トップページ >  ビルマの現状:政治 >  社会 >  サフラン革命のその後:宗教、弾圧、米国の対ビルマ政策の今後

社会

サフラン革命のその後:宗教、弾圧、米国の対ビルマ政策の今後
2007年12月3日配信 世界の信教の自由に関する米国議会委員会

ナヤカ師の証言
世界の信教の自由に関する米国議会委員会公聴会
「サフラン革命のその後:宗教、弾圧、米国の対ビルマ政策の今後」
レイバーン米連邦下院議員会館2200
2007年12月3日 午後2時30分~午後4時30分

※ ナヤカ師はインド・マガダ大学で博士号を取得。現在、コロンビア大学客員教授として、ビルマにおける紛争解決と対話について研究している。社会行動仏教(エンゲイジド・ブッディズム)に関する論文を多数執筆。国際ビルマ仏教僧協会幹部。
 世界の信教の自由に関する米国議会委員会で発言する機会を与えていただき感謝します。私は、ビルマの仏教僧であり、現在ニューヨークのコロンビア大学の客員教授です。私がこの場にいるのは、同志である僧侶の声となるために、ビルマの人々の声となるためです。ビルマ国民は世界で最も抑圧的な体制の下で、信教の自由を含む、あらゆる自由を長年にわたって奪われた人々なのです。

 世界中の人々は、私たちにのしかかる過酷で不道徳な独裁体制を目の当たりにしています。国外のマスコミの力によって、世界中がこの体制の残忍さを目にすることができました。ビルマ軍事政権は平和的なデモを行っていた人々を殺害しました。ビルマは主要な宗教が仏教であるために、仏教僧は国民から篤く尊敬されています。軍政はその僧侶を殺害しました。そして僧院を空にしました。僧院とは礼拝の場、宗教的な機能を果たす場であるだけでなく、教育を担い、文化を維持し、HIV/エイズ患者や孤児を保護するなど、ビルマ政府が怠っている任務を果たす場でもあるのです。ビルマ軍事政権は僧侶を強制還俗させ、殴り、激しい暴行を加えています。

 ビルマ軍事政権は人道に反する罪を犯しています。軍政による今回の残忍な行為は長い歴史を持つビルマの出家仏教の最大の悲劇の一つとなることでしょう。この不道徳な体制は、世界中の人々の目の前でこうした残虐行為に至ったのです。軍政は不道徳な存在であり、今後何十年にもわたって私たちを組織的に圧迫することだけに目を向けています。

  私たちは皆、最近のビルマ国内での抗議行動を指導したガンビラ師など、同志である僧侶の現状を、あらゆる政治囚の現状と同様に強く懸念しています。私は各国政府と国連が軍事政権に圧力を加え、軍政が国際赤十字委員会による被収容者への接触を直ちに許可し、また被収容者を即時解放するよう求めることを望みます。

 私がお話しさせていただきたいのは次のことです。ビルマの精神的な権威は、仏陀の教えである「法」(ダンマ)の中に存在しているということです。ビルマの法が護持され、実践されているのは、まずもって我が国の僧侶と尼僧の精神と心の中なのです。もちろん在家の人々も法を実践しています。しかし私たちの社会の望みを象徴するのは、出家者組織としての僧団(サンガ)なのです。

 仏教がビルマに千年以上前に伝来して以来、僧団は我が国を代表する存在であります。その影響力は至る所に――仏塔の点在する山腹に、サフラン色の法衣に身を包んだ僧侶に、およそすべての村に存在し、地域の住民の性格と慣習の基礎となっている僧院に――見られます。現在、僧団は体制の敵になっています。もしこの状態が解決されないままであるのなら、さらなる流血の衝突が必ず起こることになります。私たちが精神的な義務を負っているのは自由に対してであり、沈黙や服従に対してではないからです。 現在もなお、指導的な立場にある複数の僧侶が軍政の追及を逃れていることがわかっています。しかし私たちには、どれだけの僧侶が殺害されたのか、どれだけの僧侶が強制還俗させられたのか正確なことは一切わかりません。どれだけの僧侶が投獄されているのかもわかりません。そしてまた、どれだけの僧侶が非公表の施設に連行されたのかもわからないのです。恐ろしいほどの秘密と沈黙が今、ビルマを覆っています。

 私たちは今、非常に重要な歴史的岐路にあります。私たちが知っていることといえば、有名な僧院のうちいくつが閉鎖されたのかということです。もぬけの殻になった僧院もあるのです。ここに重大な問いがあります――僧院にいた僧侶たちはどこへ行ってしまったのでしょうか、世界的な抗議の声はどこに行ってしまったのでしょうか。この問いは、世界中のあらゆる政府が深刻な懸念すべき問いなのです。国際社会による強力かつ効果的で、時宜を得た介入が緊急に求められています。これは、米国人が支持しなくてはならない道徳的な緊急事態なのです。

 ビルマの「サフラン革命」は権力を求めるたたかいではありません。平和と道徳的自由を担う側と、政治的抑圧を担う勢力との間の争いなのです。この精神的な抗議運動に加わることは、仏教によって正当化されています。サフラン革命――すなわち良心に基づく今回の仏教革命が掲げる宗教的方針とは一貫して「平和」なのです。これまでビルマの歴史では、国難が生じたときには、国民が難局に直面したときには、精神的な(=宗教)指導者が社会に平和と安定をもたらし、維持する上で重要な役割を果たしました。しかし今日では僧侶自身が非常に困難な状況に直面しています。

 出家者の生活の存在自体が、凶悪な軍事政権によって今まさに破壊されつつあります。国連安全保障理事会など国際社会が、この凶悪な政権が行っている殺害と逮捕を停止させるための、共同して取り組む効果的な方策を見つけることができなければ、再び僧侶に流血の事態が起きるでしょう。国連安全保障理事会が、民主主義への平和的な移行を目的として行われる、アウンサンスーチー氏が指導する民主化勢力との実質的で、期限つきの対話の席にビルマ政府を座らせることができない限り、僧侶と人々による精神の革命は続き、陰惨な弾圧が繰り返されることは避けられません。

 精神の革命というこの深遠な表現は世界中の実に多くの人々の心を鼓舞しています。法が発する光が、この革命を担う私たちの導き手なのです。皆さんの尊厳と自由への献身から生じる光が、私たちの力の源なのです。非暴力的なアプローチが私たちの方法であるので、私たちには、どのような境遇にあっても、平和的な手法をとる決意です。私たちはまた、自らが法に献身することこそが、ビルマを支配する不正な支配者たちを打ち破ることになるのだと固く信じています。

 私たちは、祖国の自由への、そして自らの心の自由への献身を決して止めません。これらはすべて米国人が価値を置き、重んじていることでもあります。ビルマ国民の自由を否定することは絶対にできません。その自由を獲得するためにどのような犠牲が強いられるかだけが問題なのです。

 最後に、私はブッシュ大統領と大統領夫人に、またアメリカ合衆国議会と米国人に対して、私たちのたたかいへの支援について感謝を申し上げたい。またブッシュ大統領に対して、大統領就任中の遺産として、ビルマの自由を残していくことをお願いする次第です。

ありがとうございました。