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社会

サバイバルの道のりの多様性
2001年1月1日配信 ビルマ・レズビゲイ権利委員会(CLRB)

サバイバルの道のりの多様性
ビルマ・レズビゲイ権利委員会(CLRB)

 ビルマのレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)は沈黙のうちに苦しんでいる。私たちを沈黙させているのは、私たちに対する認識と尊重の欠落、創造的な自己表現の欠如、言論と結社の自由の不在、また―ビルマに住むすべての人々と同様の―一切の政治的権利の欠如である。しかし私たちの声を抹殺するのは強力な軍事政権だけではない。私たちの存在を認めようとしない人々、地域社会、様々な社会集団もまた、私たちの声を抹殺している。そうした人々、地域社会、グループは、私たちの「宗教」と「伝統的信念」を持ち出して、私たちを沈黙させ、私たちの存在を否定する。私たちを名づけ、侮辱し、殴打し、強かんする人々によって、私たちは自分たちの声を聞かせることができないでいる。

 しかし今、私たちはカムアウトしている。自らの存在を明らかにし、ためらうことなく主張し、自らの意見を表明する。私たちは宗教と伝統的信念に由来する観念を携えている。それは尊重と寛容に関する観念である。私たちは反撃し、組織し、自分たちが何者なのかを表現する。私たちはすべての人々に私たちの声が届くまでたたかう。そして私たちの声に耳が傾けられるまでたたかい続ける。

 ビルマ・レズビゲイ権利委員会(Committee for Lesbigay Rights in Burma: CLRB)は、ビルマのLGBTのために公然と活動する唯一の組織である。ビルマ国内のレズビゲイ[レズビアン、バイセクシュアル、ゲイ]を組織し、ビルマ民主化諸団体とともに活動している。私たちはビルマのLGBTの闘争を世界の動きと連携させており、国際的にもその活動が認知されている。CLRBの代表アウンミョーミンは、以下の国際的な賞を受賞している。

サンフランシスコ市・郡管理委員会の功労証書
国際ゲイ・レズビアン人権委員会のフェリパ・デ・ソーザ賞
 LGBTはビルマに過去数千年にわたって生活している。しかし私たちの歴史に関する体系的な研究はいまだ行われていない。

 ビルマのHIV/AIDSは統制不可能な状態にある。これまでの数少ない研究によれば、もっとも多い感染者は静脈注射を行う麻薬常用者とその性的パートナーである。しかし実際には、ビルマのHIV/AIDSの全体像も、LGBTに対する影響もほとんどわかっていない。ビルマ軍事政権はHIV/AIDSを「ゲイの病気」と呼び、LGBTを公然と非難している。

■HIV/AIDS
 CLRBはAIDSの予防と感染者のケア活動を積極的に行っている。ビルマ国内では無料コンドームとビラを配布し、ゲイ男性にセーフセックスとAIDSの危険性に関する教育を行っている。LGBTのためのエンパワーメントとカウセンリングを行い、社会活動を行う活動家を育成している。

■コミュニティの形成
 ビルマ国内とタイにはすでにLGBTのネットワークが形成されている。そこでは情報の提供が行われているほか、ワークショップ、会合、パーティが催されている。ネットワークは非暴力による政治的抵抗のためにも活用されている。

■コミュニケーション
 CLRBは「レインボー」誌を発行している。これはビルマ語で書かれており、ニュース、人権問題に焦点を置いた情報や記事を掲載している。また宣伝とコミュニケーションのためにインターネットと電子メールを用いて活動している。


■LGBTの権利を訴える
 私たちはLGBTの権利に対する侵害を積極的に公開し、記録している。民主化運動内部でLGBTの権利に対する意識を高める活動を行っている。LGBTの権利を、人々が一般に考える人権概念の一部として位置づけようとしている。民主化運動に加わることで、私たちは現実に前進することができるのである。

ねらい
ビルマ国内に強力で多様なLGBTのコミュニティを形成する。
民主化運動を強化し、性的多様性を尊重し歓迎する新しい社会のためにたたかう。
LGBTの人権のためにたたかい、ビルマ全国民の性的解放に責任を持つ。
セーフセックス、HIV/AIDS、その他のLGBTに影響のある健康問題についての教育活動を行う。

目標
ビルマ国内のLGBTのエンパワーメントの促進のため、LGBTと支持者を組織する。
ネットワークの形成:ビルマ国内各地でLGBTのための組織の結成と支援を行い、世界とリンクさせる。
情宣活動:ビルマ国内のLGBTに役立つ、またLGBTに関する情報を記録し、発表する。LGBTのエンパワーメント、誇りと尊厳(プライド)、健康を促進し、またホモフォビア(同性関係に対する嫌悪)の終結に役立つ内容を扱う。

[編注]
 このテキストはCLRBから提供されたもので、複数の文書を合わせてあるとのことです。
 ビルマ亡命政権(NCGUB)の「ビルマ人権年報」の編著者を務めたこともある、CLRB代表のアウンミョーミン氏は1990年からこの活動を始めました。
 CLRBの働きかけによって、有力な民主化組織の一つ全ビルマ学生民主戦線(ABSDF)は今年の春、ABSDF内部の法規からソドミー法の撤廃を決定しました。またこれより前にビルマ女性連合(BWU)は、内部のメンバーに対する差別撤廃のために、規約に「セクシュアル・オリエンテーション(性的指向あるいは志向)に関わりなく」という一文を追加しました。

[連絡先]
Committee for Lesbigay Rights in Burma (CLRB)
P. O. Box 37, Chiang Mai University, Chiang Mai, 50202, Thailand.
E-mail: myomin@cscoms.com
Website: http://www.clrb.org.

[謝辞]
 この文書の翻訳にあたっては、日比野真さんから多くの助言をいただきました。ありがとうございました。なお訳文の最終的な責任は翻訳者にあります。

(訳、箱田徹)