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社会

第4回世界仏教徒サミットに関する公開書簡
2004年7月30日配信 全ビルマ青年僧侶連盟

編注:ABYMUがボイコットを訴える「第4回世界仏教徒サミット」(The fourth World Buddhist Summit)は、世界仏教徒連盟(World Fellowship of Buddhists、本部:タイ)が主催する「世界仏教徒会議」とは無関係です。なお世界仏教徒連盟の日本での地域センターは、日本国内の仏教諸教派の連合体である(財)全日本仏教会です。

第4回世界仏教徒サミットに関する公開書簡
2004年7月30日
全ビルマ青年僧侶連盟(All Burma Young Monks' Union)

世界の仏教各宗派長老のみなさま
仏教団体の指導者のみなさま
仏教徒のみなさまへ

 全ビルマ青年僧侶連盟はこの公開書簡を通じて次のように要請いたします。

 第四回世界仏教徒サミット(編注)はビルマの首都ヤンゴンにおいて2004年12月に盛大に開催されるとのことです。この会議の開催を通じて宗教を基盤にした国と国、民族と民族、あるいは仏教徒同士の友好親善が深まり、偉大なる仏の教えについての理解が広く、深く浸透し、仏教徒ではない人びとのあいだにも仏の教えが伝わり、仏教がますますその基盤を固めるといった収穫があることを、私たち全ビルマ青年僧侶連盟はよく理解しております。こうした会議は開催する価値のあるものだとも考えております。
 しかしながら、この会議が所期の成果があげられず、罪のない国民を弾圧し、苦しめている、不法な軍事独裁政権(SPDC)の利益のみを図るものであるならば、宗教界は甚大な損失を被り、世界の仏教徒たちの非難の的となり、また世界の知識人からも批判を浴びるであろうことは間違いありません。なぜならば・・・。


 ビルマは仏教国であると言えるくらいに仏教が盛んな国ではありますが、現在国内では宗教と政治にかかわる厳しい状況があり、問題が起こっております。こうした問題については真実を知り、詳しく調査・検討しなければなりません。すでにご存知の方もいらっしゃるでしょう。こうした問題を仔細に検討することなく、見過ごすならば、仏の教えの根幹である国民の利益、現世における利益のみならず、信仰心から深める心の平安までも冒すことは明らかです。仏の説いた、あるべき道と真理をも傷つけるでしょう。このままにしておけば、ビルマの僧侶、仏教信者のおもいを踏みつけ、悪辣・不法な支配をつづける軍事独裁者たちに力を貸すことになり、彼らによって政治的に利用されることになります。私たち青年僧侶同盟はそのことを憂慮しております。

 第四回世界仏教徒サミットを主催する委員会のメンバーについて検討しなければなりません。彼らは国内においても、海外においても悪名高い人物たちであります。国民の利益に目をつぶっているばかりか仏の教えをもその根本から踏みにじっている人たちです。彼らは血に汚れた外道です。彼らは世界の敬虔な仏教信徒と同席すべきではありません。親しく握手するような人たちではありません。同席して浄財を受けたり、仏の教えを論じたり、生老病死の哲学を語り合ったり、共に同じ道を歩むような人物では断じてありません。
 彼らは1988年以来多くの僧侶、国民大衆、学生らを法によらずして殺戮してきました。彼らは1990年の総選挙に示された国民の意思に背を向け、「国軍政府」として支配をつづけています。彼らは公式に世界に向かって発表した約束(総選挙後勝利した政党に政権を委譲するという約束)を恥知らずにも破りました。仏の説いた「王(支配者)としてあるべき十か条」とも背反しています。

 1990年にはヤンゴンやマンダレーといった大都市を含め全国でおよそ30万におよぶ僧侶が仏の説いた「托鉢の鉢を伏せて寄進・喜捨を拒否する」行動に出ました。その時に寄進・喜捨をすることを拒否された人物たちです。そうした権力者たちの寄進・喜捨を拒否する行動は今日にまで受け継がれています。
 彼らはまた1997年にマンダレーの有名な仏像マハー・ミャッムニの胎内から仏の遺品を盗み出し、その行為を非難して僧侶たちが抗議のデモを行なった時、多くの僧侶を逮捕・投獄しました。

 1988年から今日に至るまで、こうした支配者たちによって僧侶たちは逮捕・投獄されたり、強制的に還俗させられたり、なかには前線で軍部隊のポーターをさせられたり、強制労働を強いられたりの不当な扱いを受けています。さらには僧侶としての資格を剥奪されたり、僧院から追放されたりということも少なくありません。権力者たちによって投獄され、獄中で命を奪われた僧侶もいます(編注:米国国務省「信教の自由年次報告書 2004年版」によれば、1990年代後半に100人以上の僧侶が投獄されていたとの信頼できる情報があり、釈放が確認されたのはそのうち半数。現在刑務所に囚われている僧侶や女性出家者の数は不明)。
 捕まった僧侶のなかには経・律・論に関する全国試験で優秀な成績をおさめた僧侶もいれば、教学を教える僧院施設を主宰する長老クラスの著名な僧侶たちや、そこで研鑚を積んでいた学僧たちも含まれています。
 さらに寺院・仏塔・宗教施設の接収や破壊、仏教徒たちの寺院や仏像への参拝の禁止(例えば仏教徒でありノーベル平和賞受賞であるアウンサンスーチーがラカイン州を旅行した時にあった)などを行なっている人物たちでもあります。また宗教を道具として使い、暴徒に僧侶の姿をさせて、暴力行為を行なわせ、仏教の品格を貶めたばかりか、無辜の国民大衆を襲撃させた(例えばディベーイン事件)のも彼ら権力者たちです。

 この権力者たちは、今回の権威ある世界仏教徒サミットを利用して自らの権力体制の強化を図り、自分たちの権威を高める目的で、いかにも敬虔な仏教徒であるかのごときイメージを国内外に印象付けようとしています。これは象の死骸を山羊の皮で覆うようなもの。見え見えの策略です。しかし、彼らは準備段階から、そのようにふるまっています。たいへん残念なことです。

 今ビルマの国民は、軍事独裁政権を終焉させ、民主主義国家を樹立するために、さまざまな危険と困難のなかで、生命を犠牲にしてまでたたかっているさなかです。政治的にもきわめて微妙な情勢です。
 このような状況を踏まえて、ビルマの僧侶たちのおもいをくみ、また民主主義のためにたたかっているビルマ国民大衆をおもいやり、仏の教えにあるとおり正と邪があるならば正の側に立つという仏教者の伝統を守る立場から、第四回世界仏教徒サミットをビルマ以外の適当な場所に変更して開催されるよう、ビルマの僧侶を代表して私ども全ビルマ青年僧侶連盟は心から要請いたします。
 もしビルマでの開催が強行されるならば、どうぞビルマへお越しにならないよう、会議をボイコットしてくださいますよう世界の仏教徒のみなさまに伏してお願い申し上げます。

2004年7月30日
全ビルマ青年僧侶連盟(ABYMU)