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経済・環境

法律家への手紙:アメリカの環境NGOより(第二回)
2002年1月1日配信 「環境と正義」

「環境と正義」2002年1・2月合併号に掲載
日本環境法律家連盟(JELF)編集・発行

法律家への手紙:アメリカの環境NGOより(第二回)
秋元由紀
地球の権利インターナショナル(ERI)弁護士スタッフ

前回、勤務先のNGO、地球の権利インターナショナル(ERI)が環境と人権との相互関係を重視して両方の保護活動をしているとお話しました。ERIは、具体的には主にビルマ(ミャンマー)の問題を扱っています。  

ビルマは森林、鉱石、天然ガスなどの資源の豊富な国ですが、現在の軍事政権が推進する開発プロジェクトによって、資源の搾取とそれに伴う環 境破壊が進んでいます。問題は、プロジェクトの警備をするために軍隊がプロジェクト地域に展開する際に、地域住民に対して様々な人権侵害が行われているこ とです。特に、地域住民が周囲の環境と密接なつながりを持った生活をしている場合には、環境破壊も直接日々の暮らしの営みに悪影響を及ぼすという点で住民 の人権に関わってきます。

ビルマへの直接投資として史上最大のヤダナ・プロジェクトは、アンダマン海のヤダナ・ガス田からタイのラチャブリ精製所まで、ビルマとタ イの2国にまたがって天然ガスのパイプラインを建設したものですが、建設地域で人権侵害と環境破壊が同時に引き起こされ、地域社会の崩壊につながった悪名 高い例となりました。

このプロジェクトは、ユノカル社(米国)とトタル社(フランス)という多国籍石油企業とが軍政の協力を得て進めたもので、ビルマ側ではカ レンなどの少数民族が住む国の南部にパイプラインが建設されました。この地域の住民の大半は主に農業を生業とする一般人です。建設に関する意思決定への一 般参加はなく、強制労働や強制移住などの人権侵害に加え、建設に伴って起きた森林伐採などの環境破壊の影響も受けました。

軍政は慢性の財政困難にあり、ヤダナ・プロジェクトのような資源開発から得た財源に依存しています。問題は、軍政が得た資金の大半を軍事 力の拡張に使っていることです。1990年から97年には医療・教育費にあてられた額の264%が軍事費にあてられました。ビルマの民主化を支援する団体 などがビルマへの直接投資に反対するのにはこのような背景があります。

ERIはビルマでの人権侵害などに関する現地調査や、集めた情報を国際社会に発信する活動をしています。また、ヤダナ・プロジェクトに よって被害を受けた地域住民がユノカル社を相手に米国で民事訴訟を起こしていますが、ERIの弁護士スタッフは原告の共同代理人として訴訟に関わってもい ます。ERIの出した資料を日本語に翻訳する活動も最近になって始まりました。