマップ』が少数民族団体に対して政治的解決をもたらさないことを表している。来年の選挙が変化に向けた小さなきっかけになるとしても、単に軍政を強固にするだけにしても、国民和解と避難民問題の解決を促進するため、民族団体側の不満の解消という問題に緊急に取り組まなければならない」と述べた。


(日本語訳 ビルマ情報ネットワーク)