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社会

アウンサンスーチー「世界人権宣言50周年によせて」
1998年12月10日配信 アウンサンスーチー

世界人権宣言50周年によせて
アウンサンスーチー
1991年度ノーベル平和賞受賞者、国民民主連盟(NLD)書記長
1998年12月10日

  人権を擁護する理由を尋ねられたら私の答えは簡単です。隣人たちが苦しむのを見るのはもうたくさんだからです。人権の保障されない社会では悲惨な状況が生まれるのですから。今日、多くの人々が不安さと無力感からすさんだ生活を送っています。こうした感情は不正をはたらく権威主義的な支配者の思いつきに翻弄される人々に共通するものです。人々は権力の乱用から保護されなければなりません。世界人権宣言の諸条文は、世界のすべての人々をこのもっとも重要な保護の対象とすることを目的としています。

 1948年12月に世界人権宣言が採択された際、ビルマは調印国のひとつとなりました。第二次世界大戦の体験を経て、既存の大国と植民地支配から独立して一人前になったばかりの国々とが力を合わせ、未来の世代を暴力による争いがもたらす惨事から保護するために一連の条文を策定したのです。しかし悲しむべきことに50年後の現在も、世界人権宣言は多くの人々と国家にとって紙の上での約束事にとどまっています。

 現在も権力者によって組織的な人権侵害が行われている国の住民として、私はこの宣言を起草した方々の知恵と先見の明を高く評価するようになりました。どの条文も自由・正義・平和を達成するためには無視できないものなのです。私たちが自由で豊かな生活を送るためには世界人権宣言のすべての条文が尊重されねばなりません。

 おそらく現在のビルマ国民にとって、世界人権宣言の中でも第21条はとくに痛快に映るでしょう。この条文はすべての人が自国の政治に参与する権利を定め、統治の権力の基礎となる人民の意思は定期かつ真正な選挙によって表明されなければならないことを宣言しています。わが国では民主的な選挙が8年前に行われました。しかし軍事政権はその結果をいまだに尊重せず、選挙に勝利した国民民主連盟を激しく迫害し続けています。他の多くの人々と同様に、私たちにとっても、民主主義を求めるたたかいとは人権を求めるたたかいのことなのです。

 世界人権宣言の前文には「言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来」が「一般の人々の最高の願望」であると記されています。これもまた人種、宗教、国籍にかかわらないすべての人々にとって、もっとも必要とされていることです。私たちは人権を求めるたたかいを通し、ひとりひとりに固有の尊厳と、譲ることのできない生命・自由・安全にかかわる個人の権利の承認を求めてたたかう人類のすべての構成員と緊密な関係を結んでいます。

 わたしたちが目標と苦しみを分かち合うことで、国境を越え、文化の違いを乗り越える力強い連帯感を作り上げることが私の願いです。私たちは思いやり・努力・普遍的な友愛に支えられた目的意識と、確固とした信念を胸にたたかっています。逆境にある私たちを惜しみなく支援してくださる人々への感謝とともに、近い将来にわが国もまた、平和・正義・自由を必要とする人たちの力となり一助となりたいという私たちの願いを述べさせていただきます。

1998年12月
ラングーンにて
アウンサンスーチー

※原文(英文)は、アウンサンスーチー氏によるビデオメッセージを起こしたものです。

Aung San Suu Kyi, 'Mark The 50th Anniversary of the Universal Declaration of Human Rights,' statement, December 10, 1998.