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社会

「世界」仏教サミット開催で軍政に協力する高僧へのインタビュー
2004年12月4日配信 ビルマ民主の声(DVB)

ティータグー僧正の「世界」仏教サミットへの見解

 ビルマ民主の声(DVB、ノルウェーに本部のあるラジオ放送局)のキンマウンソーミンは、ラングーンで開かれる「世界」仏教サミットについて、ティータグー僧正(法名:ニャンニッタラ長老)にインタビューした。

(注)ティータグー僧正:法名、ニャンニッタラ長老。ティータグー僧院は上ビルマ、ザガインにある。上座仏教の国際的布教にも携わり、ティータグー国際仏教学院(Sitagu International Buddhist Academy)を主宰。説法には定評がある。
 キンマウンソーミンはまず僧正に対し、ダライラマ法王をサミットに招く予定はあるのかと尋ねた。

僧正:(こちらには)そのつもりはない。サミットの出席者は国の代表者だ。自国から逃亡した人物は代表者にはなれない。

記者:大乗仏教の宗派の一つ、日本の「念佛宗無量寿寺」が、そちらとサミットを共同開催すると聞いていました。その後、ビルマの政治情勢が不安定になったため、念佛宗側は協力を取りやめて撤退しました。何か不都合な点が、特に金銭面に関わることで、おありでしょうか、お坊様。

僧正:念佛宗が撤退したことで、かえっていろいろな事がはるかにやりやすくなり、はかどるようになった。ビルマ政府と我々国家サンガ大長老会議との関係も非常によくなった。大乗の人間(注:念佛宗のこと)からの干渉も命令もないからずっとやりやすくなった。向こうはアジアからの参加者の飛行機代と宿泊費を持つと言っていた。だが支援といえばそれが全部で、ビルマ政府が他の経費はすべて負担することになっていた。したがって念佛宗が撤退したからといって、こちらとしては困ることは一つもない。

記者:ビルマ社会主義計画党が全宗派合同会議を1980年に開いたときは、ほぼすべての政治囚が釈放されました。僧侶を含めた政治囚がサミット後に釈放されるとお考え、あるいはそう理解されているでしょうか、お坊様。

僧正:それはタンシュエ上級将軍の意向次第だ。(サミットの)主な話題は宗教だ。他の話題には会議では(……)触れない。先ほどの質問だが、今ビルマ政府は囚人を釈放している最中ではないか。何人釈放されることになっているかは知っているだろう。したがって我々としては、会議の席上、または会議に関連して、この問題への対処を政府に求める必要はない。

記者:ウォッチャーの一部には、軍事政権はこのサミットを、ビルマが平和で発展の可能性を秘めた国だという自分たちの宣伝に使うという意見もあります。僧正や、僧正を尊敬している在家の男女と比丘からは、僧正が軍政に次第にうまい具合に利用されるようになっているとの話も聞きます。これについてはどうお考えですか、お坊様。

僧正:何も言うことはない。私は仏教に仕える身になると決めたのだ。私がサミットに関わるのは、他人に仕えているからではない。周りの言うことにいちいち反応などしていられない。私がサミットに関わっているのは、個人的に関わりたいと思うからだ。説明する必要は一切ない。

出典:Democratic Voice of Burma, 'Interview with Abbot of Sitagu on the forthcoming "World" Buddhist Summit in Burma,' 4 December, 2004

ティータグー僧正の見解について ある僧正へのインタビュー

 ビルマ軍事政権(SPDC)がラングーンで主催する「世界」仏教サミットに関するティータグー僧正のコメントについて、ビルマ中部マグウェ管区のある僧正は次のような感想を述べた。

僧正:ティータグー師は、1988年の民主化闘争の際に「王への教誡経」を説いていた。国の支配者なら「王にふさわしい」規範に従うべきだと広く説いたのだ。あの偉大な僧正も軍政の巧みな口車に担がれて腐敗してしまった。そしてとにかく世界仏教サミットを開くんだと軍政と大合唱している。向こうはどんな形であれ、このサミットをやらなければいけない。でないと念佛宗の撤退で一回潰れた面目が、さらに潰れることになるからだ。こうしてみると思い出すのは、マンダレーの新マソーイェィン僧院のヤーザ(パーリ語、ラージャ)師の発言だ。軍政は師をラングーンに招き、自分たちが僧に授与できる称号を与え、仏教の伝道のためということで、師に米国やらを回らせた。帰国後に僧院に戻った師は、自分の弟子たちに向かってこう言った。「『ラージャ』は従順で大人しくなった」 つまり、ティータグー僧正はこれから政府への批判を一切口にしないだろうということだ。

記者:はい、お坊様。僧正として(……)日本側は(仏教サミットへの)参加を止め、世界的にもボイコットが広がっているわけですが(……)宗教者として、このことをどう思われますか、お坊様。

僧正:抗議の方法は正しいと思う。抗議の理由は軍政の行動にあるからだ。(ビルマ)国民は軍政のやり方を嫌っている(……)世界的にも軍政は嫌われている(……)。したがって、民主的な国々が会議へのボイコットや抗議を決めたのは正しいと考えている。

記者:はい、お坊様。しかし軍政側は、ボイコットが広がろうと会議をとにかく開催すると言っています。サミットの後には何が起きると思われますか。

僧正:何も特別なことは起きないだろう。軍政は仏教学大学マンダレー校の僧侶に招待状をまだ送っていない。自分たちが招きこうと思い、招いても構わないと考える人間だけを集めているのだ。参加した僧や僧正は、政府が読んでもらいたいと思っている文章を読み上げる以外には何もできない。ビルマ語の言い回しを使えば、そういう人物は「パーラーパッ」な組織の人間、相手が持ってきたものを読むだけの人間だ。僧侶の逮捕や拘束をどう解決するか、そういう僧侶と関わり、釈放にこぎつけるにはどうしたらよいかを話題にすることは言うまでもなく、夢に見ることさえしないだろう。さっき新聞で読んだのだが、軍政はサミットに参加する僧侶の交通費のため、寄付を集めて回っているそうだ。万事がこんな調子だ。車さえ調達できないのだ。わが国は何もかもが不足している。軍政は政治改革もせず、自分たちの都合のいいように国民をこき使っている。つまるところ、一番苦しんでいるのは市井の人々だ。仏教サミットが終われば、軍政は我々僧侶を捕まえるだろう。軍政のやり方を嫌う僧侶は増えている。軍政を批判すれば僧侶も捕まる。これが今の情勢だ。

出典:Democratic Voice of Burma, 'Monks will be arrested after Buddhist summit in Burma, warns abbot,' 4 December, 2004.

(訳、箱田 徹)