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経済・環境

ビルマ、カレンニー州に開発の悪夢が再び―サルウィン川ダム建設計画
2006年3月14日配信 カレンニー開発調査グループ(KDRG)

 サルウィン川にダムを建設し、カレンニーの人々の故郷である土地を広い範囲に渡って水没させようというビルマ軍事政権の計画を受け、本日(2006年3月14日)カレンニー人団体が報告書を発表した。この報告書は、ビルマ初の大型水力発電事業としてカレンニー州に建設されたバルーチャウン発電所建設が周辺地域に及ぼした深刻な悪影響を類似例として取り上げ、サルウィン川ダム開発が及ぼすと思われる悪影響と比較検証する。報告書は、ビルマ軍政と開発事業の破壊的な組み合わせに焦点を当てている。

 カレンニー開発調査グループ(KDRG)の報告書『ダム開発に呪われたカレンニー州(Dammed by Burma's Generals)』は、バルーチャウン水力発電所の建設・運営が1960年代初頭以降に地域社会に及ぼした影響を記録している。当初約束された豊富な電力供給とかんがい設備の代わりに住民が直面したのは、強制移住、水不足、ビルマ軍部隊の増強、人権侵害、そして発電所の警備のために埋められた数千個もの地雷による被害だった。生産される電力のほとんどはビルマの首都ラングーンに直接送られ、カレンニー州の80%の地域は今日も電気のない生活を送っている。

 サルウィン川に建設が予定されている4つのダムのうちウェイジーダムが完成すれば、カレンニー州の土地640平方キロメートル以上が水没する。これはバルーチャウン発電所用のダムによって水没した面積の3倍だ。報告書はまた、カレンニーの古都を含む28の町村が水没し、約3万人が影響を受ける可能性を詳しく論じている。これによって現在千人しかいないインタレー民族は自分たちの土地すべてを永久に失うことになる。また、生物多様性の類稀な豊かさで国際的にも知られた森林が水没してしまうことで、取り返しのつかない環境破壊がもたらされることになるだろう。

 タイ政府とビルマ軍政とが2005年12月に交わした協定の下、サルウィン川でのダム建設は2007年に始まる予定である。中国もダム建設に投資すると見られており、事業によってタイは電力、ビルマ軍政は収入を得ることになる。

 『緑の精霊の地から(From the Land of Green Ghosts)』の著者でカレンニー人のパスカルクートウェ氏は報告書の序文で「国を破壊するには、ブルドーザーと銃とが持つ力を同時に操ることほど効率的な方法はない」との言葉を寄せた。

 内戦が続くカレンニー州では、州の総人口のうち推定3分の1が国内避難民となり、2万2千人以上がタイの難民キャンプで暮らしている。もしサルウィン川にダムが建設されれば、これら国内避難民や難民の多くは、生まれ故郷に二度と帰ることができなくなるだろう。

 報告書はサルウィン川でのダム建設計画の中止を求めている。報告書執筆者の一人、アウンンゲー氏は「これまでの悲惨な経験から、私たちは軍政下で実施される水力発電計画がどういうものかをよくわかっています。軍政による水力開発は人々に電力やかんがい用水をもたらすための事業ではありません。住民を抑圧し、支配するためのものなのです。サルウィン川でのダム建設が進めば、国軍兵士も地雷も増え、私たちカレンニー人は次第に抹殺されていくことになるでしょう」と述べている。

 報告書の全文は、サルウィン・ウォッチ(www.salweenwatch.org)のウェブサイトを参照。

問い合わせ先
Aung Ngeh
phone: 06 9136720
e-mail: kdrg05@yahoo.com

出典:'Proposed Salween Dams Revive Development Nightmare for Karenni in Burma,' Press release, Karen Development Research Group, 14 March 2006.

日本語訳:久保忠行、秋元由紀